サイエンス

アルツハイマー病の徴候を「目」から知ることができる新技術が登場、従来より安価・早期に検査可能に

by Heather Schleiffer

これまで、アルツハイマー病の徴候を早期につかむことはとても難しいことでしたが、カナダ・ウォータールー大学の研究者が「目」を調べることで、かなり早期に徴候を掴むことができるという研究結果を発表しました。

Waterloo researchers unveil new data and diagnostic tool at the world’s largest Alzheimer’s disease forum | Waterloo News
https://uwaterloo.ca/news/news/waterloo-researchers-unveil-new-data-and-diagnostic-tool


Why Eye Exams Are the Future of Alzheimer’s Screening | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/-why-eye-exams-are-the-future-of-alzheimers-screening-retina

この研究結果は、トロントで開催された第28回国際アルツハイマー病会議(AAIC)で、ウォータールー大学のメラニー・キャンベル教授が発表したもの。研究は、ウォータールー大学のほかブリティッシュコロンビア大学、調査会社のVivocoreとInterVivo Solutions、ロチェスター大学、マサチューセッツ総合病院の協力を得て行われました。

キャンベル教授


アルツハイマー病の特徴として、患者の脳にはアミロイド斑(老人斑)ができるのですが、このアミロイド斑の形成には「アミロイドβ」というタンパク質が関わっていると考えられており、アルツハイマー病患者の脳内には、発症の数十年も前からアミロイドβが蓄積されています。このアミロイドβは脳の脊髄液を経由して目に運ばれるタンパク質なので、脳内と同様に、網膜にもアミロイドβは蓄積しています。

キャンベル教授は、脳内で起きているのと同じようなことが目でも起き、アミロイド斑のもとが作られる(アミロイドが沈着する)と考えました。これまで他の研究者は、アミロイドを見えるようにするためには染料が必要だと考えてきましたが、キャンベル教授らは光学とコンピューター処理によってアミロイドを可視化できると考えました。そこで、アミロイドを浮かび上がらせるような偏光スキャンができる機材を作り、実際に人間と犬の網膜で実証実験を行いました。

その結果、新技術ではアミロイド沈着の検出だけではなく、他のイメージング技術ではできなかったサイズ比較までも容易に行えることがわかりました。アルツハイマー病の診断にはポジトロン断層法(PET)が有効ですが、キャンベル教授らの用いた方法はPETほど高価ではなく、広く利用でき、早期発見も可能。ただし、「アミロイド沈着が検出された」ということが即「アルツハイマー病」に結びつくわけではなく、キャンベル教授は「この新技術は、アルツハイマー病の研究者たちが、より有効な治療方法を開発する助けとなるです」と語っています。

キャンベル教授は「この方法は、アルツハイマー病の研究者たちが、より有効な治療方法を開発する助けになるでしょう」と語りました。

なお、AAICでは同じくウォータールー大学のコリン・マクスウェル教授が、2004年~2005年と2012年~2013年という8年のあいだに、オンタリオ州の65歳以上の患者の中でアルツハイマー病患者が18%増加したことを発表しています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt