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AppleがiPhoneから1トン近くの金をゲットしたというのは事実でない

by Martin Hajek

Appleが発表した環境レポートの内容から「Appleが回収プログラムを通じて約1トンの金をゲットした」という報道が行われていましたが、IT系ニュースメディアMotherboardが独自の調査によって、「これは事実でない」として内容を否定しています。

Almost Nothing About the ‘Apple Harvests Gold From iPhones’ Story Is True | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/apple-does-not-melt-iphones-into-gold

現地時間の2016年4月15日、CNNTelegraphを始めとするメディアが、AppleがApple Storeで受け付けている回収プログラムを通じて古いApple製品を集めて分解することで、2015年の1年間で2204ポンド(約1トン)もの金を回収したと報道しました。

Appleが古いiPhoneをリサイクルして約1トンの「金」をゲットしたことが明らかに - GIGAZINE


このことを巡って、「Appleの環境責任報告書の数値は、1トン単位で概数換算した数値をさらにポンドに換算した可能性があり、実際の数値からはズレが発生しているのでは?」「実際に1トンもの金をAppleは本当に回収しているのか?」と混乱が生じていましたが、Motherboardの調べによると、事実は少し違うとのこと。


Appleのレポートに書かれていた実際の文言は「In 2015, we collected nearly 90 million pounds of e-waste through our recycling programs. That’s 71 percent of the total weight of the products we sold seven years earlier(2015年、我々はリサイクルプログラムを通して9000万ポンド近くの電気電子機器廃棄物(e-waste)を集めました。これは、過去7年間に我々が販売した商品の総重量の71%です)」というもの。そして重要なのは、「We’re also working with over 160 recyclers around the world(世界中に存在する160のリサイクル業者と協力した)」ということが書かれていたことです。


アメリカで製品を販売する電子機器の製造業者は、25の州でe-wasteのリサイクルを義務づけられています。 このとき、法律の内容は州によってさまざまですが、Appleがリサイクルを義務づけられるのは「Apple製品」に限られず、「e-waste」でもリサイクル義務の要件を満たします。また、法律の多くは、製造業者が過去に販売した製品の「総重量」やマーケットシェアに対して製造業者にリサイクルを課しています。そのため、Appleのレポートに書かれていた文言は「過去7年間に我々が販売した商品の総重量の71%」となっているわけです。

National Center for Electronics Recycling代表のジェイソン・リネル氏は「アメリカの24州は『製造業者の義務』を法律で定めており、製造業者はマーケットシェアなどに基づいた量の電子機器をリサイクルせねばなりません。そのため、多少の例外はあるものの、多くの製造業者は個人のリサイクル業者と契約し、『ミネソタで100万ポンドの電子機器をリサイクルする必要があるのですが、可能ですか?』というようなことを業者に尋ねます」と語っています。

リサイクル業者の作業は危険が伴う上に、ものすごくもうかる仕事というわけでもありません。それにも関わらず個人のリサイクル業者が仕事を続けられるのは、Appleのような会社が仕事を依頼し、かつリサイクル業者は収集した金属を自社で販売できるからです。

つまり、今回の一件は「Appleはリサイクルプログラムを通じて自社で金などを回収し、4000万ドル(約43億円)相当をゲットした」のではなく、「Appleが法に従ってリサイクルのために業者に大金を払った」というのが正しい理解。ただし、製造業者とリサイクル業者の間では通常、秘密保持契約が結ばれるため、このことの証拠を部外者がつかむのは難しいと考えられています。


実際のところ、アメリカでリサイクルが行われているe-wasteのうち、Appleの主力製品であるiPhoneやiPadなどを含めたモバイル端末が占める割合はわずか。今日に行われているリサイクルの大部分はテレビやサーバー、PCモニターといった大型の電子機器を対象としており、最もリサイクルされる量が多いのはブラウン管テレビで、全リサイクル量の80%ほどにあたります。スマートフォンやタブレットの流れをトラッキングしているリサイクル業者はほぼいませんが、多くの場合、収集したモバイル端末はそのまま一新され売られていくそうです。また、e-wasteのうち最も金を含んでいるのは古いPCとサーバーであることからも、Appleが端末から金を回収して大金をゲットしていると考えるのは正しくない、というのがMotherboardの見解の様子。

ただし、レポートにあったように、Appleが環境に配慮しているのは確か。リネル氏によると、Appleは多くの州においてリサイクルに非常に協力的で、リサイクル義務のない州においてもリサイクル業者と契約を結んでいるとのことです。

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in ハードウェア, Posted by logq_fa

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