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地球外の知的生命体を探すために「地球そっくりの星を探す」のは間違いかもしれない


人類の夢の1つが、地球外の知的生命体を見つけること。「地球にそっくりな星がありそうな環境があった」などと話題になることがありますが、「地球そっくり」という条件が実は間違いかもしれないというムービーが公開されています。

Aliens: Are We Looking in the Wrong Place? - YouTube


「地球上で知られている生物以外に、ほかに生物はいないのだろうか」と考えることがあります。


このとき、我々は「地球そっくりな星」を探そうとします。


それがなぜかというと、人類やその他の生き物が地球にいるのだから……


地球型惑星が見つかれば、そこに生き物がいるかもしれない、という考えがあるからです。


観察可能な宇宙には何千億もの銀河があり、それぞれの銀河は1兆もの恒星系・星団で構成されています。1つの恒星系にはいくつもの星があるので……


すべて合わせると、存在する星の数は1垓(10の20乗)以上という、とんでもない数に。これだけあれば生物、それこそ知的生命体が存在する星があってもおかしくはありません。


物理学と統計学から、他に存在するかもしれない知的生命体は、人類とはちょっと異なった存在であることが示唆されています。


より正確に言えば、「彼ら」は我々より大きく、小さな惑星で小さなグループで暮らしていると考えられています。


知的生命体が他にいない状態では、その他の存在がどんなものなのかはまったく計り知ることができないようにみえますが……


ここで出てくるのがベイズ推定です。


あるグループ内の統計をとったとき、「代表的な個体」と「代表的なグループ」との間には大きな差が出てきます。


たとえば地球上の人口を例に取ると、中国・インド・アメリカ・インドネシア・ブラジル・パキスタン・ナイジェリアだけで全人口の50%以上をカバーしています。


しかし、地球上にある国家や地域全体のうち、半数の人口を合わせても600万人未満にしかなりません。


宗教でいうと、22億人がキリスト教徒、次いで16億人がイスラム教徒で、残りはその他の宗教を信じています。


サイエントロジー、ウイッカ、ゾロアスター教など、ほとんどの宗教は人数でいうと「少数派」となります。


さらにもう1つ例を出すと、サッカーのプレミアリーグのファン人口は「マンチェスター・ユナイテッド」「リヴァプール」「アーセナル」「チェルシー」の4チームだけで全体の50%以上になります。


半数のチームがそのファン数を合わせても数百万人ほどで、とても上位4チームには届きません。


つまり「中央値の個体がいるグループ」と「グループの中央値」は一致しないということ。裏返すと、グループが同一サイズではないとき、ほとんどの個体は他のグループより大きなグループに属していると考えられます。


いま自分がどのグループに属しているのかがよく分からない、という時は、多数派グループである可能性が高いというわけです。


たとえば「自分の血液型がわからない」という人がいたとき、その人の血液型はO+(37%)かA+(33%)である可能性が高い、ということが言えます。


この話を「知的生命体」という枠に持っていくと、人類はどんなグループに属しているのかがさっぱりわかりません。


そこで、先ほどの前提から、「人類は知的生命体の中で最大グループに属する」と考えます。


これはつまり、人類が他の種(知的生命体)に比べて多い人口を抱えていると期待できるということ。


ここからは「他の種」のことを考えていきます。まず、生きていくためにはどうしてもスペースが必要です。


人口のところで中国、インドなどの名前が出てきましたが、それら人口が多い国々は国土も広い傾向にあります。


ということは、70億人が住む地球は、他の種のいる星に比べて大きいと考えられる。


また、個体ごとのサイズが小さければ生きていくのに必要なスペースはそれだけ小さくなる。


アリが100兆匹いられるスペースでも、象ぐらいのサイズになると70万頭しかいられません。


ということは、多くの人口を抱える人類は、他の種に比べて小さいのではないかとも考えられます。そして、全体から考えると人類は「変わり者」なのかもしれません。


エネルギーの有無はそれだけ人口増加につながります。我々に太陽があるように、他の知的生命体にも太陽に相当するものがあるはずですが、おそらく、我々の太陽のほうが近くて力強く明るいということが考えられます。大気も、地球は星が見えるぐらいに澄んでいますが、他の星は濁っている可能性があります。


あくまで「予測」を重ねたものですが、さらに物理学にも基づくことで、正確さを期すことができます。その予測によると、存在する知的生命体は2000万種未満。知的生命体のいる星の大多数は、大きさが地球の80%ほど。そして、知的生命体の体重は350kgほどと、地球に住むホッキョクグマぐらいあると考えられています。


つまり、「どこか近くに、知的生命体の住んでいそうな地球そっくりの星はないか」と探すよりも、「地球よりちょっと小さく、暗く、霞んで見える星」を探す方が知的なアプローチだとのこと。


これを端的に言うと、我々は宇宙のマンチェスター・ユナイテッドファンで、AFCウィンブルドンのファンを探しているような状態なのだそうです。マンチェスター・ユナイテッドは「すべてのスポーツの中で世界一ファンが多いクラブ」と呼ばれ、その数は6億人以上。一方、AFCウィンブルドンはリーグ4部に相当するフットボールリーグ2に所属する、1試合の最多観客動員数が4560人というクラブです。

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in サイエンス,   動画, Posted by logc_nt

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