トランプにはなぜ「ジョーカー」が入っているのか？

by Laura M Bailey

トランプには1～13の数字カードの他に、道化師が描かれた「ジョーカー」が入っています。ババ抜きやポーカーなどには欠かせないジョーカーですが、トランプの誕生当初はなんとカードの中に含まれていなかったそうで、そんなジョーカーが一体どのようなキッカケで生まれたのかを解明するムービー「Why is there a joker in playing card decks?」がYouTube上で公開されています。

Why is there a joker in playing card decks? - Big Questions - (Ep. 208) - YouTube


トランプは、一説では9世紀に中国で誕生したと言われていて、欧米には14世紀に伝来しました。その後、約500年が経過した1860年代のアメリカで「ジョーカー」は初めて登場しました。

ジョーカーが「どこで」「なぜ」生まれたのか、についてハッキリとした理由は分かっていませんが、専門家の多くは「ユーカー」というトランプゲームがジョーカー発祥のキッカケではないかと推測しています。ユーカーをプレイするには、「切り札」となる最強のカードを設定するのですが、スペードやハートなど数字カードを切り札に使うとそのカードが通常どおりの数字カードとして機能しなくなるため、数字カード以外に別のカードを用意する必要がありました。それがジョーカーになった、と考えられているわけ。

ジョーカーは現在のような道化師のデザインにたどり着くまで、さまざまな異なる形のカードが使われてきました。カードの名前も「bower」「Imperial bower」「Highest Trump Card」など複数存在していたようです。現存するトランプデッキの中でジョーカーを含む最古のものは、アメリカ人のSamuel Hart氏が1862年に作ったトランプです。箱にはトラのイラストと共に「Imperial Bower or Highest Trump Card」と大きく書かれていて、数字カードの他に切り札カードが入っていると明記してあります。

現代で定着した「ジョーカー(joker)」という呼び名は、ドイツ語でユーカーを意味する「Juker」に由来すると考えられています。数字カード以外のオプションカードをデッキに追加することで、ゲームごとに異なる機能を持たせて、さまざまなトランプゲームが誕生しました。

なお、「ジョーカーの由来はタロットカードの『愚者(フール)』のカードである」と主張している専門家もいますが、近年では「トランプをもとにしてタロットが派生した」という説が有力的です。また、「ポーカーのワイルドカードとして使うためにジョーカーが生まれた」と信じている人がいますが、上述の通りジョーカーの起源はユーカーというトランプゲームに由来するため、この説もまた間違いであるとのことです。