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小説のストーリーラインの感情変化を分析すると定番の方程式が明らかに

By Rach

映画や小説などで描かれるストーリーは、キャラクターの内面や価値観をきちんと描くことで読者の心を引き寄せる、つまり読者が話やキャラクターに感情移入できるように全体の構成を考えなければならず、これができていないと読者は面白いと感じにくくなってしまいます。1本の作品を通してキャラクターの感情が変化することは「エモーショナルアーク」と呼ばれていて、データマイニングで多くの小説を分析すると、小説には一定の流れの定番とも言えるエモーショナルアークが存在することがわかりました。

The emotional arcs of stories are dominated by six basic shapes
http://arxiv.org/abs/1606.07772

Data Mining Novels Reveals the Six Basic Emotional Arcs of Storytelling
https://www.technologyreview.com/s/601848/data-mining-novels-reveals-the-six-basic-emotional-arcs-of-storytelling/

Here’s how your favorite classic novel made a computer feel | The Verge
http://www.theverge.com/2016/7/6/12107688/classic-story-emotional-arcs-big-data-study

小説の感情変化を示すエモーショナルアークをデータマイニングで分析したのはバーモント大学統計学部のアンドリュー・リーガン教授が率いる研究チームです。研究チームは、文章に含まれている単語にはネガティブな感情とポジティブな感情を表現するものがあり、こういった単語は文章の感情価を測定することに使用できると仮定。さらに、作品全体を通して感情価がどのように変化するのかをも測定できると考えました。


研究チームは、著者の死後から一定期間が経過して著作権フリーとなった作品を電子化して公開する「プロジェクト・グーテンベルグ」でダウンロードできる1700ものフィクション作品の文章を分析し、作品全体における感情価の変化を測定しました。

研究チームが分析した結果、「感情価が最初から最後までゆっくりと上昇」「最初から最後までゆっくりと下降」「最初に上がってから下降」「最初に下がってから上昇」「最初に上がって途中で下降してから上昇」「最初に下がって途中で上昇してから下降」という6つの定番パターンがあることを発見。なお、感情価の上昇は「快」で、下降は「不快」を意味します。

「感情価が最初から最後までゆっくりと上昇」する作品の代表例は「不思議の国のアリス」の原型となった「地下の国のアリス」で、反対に「感情価が最初から最後までゆっくりと下降」する作品の代表例はウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」でした。また、最も人気があるのは「下降→上昇」と「上昇→下降→上昇」をミックスさせたエモーショナルアークだったとのこと。

研究チームは分析した小説のデータをHedonometerというウェブサイトで公開しており、気になる小説の題名や作家名で検索すると、感情価の変化を数値化したグラフを見られます。例えば、以下は先述の「地下の国のアリス」のグラフで、物語の序盤から感情価がゆっくりと上昇し中盤で急上昇を記録し、感情価を落とすことなく最後までいっていることがわかります。


これはJ・K・ローリングの「ハリー・ポッターと賢者の石」の作品全体を通した感情価の変化を表したグラフ。地下の国のアリスとは違い、感情価が作品を通して増減を繰り返しています。グラフで見ると、最後の方は感情価が低め。しかし、実際には寮対抗杯でハリーの属するグリフィンドールが優勝して幸せなムードに包まれて終わっているので、ここはまだ文章から感情価を正確に数値化できていないところなのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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