サイエンス

400年前のミイラを現代科学の力で調査、故人の死因となった疾病を解き明かす

By Franklin Heijnen

MRIやCTスキャンは体の断層を見るための検査技術ですが、これらを駆使してなんと400年も昔に亡くなった人物のミイラ化した心臓を調べ、死亡時期や原因を解き明かすことに成功しています。

Modern science detects disease in 400-year-old embalmed hearts | Reuters
http://mobile.reuters.com/article/idUSKBN0TL2PN20151202

France: Five 16th century embalmed hearts of elite discovered in heart-shaped urns
http://www.ibtimes.co.uk/france-five-16th-century-embalmed-hearts-elite-discovered-heart-shaped-urns-1531385

フランスのレンヌにあるカツラバト修道院の廃墟で、考古学者が5つの鉛製のハート型のつぼを発見しました。このつぼにはミイラ化した人間の心臓が入っていたそうで、調査により、このつぼとつぼに入ったミイラは約4世紀も前に埋められたものであることが明らかになっています。この怪しげなつぼとミイラを調査するため、研究者は心臓からミイラ処理を行う際に用いられた物質をきれいに取り除き、MRICT、その他機器を駆使して心臓の内部を調べたそうです。この調査により判明したのは、ミイラ化した心臓のうち3つに穴が空いており、これはミイラ化した心臓の持ち主が「現在でも非常によく見られる心臓病」を患っていた、ということでした。

発掘されたハート型のつぼ。鉛製のもので、表面には文字が彫られています。


カツラバト修道院でハート型のつぼを発掘する考古学者。


ハート型のつぼは2011年から2013年の期間にカツラバト修道院で発掘されたもの。このカツラバト修道院は1369年に建造された修道院で、巡礼の重要な拠点となっていた場所でもあります。また、心臓が入ったつぼが埋められていたように、15世紀から17世紀にかけては埋葬場所としても広く活用されたそうで、ハート型のつぼの他にも約800基の墓が見つかっているようです。

現在のカツラバト修道院の姿

By Pistolero31

フランスのInstitut National de Recherches Archéologiques Préventivesで働く人類学者のRozenn Colleter氏は「発見された心臓のミイラのうち、4つは非常に保存状態が良いものでした。考古学において人間の臓器を扱うことは非常に珍しいケースなので、今後の調査が非常に楽しみです」とコメントしています。

発見された心臓は全部で5つあり、そのうちの1つは非常に健康的で、何の病にもかかっていなかった模様。しかし、5つのうち3つはアテローム性動脈硬化症であったことが判明しており、冠状動脈にはプラーク(コレステロールの塊)も見られたそうです。なお、残りひとつは保存状態が悪く「ミイラ化した心臓のうちひとつだけが女性のもので、これは激しく損傷しており調査できるレベルではなかった」と、トゥールーズにあるランゲイユ大学病院で放射線技師を務めるのFatima-Zohra Mokrane博士は語っています。


ミイラ化した心臓のうちひとつは貴族のものであることがつぼの表面に彫られた「Toussaint Perrien」という文字から明らかになっており、これは1649年に死んだBrefeillacの騎士のものであるとのこと。この騎士の心臓は、彼が死んだ際に体から取り出され、妻の心臓と一緒につぼに入れられて埋められていた模様。なお、騎士の妻である「Louise de Quengo」は1656年に死没したとみられており、騎士の妻の遺体はケープとウールのドレス、婦人帽、レザーの靴を着用した状態で棺桶の中から見つかっています。

発見されたハート型のつぼの中で最も初期のものには「1584」と年号を示す数字が書かれており、最も新しいものには「1655」と記されています。Mokrane博士は今回の調査で明らかになったことの中で重要なのは、「何百年も前の人々がアテローム性動脈硬化症を患っていたこと」とコメント。この病は動脈硬化の一種で、脂肪やコレステロール、カルシウム、さらにはその他の物質により動脈内にプラークが生成される疾病です。プラークは時間ごとに固くなっていき、動脈を狭くして心臓発作や脳卒中を引き起こす原因になります。Mokrane博士は「複数の古い心臓で同じ病状が確認されたので、アテローム性動脈硬化症は近年生まれた病状というわけではないことが分かりました」と述べています。


なお、この調査に関する報告はシカゴで開催された北米放射線医学学会の会合内で発表されました。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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