初期のPCゲームで使われていたアナログな「コピープロテクション技術」あれこれ

By Stefan Roßkopf

音楽・ゲーム・映画などあらゆるものがデータ化されてインターネット上で利用できるようになりましたが、それに伴ってデータを違法的にハッキングして無料で流通させる「海賊版」行為も増加しています。メーカーとハッカーはコピープロテクション技術の境界線でいたちごっこを行っているわけですが、この攻防はインターネットがまだ一般的ではなかった1980年代のゲームでも行われていました。そんな当時に使われていたオールドスクールな「コピープロテクション技術」がまとめられています。

VC&G | Old-School PC Copy Protection Schemes
http://www.vintagecomputing.com/index.php/archives/174/old-school-copy-protection-schemes

◆Code Wheels
「Code Wheels」とは初期のアナログなコピープロテクションのツールで、1980年代～1990年代初頭のPCゲームで使われていました。Code Wheelsは一方が小さく切り抜かれた2枚の厚紙を組み合わせて使うもので、それぞれの外周と内周に文字や単語と、切り抜きの窓があります。ゲームをプレイしていると、特定のポイントで外周と内周の単語と、窓に出ている単語などを入力するよう求められ、正しく入力できればゲームの続きをプレイできるようになります。

非常に簡単な仕組みのコピー・プロテクションですが、手書きで複写するのは難しいため、当時はある程度有効な手段として多くのPCゲームで採用されていました。

あまり使われたことはないものの、「Alone in the Dark 2」ではトランプの絵柄と切り抜きの窓があるカードを使ったコピープロテクションが使われていたとのこと。この仕組みは実際にゲーム内で「3のダイヤの上にスペードのクイーンを置き、1行目の2列目を読む」のように問題として出され、指示が示す絵柄をゲームで入力すれば先へ進めるというシステムだったとのこと。まだカラーコピー機が普及していなかった1990年代当時では、コピーによる複製も防ぐことができたそうです。

◆Manual Lookups
Code Wheelsと同じくらい一般的だったコピープロテクションは「Manual Lookups」と呼ばれるものでした。Code Wheelsのように追加で何かを用意する必要はなく、代わりにゲームのマニュアルブックに書かれている特別なイラストや文字を使うというものです。例えば「Railroad Tycoon」というゲームでは、マニュアルに描かれている特定の列車を探して正しいものを入力すればゲームを続けることができました。

「Sim City」はマニュアルの中に赤いページを設け、ゲーム内で「4ページの88行目」などと入力させていました。かなり見づらいページだったものの、コピーするとつぶれて読めないようにするための対策を兼ねていたとのこと。これらのゲームはマニュアルがないとゲームのセットアップができなかったり、ゲームを進めることができなくなったりするため、ある程度有効に働いていたそうです。

◆Maps
「ウルティマ」にはハイクオリティの布製のカラー世界地図が付属しており、プレイヤーはゲームをわくわくさせてくれるオプション品を手に入れることになります。ゲーム内ではコピープロテクションとして「○○の町の緯度は？」と尋ねられることがあります。世界地図から該当の場所を探せばゲームを続けられるわけですが、さらにほとんどの文字はルーン文字で表記されているため、これらの文字を翻訳することも必要とのこと。

◆Cracks
ゲームソフト「Game Guru」にはソフトとは別に3.5インチのフロッピーディスクがバンドルされており、その中には「Game Enhancer」と呼ばれるプレイヤーデータを3回だけ変更できるプログラムが書き込まれていました。このプログラムはフロッピーの書込禁止タブを有効にしていると使用できないようになっている上、一度インストールすると二度と使えないようプログラムされていたため、使用済みのフロッピーを誰かに渡しても同じ動作が行えないというものでした。ただし、実際にこの技術を使っていたのはこのゲームだけとみられています。