取材

モノのインターネットで実現する安全や「国産GPS」「はやぶさ2」など実はすごい技術が光るNECのCEATECブース


幕張メッセで2015年10月7日(水)~10月10日(土)の期間で開催される「CEATEC JAPAN 2015」のNECブースでは、IoT(モノのインターネット)を使って安全・安心な社会や暮らしを実現するための技術や、「宙(そら)への技術」としての衛星関連技術などが展示されています。いずれもわかりやすく人目をひきつけるモノではないかもしれないですが、実際にブースを訪れて見ると実は興味深い技術の数々を見てくることができました。

CEATEC JAPAN 2015: イベント・セミナー | NEC
http://jpn.nec.com/event/ceatec/

NEC | 出展者詳細情報 | CEATEC JAPAN 2015 ( シーテック ジャパン 公式サイト )
http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=5545

NECのブースに到着。


ブースでは、映像を用いて群衆の混雑状況をデータとして把握し、異変の発生を検知することも可能な世界初の「群衆行動解析技術」のデモが実演されていたり……


土中の水分量を解析することで、斜面崩壊の危険度をリアルタイムに算出・把握することができる技術などが展示されていました。


昨今の関心の高さを象徴するようなシステムがコレ。映像とセンサー技術を組み合わせることで、飛来するドローンを検知する監視システムが開発されているとのこと。


実際の運用イメージ一例はこんな感じ。画面右では、赤外線カメラが捉えた映像を解析することで、近くを飛ぶドローンの動きがトレースされています。システムではこのような映像の解析に加え、電波、音響センサーを組み合わせることで高い検知率の実現を狙っているとのこと。画面は白黒ですが、これは赤外線カメラの映像を使っているためとのことで、カラー映像を用いることも可能。ドローンの外見パターンをデータベース化することで、不審なドローンだけを見分ける技術の開発も進められているそうです。


このシステムが開発される背景は、もちろんドローンを悪用した犯罪などへの防衛策としての技術開発が挙げられます。重要施設や要人の保護や、大規模イベントなどの安全を確保したり、生命やプライバシーの保護などに活用されることが見込まれているとのこと。現段階ではドローンの検知を行う技術が開発されていますが、次のステップとしてドローンの進入に対する何らかのアクションなども視野に入れられているようです。


また、NECのブース内には、国が事業化を進める「準天頂衛星システムの運用等事業」を委託された準天頂衛星システムサービス株式会社のコーナーも設置されています。この装置は「準天頂衛星」がどのような軌道で地球を周回し、どのような仕組みで「8の字」の軌道を描くのかをわかりやすく解説するための模型で、実際に説明を受けた編集部員は思わず「なるほど!」と言ってしまうぐらいわかりやすい説明を受けることができました。


これの事業は、端的に言うと「日本独自の衛星測位サービスの確立」を進めるというもので、現状ではアメリカや一部ロシアの測位衛星に依存している状況から、独自の衛星を打ち上げることで独自性を高めようとするもの。日本版GPSの「みちびき」は2018年までに4基の衛星が打ち上げられて運用が開始され、その後の2023年には7機体制へと増強される予定とのこと。


「みちびき」は日本版GPSの実現を目指すだけでなく、衛星を用いた「災害・危機管理通報サービス」や「衛星安否確認サービス」などの運用が盛り込まれており、これらは日本独自の構想となっているとのことです。


「みちびき」の信号を受信する端末の開発イメージはこんな感じ。この端末はサブメータ級測位補強サービスに対応していて、誤差1~2メートル程度の測位が可能になるとのこと。受信部の大きさは、ほぼそのまま受信精度に影響するため、ここからさらに小型化することももちろん可能だそうです。さらに、準天頂衛星システム全体としては「センチメータ級測位補強サービス」を用いることにより、理論上は誤差数センチまでの測位が可能になるとされています。


このシステムの狙いはなんと言っても「日本が独自で衛星測位のインフラを持つこと」にあるとのことで、国の意向を受けて事業はやや前倒しで進められている状態だそうです。ちなみに、「GPS(Global Positioning System)はアメリカが持つ衛星測位システムの名称であり、日本独自のシステムには「QZSS(Quasi-Zenith Satellite System)」という名称が付けられているとのこと。この名前が今後普及するかどうかは、システムの開発状況と認知度の高まりに大きく左右されることとなりそうなので、担当者の人から「なんとか広めて欲しい」と言われる一幕も。


日本独自のシステムということで、なんとか事業の成功を願いたいところ。聞くところによると、7機体制でもまだ十分とはいえないそうで、さらに衛星を増やしてシステムを増強するためには国民の理解(=予算)が欠かせないというニュアンスのお話しもされていました。

CEATECでのNECブースといえば、ここ数年は小惑星探査機「はやぶさ」を忘れるわけにはいきません。


今年は、2014年12月に打ち上げられた第二弾はやぶさの「はやぶさ2」の模型が展示されていました。打ち上げからちょうど1年後の2015年12月3日、はやぶさ2は地球の重力を利用した「スイングバイ」を行って軌道を修正し、地球と火星の間にあるC型小惑星「1999 JU3」を目指すことになっています。


はやぶさ2の横には、NECの標準衛星システム「NEXTAR」も展示されていました。


NECのブース内では、IoT(モノのインターネット)を活用した安全・安心な社会や暮らしを実現するための技術や、スマートエネルギーの技術、そして「宙(そら)への技術」として衛星関連技術が展示されていました。多くの人の目をグッと惹きつける内容とはいえないかもしれませんが、いずれも通好みのするような、グッとくるような内容でした。

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in 取材,   ハードウェア,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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