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パーソナルコンピューターの父アラン・ケイが人工知能・Apple・IT企業について語る

By Marcin Wichary

ゼロックスのパロアルト研究所の設立に参加し、後のノートPCやタブレット端末の原型ともなるダイナブック構想を提唱したり、世界で初めてマウスをコンピューターの操作に用いたAltoの開発を率いたり、GUIやオブジェクト指向プログラミングのアイデアを生み出したりなど、パーソナルコンピューターの父と呼ばれるくらいコンピューターの発展に貢献したのがアラン・ケイ氏です。そのケイ氏が、インドのIT関連メディアのFactorDailyによるメールインタビューで、人工知能(AI)やApple、未来について自身の考えを語りました。

Computing pioneer Alan Kay on AI, Apple and future - FactorDaily
http://factordaily.com/alan-kay-apple-steve-jobs/

◆人工知能

By GLAS-8

IT企業が近年開発にいそしんでいる人工知能について、ケイ氏は人間の脳と同じように機能する人工知能の開発は画期的なことであると前置きした上で「現在のAI開発は人間の思考と同等レベルの『マインドモデル』に注力しています。人間の思考というのは科学を含めた多数の発明によってもたらされたものであり、学習が不可欠です。人間の知能を開発するのは可能だと思いますが、人工知能はあらゆる種類の相互コミュニケーションのために開発されるべきだと思います。『命のメタシステム』を粗末に扱うのが危険であるように、十分に考えないで『思考のメタシステム』で遊ぶのは非常に危険。人工知能は今後もっとオープンな存在になっていきますが、皆さんが理解しているような危険性を含んでいると思います」と答えました。

◆Apple

By Sam Javanrouh

ハードウェアとソフトウェアの両分野で世界に革新的な製品とアイデアを送り出したAppleについてケイ氏はどう考えているのか、スティーブ・ジョブズ氏がCEOを務めていたときと比較するとどうか、という質問がインタビューで飛び出しました。

ケイ氏によれば、ジョブズ氏が起業したころのAppleは人の心を高揚させる、人を喜ばせることに対して多くの理想や愛着を持っていたとのこと。これはジョブズ氏がペプシコーラの事業担当社長だったジョン・スカリー氏をAppleに引き抜くために言ったといわれる「このまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか」という言葉に現れています。しかし、ケイ氏は「ジョブズが戻ってきてからのAppleは、皮肉なことに『便利な製品』という名の下で砂糖水と同等のものを売っています。」とコメント。ケイ氏は、ジョブズ氏がスティーブ・ウォズニアック氏らと起業した当時のAppleが、一般的には成功として認められているジョブズ氏が戻った後のAppleよりも、世界を変える製品を送り出していたと考えているということです。

◆IT企業の未来

By Rain Rabbit

「短期的に新製品を送り出しているテクノロジー企業は未来を長期的な視点で捉えていないと否定する人がいます。こういった状況に対してパイオニアとしてのあなたはどう考えていますか?」という質問に対して、ケイ氏は「価値とは何なのか、ゴールとは何なのか今一度考えなければいけません。もし価値が狩猟採集民のことを指すのであれば、生態系は利用された後に何も残りません。狩猟採集民は移動するだけで、その土地に木々を植えたり、土壌を耕したりすることはないでしょう。新しいタイプの農業技術が発明されるといったこともありません」と話しました。

ケイ氏は非常に短いリリース期間で新しい製品を発売し、稼げるだけ稼いだ後に新しい発明を生み出すことなく違う分野へ移行するIT企業を、狩猟採集民に例えて強烈な皮肉を交えて意見を述べたと思われます。

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in メモ,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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