取材

ゲームプロデューサーたちが制作現場のぶっちゃけ話を披露した「ゲームクリエイタートークショー」イベントレポ


徳島市内で行われている「マチ★アソビ」ではアニメ関連のイベント以外に、最新ゲームの試遊会やトークショーも開催されています。前回に引き続き、さまざまなゲーム会社のプロデューサーが集まってぶっちゃけトークを披露する「ゲームクリエイタートークショー」がマチ★アソビ vol.15でも行われました。

マチ★アソビ vol.15 2015.09.26~10.12開催
http://www.machiasobi.com/

「ゲームクリエイタートークショー」の進行役を務めるのはサイバーコネクトツーの松山洋社長。「皆さん、マチ★アソビ楽しんでますかー!」という問いかけに、トークが始まる前から会場は大盛り上がりです。


トークショーには、カプコンの小嶋慎太郎プロデューサー、アークシステムワークスの森利道プロデューサー、セガ・インタラクティブの大崎誠プロデューサー、バンダイナムコエンターテインメントの富澤祐介プロデューサー、同じくバンダイナムコエンターテインメントの新野範聰プロデューサーの5名が登場。小嶋プロデューサーは眉山山頂ステージから急いで下山してトークにギリギリ間に合ったとのこと。


まず最初のお題は「最新タイトル紹介」と、シリーズ物の担当プロデューサーが多いということで「シリーズ作品の苦労点や面白い点と、前作を超える作品を作るために心掛けていること」。


プロデューサー陣が回答をフリップに記入している間に、松山社長が「四国から来ている人は?」と聞くと、会場の半数ほどが地元出身のお客さんでした。


小嶋プロデューサーはモンスターハンターシリーズ最新作「モンスターハンタークロス」を担当していて、心掛けているのは「今のタイトルを作っている時に次のネタを考えること」。ゲーム制作のスタート付近ではいろいろと試行錯誤できるものの、完成版のゲームの調整段階では「もっとこうしたかった!」という考えをためて次作のパワーにしているそうです。シリーズものは前作を超えることを要求されるので、超えるためのネタを常にストックしているとのこと。松山社長もゲーム制作は後半がジレンマ、と同意していました。


森プロデューサーは「BLAZBLUE CENTRALFICTION」を担当中で、苦労している点を「予算」とぶっちゃけていました。バンダイナムコの新野プロデューサーも、2作目以降でどうやって予算を取っていくのかがプロデューサーの腕の見せ所とコメント。森プロデューサーは、社内会議で「ファンから求められているんです!」と熱く語って前作以上に売れると説得しているそうです。ファンの応援がクリエイターの力になるので、あんまり叩かないでね、と客席にお願いする場面も。


大崎プロデューサーは「初音ミク -Project DIVA- X」を発表したばかりで、他にも「艦これアーケード」を鋭意制作中とのこと。苦労点は「社内の理解」で、例えばアウトランのリメイクを打診された時に、自分がプレイしていたゲームを手がけられることは嬉しいけれど、世界的にヒットした作品を超えるのは難しいと苦悩した話と、「初音ミク Project mirai 2」を作った時に、「2本目はだいたい本数下がるんだよねー」と言われてしまったという話を暴露。アウトランなどのレトロゲームは、面白いといっても同じ方法で過去の面白さを提供するのは難しいので、要素を足しすぎないようにして過去のファン以外も楽しませるアイデアを心掛けているそうです。


富澤プロデューサーはマチ★アソビと共にGOD EATER一筋で5年やってきて、現在は初代GOD EATERを生まれ変わらせた「ゴッドイーター リザレクション」を担当中。一番意識することは「ユーザーの成長との戦い」で、GOD EATERは初代から5年経っているものの、大昔のゲームではなく多感な時期にプレイした若者にとってはまだ現役に近い位置にあるので、「何歳だったユーザーが何歳になるのか」ということを明確に意識しているそうです。いかにユーザーと歩調を合わせながら次に一緒に向かっていくかという点が重要だと語り、ゴッドイーター リザレクションではいつでも敵を捕食できる自由度と、アクションのテンポ感を重視して制作したそうです。マチ★アソビvol15では1日目だけでも300人が試遊に参加して、東京ゲームショウよりも多いプレイ数で嬉しいと語っていました。


新野プロデューサーが担当中のゲームはマチ★アソビvol.15でも試遊ブースを出展している「ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン」。新しい魅力をどうやって出していくのかについて常に心掛けていて、アイズオブヘブンでは「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」から全く違う方向性に舵を切って、ジョジョの魅力を引き出すために立体的なアクション2vs2対戦格闘ゲームに一新。


さらに、サイバーコネクトツーと仕事をしている新野プロデューサー独特の悩みとして「松山洋のコントロール」が一番苦労する、と赤字で強調。登壇者・会場共に大盛り上がりの回答でした。


