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有名IT系企業はなぜあんなにたくさんの技術スタッフを必要としているのか?

By tec_estromberg

Dropboxの従業員は800人在籍しており、Facebookは1万人規模の従業員を必要としています。しかし、Dropboxのサービスは2009年からほとんど変わっておらず、Facebookのウェブサイトは基本的に10年前と同じことを行っています。そんな名だたるIT企業は同じサービスを提供しながらも、成長に比例して多くの従業員を必要としているわけですが、表面的には見えていない部分のどこにリソースが使われているのか、ということがWaveのエンジニアとして働くBen Kuhnさんのブログで説明されています。

Technological dark matter
http://scraps.benkuhn.net/2015/09/02/darkmatter.html


◆マネタイズ
Facebookで働くエンジニアの半数は広告技術に充てられていると言われています。広告ブロックツールを使っていないFacebookユーザーは、表示ページの小さな一角に広告を目にしているわけですが、その小さなエリアが、Facebookの収益に莫大な効果を与えているとのこと。そのため、Facebookが主な収益源となる広告技術に半数のリソースを割いているという話は、理にかなった予想になるというわけです。

また、「コンシューマ向け製品」には「企業向け製品」が存在することが多く、広告システムよりも企業向け製品でより多くの収益をあげている場合があります。例として、Ben Kuhnさんが以前に働いていたTheoremという企業では、コメントツールを提供する「Livefyre」のシステムをレンタルしていたとのこと。LivefyreのコメントシステムはBBCなどの大企業にも使われており、Livefyreのような企業では、広告システムよりコメントシステムにリソースを割く方がマネタイズに貢献することになります。

By Pictures of Money

◆内部ツール
SAASアプリが充実する以前に設立された企業では、内部ツールにリソースが割り当てられていることがあります。例えば、決済サービスのStripeや、ウェブ解析ツールのMixpanelが成熟していなかったため、Dropboxは支払いプロセスや解析システムを自社ツールでまかなっています。また、AWSが登場する以前に設立された多くの企業では、データセンターを自前で持っていることも珍しくないとのこと。

◆防衛
どんな企業でもある一定の規模に成長すると、攻撃者に目をつけられるようになります。ユーザーに安心してサービスを使ってもらうためにも、セキュリティやスパム対策のために必要なエンジニアの数が増えるのは正当であることがわかります。

By Horia Varlan

◆ローカライズ
アメリカ人はアメリカと他国との違いを軽視する傾向にあるそうですが、サービスの拡大にあたって、ローカライズは不可欠な要素。全世界で事業を展開しているAmazonも、同じサービスをただ各国で開始しているわけではなく、国ごとにAmazonの配送をまかなう新たな配送システムを構築するという大事業をこなしてきているわけです。

◆ロングテール
著名なソフトウェアエンジニアのジョエル・スポルスキ氏は「誰もがMicrosoft Wordの機能を5%も使っていません。しかも、その5%は人によってバラバラです」と話したことがあります。製品において個々の機能は、0.1%のユーザーにしかリーチできないかもしれませんが、WordやFacebookのような規模になれば、0.1%のユーザーは何十万人という数になります。そのため、ロングテールを狙える機能であれば、リソースを割くことは長期的に意味をなすとのこと。Kuhnさんが働くWaveは比較的小さな規模の企業ですが、自社ユーザーの80%が一度も触れることのない「カスタマーサポート」の機能に多大なエンジニアの労力を割り振っているそうです。

◆ミクロの最適化
Kuhnさんはある時期にFacebookが2、3週間毎のペースでUIを微調整するA/Bテストを行っていることに気づきました。小企業においてはそのような大規模なテストを実施する価値はあまりないものの、Facebookにおいては製品のわずか1%を向上させるためのA/Bテストに1年間専念するスタッフを雇用しても、損にはならないとのこと。また、Netflixは故意に人工的にシステム障害を引き起こすことでサービス障害を防止するツール「Chaos Monkey」を構築しているなど、多くの大企業が自社サイトの信頼性を向上させるためにリソースを割り振っています。Kuhnさんの計算では、Netflixのような1分間に1万ドル(約120万円)以上の収益率を持つ規模の企業であれば、ウェブサイトの信頼性を「99.9%」から「99.99%」に向上させるためのチームに450万ドル(約5.4億円)の資金を割り振る価値があると説明しています。

By jeff robinson

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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