生き物

ドローンでクジラに超接近して潮吹きを低空から撮影することに成功した瞬間のムービー公開


無人飛行機のドローンは、荷物の配達や、レストランでの料理の給仕、さらには違法に飛行しているドローンをドローンで捕まえる試みなど、幅広い用途に活用されています。カリフォルニア湾でクジラの保護活動を行っているOcean Allianceは、専用に開発したドローン「Snotbot」と、DJI製のドローン「Phantom 4」と「Inspire 1」を使い、野生のクジラが海面近くで潮を吹く様子を間近で撮影することに成功しています。

Snotbot: Help fund critical whale research with drones. by Ocean Alliance - Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/snotbot/snotbot-pushing-the-frontiers-of-whale-research-wi/description


Ocean Allianceでは、クジラの生態を調査するための専用ドローン「Snotbot」を開発するため、過去にクラウドファンディングサイトのKickstarterで開発資金を募ったことがあり、22万9819ドル(約2510万円)を集めてプロジェクトを成功させています。その後Ocean Allianceはカリフォルニア湾にて、Snotbotに加えて、DJIから借り受けたドローンを使い、クジラが海面に出て背中から潮を吹く瞬間など、野生のクジラの生態をとらえることに成功。DJIがムービーを公開しています。

DJI Stories - Snotbot: Pushing the Frontiers of Whale Research - YouTube


Ocean AllianceのCEOであるイアン・カー氏は、Snotbotの開発を企画し、ドローンの操縦も自身で行っています。


Snotbotは、「クジラに気付かれることなく、クジラの身体的・生物学的なデータを収集し、動画や写真を撮影する」というコンセプトのもと開発されたとのこと。Snotbotが初めて飛行した際には地元の新聞にも取り上げられたようです。


Ocean Allianceのオフィスには、クジラを観察するための道具がズラリ。


クジラが背中から吹き上げるには、クジラのDNAや、妊娠ホルモン、ストレスホルモン、海に流れ込んだ農薬や金属など、多くの化学物質が含まれていて、カー氏は「潮を採集することでクジラの生態を解き明かすことができる」とかねてから考えていました。しかし、クジラの生態を犯さない形で潮を採集するツールが必要だったとのこと。


そこでドローンでクジラの真上に接近して、ドローンに取り付けたカメラでクジラを撮影&潮を採取することに。


ドローンの操縦は、カー氏が手動で行ったようです。


カー氏はKickstarterの資金で作ったオリジナルのドローン「Snotbot」に加えて、DJI製のドローンもクジラの調査に使用。ドローンにポールと布を取り付けて……


ドローンを飛ばしてクジラの血を採集したそうです。


この実験が成功したため、続いてはDJI Inspire 1をクジラの真上へ飛ばすことになり、沖合へ船を出します。


ドローンの天面に透明のシャーレを3個装着。


ドローンを海上へ飛ばし、クジラに接近します。


見事にクジラが潮を吹いている最中に接近することに成功。


カメラは潮でベチャベチャに濡れてしまいました。


ドローンがクジラの潮吹きをとらえた様子を、遠くから見ると以下のような感じ。


ドローンのカメラはクジラが尻尾を振って海中に戻っていく様子もばっちり撮影していました。


DJI Inspire 1を使った実験では、潮のサンプルを20個採集することに成功したそうです。


従来の方法であれば、巨大な船に10人以上の調査員を乗せて、1週間も時間がかかるところを、ドローンであれば手軽かつ安価にクジラに接近することができたとのこと。


Ocean Allianceでは、採集した潮に含まれる物質を分析したり、撮影した写真や動画を活用したりして、クジラの生態保護に役立てていくとのこと。


ドローンを使った動物の調査は、クジラに限らずあらゆる野生動物に活用できそうです。

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in ハードウェア,   生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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