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ドローンを建築の現場へも活用へ、3機のドローンが吊り橋を作る実験の様子が公開中


宅配便で荷物を届けたり、土木建築や農業分野の調査に役立てたり、はたまたラジコンによるエアレースが開催されたりと、ドローンはいくつかの問題を抱えながらもさまざまな用途への転用が見込まれています。そんな中、スイス・チューリッヒ工業大学の研究チームはドローンを使って実際に人が渡ることができる吊り橋を作る技術の開発に成功しています。

Aerial Construction – Institute for Dynamic Systems and Control | ETH Zurich
http://www.idsc.ethz.ch/research-dandrea/research-projects/aerial-construction.html

実際に3機のドローンが吊り橋状の構造物を作り、最後に人が歩いて渡っているムービーが作成されています。

Building a rope bridge with flying machines - YouTube


4つのローターを持つドローンが登場。機体の下には、ロープを巻き取ったリールが装着されています。


「ぶわん」と飛び上がり、鉄パイプで組まれた足場の近くでホバリング。手前側の足場では2機の、そして向こう側では1機のドローンが作業を行います。


まずは「primary structure」ということで、吊り橋の基礎構造を作成。3機のドローンが、水平方向の鉄パイプの周りをぐるぐると回り始めました。


こんなふうに、ロープをパイプに巻き付けて固定。この足場は、吊り橋の重さを受け止めるアンカーブロックとして使われるようです。


アンカーブロックにロープの片方を固定したら、もう片方のアンカーブロックめがけてドローンが飛び、同じようにロープを巻き付けて固定。ロープのレイアウトは上2本、下1本の3本となっています。


最も荷重がかかる下のロープ固定方法に注目。単純にパイプにグルグルと巻き付けるのではなく、十字の部分に複雑に巻き付けることで、力がかかってもスルリとほどけてしまわないように結びつけられています。


基礎構造が完成したら、次は構造を補強するための「bracing structure(筋交い構造)」の作成に入ります。まずは2機のドローンが、上の2本のロープから下のロープめがけてロープを伸ばし、ぐるぐると巻き付けます。


こんな感じでぐるぐると巻き付けて固定。


次に、もう一度上部のロープへ移動し……


巻き付けては下部のロープにも固定、という動作を繰り返します。


筋交い構造の作成が完了。7.1メートルの足場の間に、ロープによる吊り橋が渡されました。


そしてこの吊り橋は見た目だけでなく、実際に橋としての機能も備えています。このように人が歩いて渡っても問題なし。


ただし、3本のロープだけでは安定性に不安が残ります。ということで、実際の吊り橋でも取り入れられることが多い「stabilizer(スタビライザー・横揺れ防止機構)」を設置します。まずは主ロープの左右に2本のロープを新たに張って……


主ロープと結合して行きます。


こうしてスタビライザーの設置が完了。作業の結果、主ロープが少し左右に振れてしまったようですが、構造そのものはさらに立派な吊り橋になりました。


もちろん人が歩いても問題なし。3本だけの時よりも、ロープの沈み込みが少なくなったようにも見えます。


この実験は、チューリッヒ工科大学(ETH)の「Institute for Dynamic Systems and Control」と、「the Chair of Architecture and Digital Fabrication」のコラボレーションによるもので、ロボット飛行体による建設技術の調査と開発を目指して進められているものです。プロジェクトは「Flying Machine Arena」と呼ばれる可搬式の自律飛行テスト専用設備を使って進められています。

Flying Machine Arena | A space where flying robots live and learn
http://flyingmachinearena.org/

建設ドローンの見た目はこんな感じ。本体の下部にはロープを収めるリールが取り付けられており、透明のゴムチューブを通ってたぐり出されるようになっています。このリールには電動モーターが取り付けられており、適切な量のロープをたぐり出すように制御されているほか、ポールにロープを巻き付ける時などはブレーキの役目を持たせることで、しっかりと巻き付けられるようにする働きがあるとのこと。


Flying Machine Arenaにはこんな感じで足場が組まれ、吊り橋が作られます。足場の上部にはドローンの動きを把握するためのカメラが取り付けられており、ドローンに取り付けられたピンポン球のような球体の動きを読み取ることで、ドローンの位置を立体的に把握できるようになっています。


従来の建設用機器に比べ、ドローンのような飛行物を使った建設は「空中のどんな場所にも到達できる」「既存の建築物の中や周囲を飛び回ることができる」といった利点を持っています。その一方で、ペイロード(積載可能重量)と精度については劣るという性質を持っています。

吊り橋のような張力構造を持つ建築物は、このような飛行物による建築との相性が非常によいため、これまでにも基礎的な研究が進められてきました。同プロジェクトで最初に作ったというロープによる構造物は、このような2本のロープに3本目のロープをトラス状に巻き付けるシンプルなものだった様子。


その後、開発が進んでこのような横揺れ防止機構を持つ複雑な構造が可能になったというわけです。


この開発には、建築関連の研究を行うGramazio Kohler Researchが協力しているとのこと。Institute for Dynamic Systems and Controlのサイトでは、これまでに実施されたドローンなどの飛行体を使った建築の実験が見られるほか、最新の興味深い研究成果も公開されています。

Research Projects – Institute for Dynamic Systems and Control | ETH Zurich


この実験は、高い自由度で3次元空間を飛び回ることができるドローンの特性をいかしたものといえそう。自由度が高く、なにより人命を危険にさらすリスクを軽減できることが期待できるので、精度やペイロードの問題など解決しなければいけない課題をクリアできれば、ドローンを使った建築には大きな可能性が広がることになりそうです。

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