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村上春樹の高校時代の読書カードが無断で新聞記事にされた件が海外でも報じられる


作家の村上春樹氏が高校生の時に借りた本の帯出者カードの写真がニュースサイトに掲載され、「プライバシーの侵害ではないか」と騒動が起こりましたが、この話が海外にまで広がり、イギリスの大手ニュースサイトThe Guardianなどが報じています。

ことの発端は2015年10月5日、神戸新聞NEXTに村上氏の母校・兵庫県立神戸高校にある廃棄寸前の蔵書から村上氏の名前が記録された帯出者カードが見つかった、という報道がなされたこと。

神戸新聞NEXT|文化|村上春樹さん 高1でケッセル愛読 神戸の母校に貸し出し記録
http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201510/0008458279.shtml


神戸高校は1万件を超す古い図書を県立図書館に寄贈していたのですが、今年に入って不要な数千冊が返却されました。元教員が図書を整理していたところジョゼフ・ケッセルの「幸福の後に来るもの」の巻末から村上氏の名前が書かれたカードを発見し、貴重な資料だと考え神戸新聞社に連絡したそうです。

神戸新聞NEXTでは序文のみが無料公開されており、全文を読むには有料サービスに登録する必要がありますが、有料版の全文には「なぜ2巻を2度借りたかは不明だが、高校1年でこんな大作を読んでいたのは確かだ。当時の高校生は読書好きだったが、このカードにある他の生徒は2、3年生が多く、村上さんはやはり格別だったようだ」という教員のコメントとともに、村上氏の名前が記載された帯出者カードの写真が掲載されました。

これに対して図書館の自由委員会に「図書館の自由に関する宣言の第3(図書館は利用者の秘密を守る)に抵触するのではないか」という問い合わせが寄せられ、同委員会は調査を行います。そして、「神戸高校が旧蔵書を廃棄する際、利用者の読書事実を示す図書カードを適切に処分すべきであった」「神戸新聞社が図書カードを適切に入手していたとしても、カード上に記載された本人の同意を得ずに報道することは是認できない」といった見解が示されました。

神戸高校旧蔵書貸出記録流出
http://www.jla.or.jp/portals/0/html/jiyu/toshocard2015.html



神戸新聞社は「通常は図書館の読書履歴を報道しないが、村上春樹氏は単なる私人にとどまる存在ではなく、その動静が社会的に注目を集めている上、村上春樹氏が若い時にどういう本を読んでいたかを、ノーベル文学賞発表前に伝えることは公益性が高いと考え報道した」という考えを示していますが、神戸新聞NEXTで記事が掲載された翌日には3枚の図書カードの写真掲載を中止。記事データベースでは紙面イメージ掲載を中止してテキストデータのみとしています。

そして一連のニュースは海外にまで広がり、2015年12月にイギリスの大手ニュースサイトThe TelegraphThe Guardianが事態について報道。The Telegraphは「Librarians in uproar after borrowing record of Haruki Murakami is leaked(村上春樹の貸出記録漏洩に図書館が大騒ぎ)」、The Guardianは「Haruki Murakami's teenage reading list at spurts privacy row(村上春樹が少年時代に読んだ本のリストについてプライバシー問題が噴出)」というタイトルで一連の流れが掲載されました。

Librarians in uproar after borrowing record of Haruki Murakami is leaked | Books | The Guardian
http://www.theguardian.com/books/2015/dec/02/librarians-in-uproar-after-borrowing-record-of-haruki-murakami-is-leaked


Haruki Murakami's teenage reading list at spurts privacy row
http://www.telegraph.co.uk/books/what-to-read/haruki-murakamis-teenage-reading-list-at-spurts-privacy-row/


なお、本件に関して村上氏は現時点でコメントを発表していません。11月29日には福島県郡山市で行われた文学講座のサプライズゲストとして村上氏が登場しましたが、図書の一件には触れず、文章を書くことは「孤独な作業です。『1人カキフライ』にすごくよく似てるわけです」と語りました。

【文学の学校・詳報】村上春樹氏「文章を書く、孤独な作業は『1人カキフライ』によく似ている」、古川日出男氏「見事にカキフライの話をされてしまって…」(1/4ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/life/news/151129/lif1511290050-n1.html


同席した作家の古川日出男氏は「学校って、想像力というよりも、規範に従う人間を育てるところじゃないですか。◯×があって、◯を採点される人間がえらい。想像力は規範からはみ出ているもの。規範からはみ出ると、人と違うんじゃないかと、思ってしまう。もしかしたら、村上さんはそういうお話をされるんじゃないかと思ってましたが、見事にカキフライの話をされてしまって(笑)その発想が素晴らしいなと。想像力がないと、いけないなと思いました」とコメントしています。

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