サイエンス

約1200億円もかけて誰も住まない街を砂漠のど真ん中に作り出す計画「CITE」とは?


道路や教会、モールなどが存在し、3万5000人ほどの人口を想定したスケールの街でありながら、実際には「居住者」が一切いない町を砂漠に作り出す計画が「CITEプロジェクト」です。何のために「人が住まない町」を作り出すのか、CNN.comが秘密にせまっています。

CITE: The $1 billion city with no residents - CNN.com
http://edition.cnn.com/2015/10/06/business/test-city/index.html

アメリカ・ニューメキシコ州にあるメキシコ国境とホワイトサンズ・ミサイル実験場の間に位置する乾燥した砂漠に全く新しい「都市」を作り出す計画があります。「CITEプロジェクト」と呼ばれる計画で作られようとしているのは、「アメリカの街を模したフルスケールの実験場」。輸送・建築・コミュニケーション・セキュリティなどに関するさまざまな実験が、約24平方キロメートルの土地で行えるようになる予定です。


これがCITEの設計図。アメリカの中間サイズの街が備える施設を有しています。


大学のキャンパスはこんな感じ。


プロジェクトを先導するPegasus Global Holdingsのロバート・ブルームレイ氏はCITEプロジェクトについて「人々の生活を阻害することなく、新しい製品やサービス、テクノロジーのテストを行うための場所」であると説明します。土地の中には農業やエネルギー・水処理に関する開発を行う区画も存在するため、もし人々の全く存在しない「都市」を巨大な実験場として使えるのならば、できることの可能性は無限大です。


例えば、追跡ドローンでモニタリングしながら自動運転カーを走らせたり、家屋の災害実験や、ロボット工学的な実験を行ったりすることも可能。代替エネルギーとしての可能性が研究されているトリウム核エネルギーの実験も行えます。


CITEで建設された街は、研究室レベルを飛び出して実際の社会で行う実験の間に存在する障壁・デスバレーに困っている研究者たちにとって絶好の場所になると見られています。

CITEプロジェクトが始まったのは2011年のこと。実験場に適した土地を探していたのですが、なかなか見付からず、最初の2年間はほとんどプロジェクトが進行しませんでした。オーガン・マウンテンというニューメキシコ州の山脈が候補になったこともありましたが、「国定記念物である」としてオバマ大統領が実験での使用を拒否したとのこと。アメリカ政府は既にCITEプロジェクトの研究に数十億ドル(数千億円)を費やしていますが、まだ商品としてのリターンは2~3%しか得られていません。


しかし、ようやく上記の土地が実験場として利用できることが決定したため、2015年中には建設が開始され、早ければ2018年に運用が始まるそうです。

ブルームレイ氏によると「CITEの施設はテストを行いたいと考えている人であれば誰でも使用可能です」とのこと。クライアントとしては政府や学術機関、国際的なテクノロジー企業などが想定されており、ゆくゆくはシリコンバレーに匹敵するテクノロジーのハブとしての繁栄が期待されています。

最先端のエネルギー技術を駆使してゼロ・エミッションのエコシティを目指すアラブ首長国連邦の都市「マスダール・シティ」や、化石燃料を使わず電力や水の使用量をコンピューターで制御して最適レベルに保つポルトガルの都市「プラニット・バレー」など、「未来都市」をコンセプトに掲げる都市は世界的にも増えてきています。しかし、多種多様な実験やテストのためだけに作られた都市は「CITE」しか存在しないとのこと。


CITEプロジェクトに対して「素晴らしい」という声ももちろんありますが、一方で、無人の都市で実験を行うことの意義に疑問を抱く人もいます。オックスフォード・プログラムのスティーブ・レイナー教授は「ビルの中で省エネのデバイスを使っていても、人々が新鮮な空気を求めて扉や窓を開けることで、デバイスが効果を発揮できないこともあります。テクノロジーは完全な人工物ではなくデバイスなどによって仲介される社会システムであるため、無人の都市で実験を行うと誤解を招くような結論を導き出す可能性も考えられます」と語りました。

この点、実験のために許可された被験者がCITEで生活することも可能だとブルームレイ氏は語りますが、レイナー教授は「都市の住人とはセットの中に置かれた交換可能な人々ではなく、さまざなま文化・行動パターン・思考などを持ち、どんどん変化していくコミュニティーです」と語っており、CITEにおける実験の意義に疑問を投げかけています。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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