続いてのお題は、「個人的に発売が楽しみなタイトルは?」ということで、自分以外の他のクリエイターが作ったゲームやマンガについてのトークに移ります。


小嶋プロデューサーはスター・ウォーズが大好きで、東京ゲームショウで発表された「Star Wars バトルフロント」は映画の世界観の再現度がとても高く楽しみだそうです。隣に座っている森プロデューサーもStar Wars バトルフロントの「全部入り」感がとても楽しみで、他にも庵野秀明監督の「GAMERA」が楽しみで仕方なく、小説ではアニメ放送が終わったばかりの「オーバーロード」の主人公の酷さが好きだと語りました。


大崎プロデューサーは洋ゲーが好きで、「レインボーシックス」と「Call of Duty」の最新作が楽しみだそうです。「レインボーシックス」は未来に行きすぎた感じがあり、個人的には銃をバンバン撃ちたいのでリメイクに期待しているとのこと。松山社長から「FPSは好きですか?」という質問に、登壇していた全員がニンテンドー64の「ゴールデンアイ 007」が最高だったと同意。大崎プロデューサーは、日本国内でFPSはまだあまり浸透していないけれど、いつかガチガチのFPSを作りたいと語りました。


富澤プロデューサーの気になるタイトルは「ペルソナ5」。東京ゲームショウで新しいPVが発表されて、発売延期も告知されたけれども「いや、待つでしょ!」と期待を寄せていました。


さらに「松山洋さんの新刊」というフリップに、松山社長はマチ★アソビから縁が生まれてサイバーコネクトツー20周年記念の本を出すことになり、「そんなにマズいことは描いていないのに編集段階で字数がかなり減ってしまって……」と裏話を語りました。


新野プロデューサーは、みんなと一緒にゲームができるモンハンの新作が楽しみで、バンダイナムコの社内でもGOD EATERとモンハンをみんなで集まってプレイしているそうです。さらにモンハンは新野プロデューサーが奥さんと唯一いっしょに遊んでいるゲームとのこと。小嶋プロデューサーからは、過去の複数人プレイゲームは格闘や対戦を推していたが、モンハンはあえて真逆の「協力プレイ」を推したのでコミュツールとして使ってもらえるのが嬉しい、とコメントがありました。


次のお題は「次世代のクリエイターに期待することは?」ということで、20代や30代のクリエイターにどうしてほしいか?という質問。


小嶋プロデューサーは社内でも「先輩を倒せ!」と言っているそうです。若いクリエイターはいいアイデアを持っていても長いシリーズタイトルに参加すると先入観を持ってしまうので、「おじさんの考えは古い!」と言ってほしいとのこと。おじさんたちも負けるつもりは全然ないので、ぶつかり合って上昇したいと話していました。


森プロデューサーは「想像を超えてほしい&僕たちに悔しい思いをさせてほしい」。クリエイターとして、若者が作った作品以上のものを作らねば、という刺激が欲しいそうです。


「突破力、知るかボケの精神が大事」と語る大崎プロデューサーは、自分が正しいと思うことをやることが大事で、安易に人の意見を聞いて失敗したら反省にならないので、1回目の挑戦は「知るかボケ」という考えでぶつかってほしいと話しました。


富澤プロデューサーは、ゲームの目指すべきところという視点から「新しいコミュニケーションを遊びに」と語り、ゲームは常に遊びの中心にあるけれども、昔のようにファミコンを持っている友達の家に遊びに行くというスタイルからどんどん変化していっているので、ユーザーをどう楽しませるか、どんな面白さが出てくるのかを、新しいコミュニケーションの流れに敏感な若い人たちが生み出してほしいとのこと。


新野プロデューサーは、せっかく夢のあるゲーム業界にいるので「ワクワク感」を大切にしてほしいと語ります。組織の中で型にはめられると、しがらみの中でワクワク感を忘れてしまう若手がいるので、情熱を持って諦めずに新しいものを……と語っていると松山社長から「ワクワクできんわ!」と鋭い突っ込みが入ります。


最後に「今後について」ということで、小嶋プロデューサーはお客さんとの距離感が近いマチ★アソビにモンハンを持ってこられて良かったとコメント。森プロデューサーの「今回は物販参加だけでしたが、来年は気合を入れて参加したいので期待して待っていてほしい」という発表には会場がおおっと沸きました。大崎プロデューサーは、初音ミクがもうすぐ10周年を迎えるので、ゲームの新展開にも期待してくださいとコメント。富澤プロデューサーは、トークショー後のアニメ一挙放送イベントの告知を行い、さらにGOD EATERの6周年に向かって年末にニコ生を放送予定とのこと。新野プロデューサーは「またこういった場に立てるように、炎上させないように頑張ります」と切実な声音で語りました。最後に松山社長から「.hack」の流れを組んだ新スマホRPGの告知や、サイバーコネクトツー20周年新作の発表予定が告知されて、大盛況のうちにトークショーは幕を閉じました。

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in 取材,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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