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人間の汗と呼吸の匂いで蚊を引き寄せて殺すハイテク看板「モスキート・キラー・ビルボード」


ネッタイシマカなどの蚊は数種類のウイルスを保菌することが可能ですが、これら蚊を媒介し、人間がジカ熱やデング熱などの感染症にかかることがあります。そんな媒介蚊による感染症の拡大を防ぐためブラジル・リオデジャネイロの広告代理店が、汗の匂いと二酸化炭素を放出して蚊を引き寄せて殺虫する看板「Mosquito Killer Billboard(モスキート・キラー・ビルボード)」の設計図を無料で公開しました。

モスキート・キラー・ビルボードがどのような仕組みなのかは、以下のムービーで解説されています。

The Mosquito Killer Billboard - YouTube


ネッタイシマカは、ジカ熱・チクングニア熱黄熱など、数種類の感染症のウイルスを媒介する蚊として知られています。ブラジルでは媒介蚊による感染症が大きな問題となっているとのこと。


その対策として開発されたのが、ネッタイシマカを自動的に引き寄せる機能を搭載したハイテク看板「モスキート・キラー・ビルボード」です。


モスキート・キラー・ビルボードには、ほ乳類の汗を模倣する「乳酸」と、人間の呼吸を模倣する「二酸化炭素」のシリンダーが搭載されています。


これらを自動的に放出することで、人間の血を吸うメス蚊を引き寄せることができるとのこと。その効果範囲は2.5km~4kmに及びます。


夜は蛍光灯が点灯するため、光に集まる性質により、日中よりも多くの蚊が集まるようになります。


看板の下部についているのは乳酸を放出するシリンダーです。ほとんどの蚊は地上4フィート(約1.2メートル)を飛行するため、シリンダー付近に近寄った蚊を吸い込む穴が設置されています。


人間と勘違いして引き寄せられた蚊は、モスキート・キラー・ビルボードの内部に取り込まれて出られなくなります。殺虫剤などは入っておらず、内部の蚊は脱水状態になって死亡するとのことです。


詳細な内部構造は以下のようになっています。


すでにブラジルの2カ所では、試験的にモスキート・キラー・ビルボードが設置されているとのこと。BBCからモスキート・キラー・ビルボードに対するコメントを求められた昆虫専門家のクリス・ジャック博士は「メス蚊だけを誘引するデバイスは、個体数を減少させる効果があると考えられる。しかし、場所によっては肌を露出した人間の元へ、空腹の蚊を引き寄せてしまう可能性がある」と懸念点を述べました。


なお、モスキート・キラー・ビルボードの設計図はCreative Commonsで公開されており、非営利目的・改変・改造なしであれば無償でダウンロード可能。製作費用は1台あたり約192ドル(約2万円)です。

English - Painel Mata Mosquito
http://cargocollective.com/mosquitokiller/English

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in ハードウェア,   生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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