取材

燃料電池自動車を展示し、「つながる」をテーマに未来のスマートコミュニティを提案するホンダのCEATECブース


千葉・幕張メッセで2015年10月7日(水)~10月10日(土)の期間で行われる「CEATEC JAPAN 2015」では、いくつかの自動車メーカーがブースを出展しています。なかでも、「Hondaはつながる」をテーマにデザインされたホンダブースでは、電気を「つくる」こと、そして「つかう」こと、さらにコミュニティや家庭・施設へ電力を供給することで「つながる」というコンセプトが紹介されており、ホンダならではのスマートコミュニティのかたちが提案されているとのことなので見てくることにしました。

Honda | 「CEATEC JAPAN 2015」Honda出展概要 〜外部給電器の市販予定モデル「Power Exporter 9000」を世界初披露〜
http://www.honda.co.jp/news/2015/c151002.html

本田技研工業(株) | 出展者詳細情報 | CEATEC JAPAN 2015 ( シーテック ジャパン 公式サイト )
http://www.ceatec.com/ja/exhibitors/detail.html?id=5287

ホンダが出展しているCEATECのブースはこんな感じ。自動車がどーんと置かれた上にはカラフルな電球がぶらさがっています。その向こうにある大きな建物は発電機のような形状をしており、ブース全体が電気のエネルギーで「つながる」イメージが表現されている模様。


ブースの真正面、いちばん目立つ場所には真っ白な自動車が置かれていました。しかしここはCEATECの会場、普通の自動車であるはずがありません。


この自動車は、水素を燃料として発電する「燃料電池」を搭載したEV(電気自動車)の「FCVコンセプト」でした。FCVコンセプトは2014年11月に発表されていた車両で、ボンネット内部に搭載した小型燃料電池スタックを使って水素から電力を生み出すことで走行するほか、燃料電池車両の特徴として、発電の仕組みを応用して小型の「発電機」として活用することもできるという利点があるとされています。


FCVコンセプトが生みだした電力は、車両の横に置かれた外部給電機「Power Exporter 9000」を介することで、一般の電気機器などに使える電力へと変換。このPower Exporter 9000は今回のCEATEC 2015で世界初披露となっています。


Power Exporter 9000は、FCVコンセプトから出力される直流の電力をインバーターで整流し、AC100Vと単相三線100V/200Vの3種類の電力に変換する装置で、しかもその容量はAC100Vが3kVA、単三だと6kVAで合計9kVA(9キロワット)もあるとのこと。一般家庭に必要とされる3kVAの電力を軽々とクリアし、業務用のエアコンや調理機器なども無理なくカバーできるというから驚きです。


IH調理器やドライヤー、電気ケトルのように大きな電力を消費する機器も余裕でカバーできるほか……


写真の左に置かれているような、医療用機器に求められる品質の電源として使うことも可能。災害時などにおける非常電源としての活用はもちろん、けが人の治療やケアにも十分対応できるという能力の高さを持っているそうです。


使用時には、このようにパネルにコンセントを接続して電力を供給します。「なぜ医療機器でも大丈夫なのか?」と訊いてみると、そのキモは交流を生みだすインバーターにあるとのこと。自動車やオートバイ以外にも、エンジンを使ったさまざまな機器を開発してきたホンダは、小型発電機の分野でも長い歴史を持っています。そこで培われたインバーター技術が応用されているとのことで、生みだされる交流電源の波形は一般の発電所で生みだされているものよりもキレイな形をしているとのこと。「そんなにキレイな電源であれば、オーディオマニアが黙ってないのでは!?」と思わず訊いてみると、説明してくれた担当者は笑っていました。


なお、FCVコンセプトが燃料とする水素は、水と太陽光があればこのような小型の水素発生+充填が可能な「水素ガス充填所」を置くことでいくらでも生産することが可能。この充填所とFCVコンセプト、そしてPower Exporter 9000があれば、災害で電力供給網が寸断されても途切れることなく電力を確保することができるというわけです。(実際にはFCVコンセプトに水素を充填する間には供給がストップしてしまうとのこと)


なお、FCVコンセプトの横にそびえ立つ建物は、Power Exporter 9000の形を模しています。その中には……


ホンダがこれまでに開発してきた、小型発電機の歴史が展示されていました。その歴史はなんと50年にも及ぶとのこと。


最初のモデル「E40」は、ソニーのマイクロテレビのために開発されたもの。実際に市販はされなかったそうですが、後に改良されてE80、E100というモデル名で量産されたとのこと。持ち運びできるほどの本体に、排気量21.2ccの小型四ストロークエンジンを内蔵していたというから驚き意外の何ものでもありません。


その後も脈々と開発は続けられ、カセットガスボンベで発電ができる「エネポ EU9iGB」などのモデルへと技術が受け継がれてきたとのこと。自動車・オートバイメーカーであるホンダは、同時に発電機メーカーでもあったというわけです。


ハイブリッドカーやEVの登場で、家電との融合が進むと言われている自動車業界ですが、ホンダのブースを見ているとそんな流れが実感できるような内容となっていました。

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in 取材,   モバイル,   ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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