サイエンス

なぜDNAが同じ一卵性双生児でも指紋はまったく同じにならないのか?

By Ruth L

1つの受精卵から誕生する「一卵性双生児」は、極めて特殊な例外を除けば、基本的には同じDNAを持っています。しかし、姿形や性格までよく似た一卵性双生児でもそれぞれ異なる固有の「指紋」を持っていることが知られています。遺伝的にはまったく同じ二人に生じる「個性」は、母親のお腹の中で発現することが分かっています。

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二卵性双生児と違って一卵性双生児は、一つの受精卵が多胚化することで生まれるため、DNAは同じ。このため、生命が誕生した受精段階ではまったく違いがない2つの命ですが、その後、母親の体内で成長するに従って「個性」が生まれることになります。

By Junya Kamimura

生物は遺伝と環境によって形質が異なることが分かっています。そして、それぞれの生物が実際に獲得した固有の形質である表現型(ひょうげんがた)は、先天的に受け継がれる「遺伝子型」と後天的に獲得する「環境」という二つの要素によって決まるものです。つまり、生物がそれぞれ微妙に異なる形や性質を持つのは、環境が異なるからで、まったく同じ遺伝情報を持っていても、まったく同じ生物になることはないというわけです。

受精卵は母親の胎内で成長しますが、2つの胚に分裂した一卵性双生児には、それぞれ母親からの影響を個別に受けます。つまり、一卵性双生児は、子宮内の位置、血圧、ホルモンレベル、栄養を受け取るスピード、羊水の状態など、微妙に異なる影響をそれぞれが受けることで、成長する過程で違いが生じます。そして、受精後10週から16週の間に成長する指紋にも微妙な違いが生まれるため、一卵性双生児でもまったく同じ指紋にはならないのです。


とはいえ、わずかに異なる環境のせいでまったく同じとは言えない一卵性双生児の指紋ですが、DNAが同じことから双子ではない兄弟や赤の他人と比べると、非常に似ているそうです。


なお、指紋は3種類に大別できるそうで、全体の95%が3つのどれかのタイプの指紋を持つとのこと。ただし、中には特殊な形の指紋を持つ人や、生まれつき指紋がない人もいるそうです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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