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ポップアップ広告のフレーズに秘められた「受動的攻撃性」の恐るべき効果とは?

by Pascale PirateChickan

ウェブサイトを開くと同時にページの最前面に表れるポップアップ広告は海外のサイトで多く使われており、ページ閲覧を阻害されることからユーザーの大半は広告の内容に目を留めずに、ポップアップ広告を見た瞬間に「×」ボタンをクリックする傾向があると明らかになっています。そんなポップアップ広告の効果をより高めるための「受動的攻撃性(passive-aggressive)」という考え方が公開されています。

When Did Pop-Up Ads Get So Passive-Aggressive? - Racked
http://www.racked.com/2015/9/3/9242045/passive-aggressive-pop-ups-no-thanks


ポップアップ広告は、クリック数を増やす目的で海外のウェブサイトが使っている転換戦略の一環で、ユーザーにメールアドレスの登録を促すものが一般的です。例えば雑誌Elleのウェブサイトでは、サイトの閲覧中に「肌を傷つけている32の驚くべき原因」という記事へ誘導する以下のようなポップアップ広告が表示されることがあります。記事を見るためにはメールアドレスを登録しなければならず、メールアドレスを登録せずに広告を閉じるには「いいえ、肌の保護には興味がありません」をクリックする必要があります。


雑誌Cosmopolitanのウェブサイトでは、「セクシーな動画31本」という広告が表示されることがあり、動画を見ないならば「いいえ、私はHuluの方が好きです」を選ぶ必要があります。


料理のレシピやおすすめのワインを紹介しているサイトFood&Wineでは、ニュースレターを受信しないために「いいえ、私は流行にのりたくありません」というボタンをクリック。


Marie Claireのサイトでは、メイクのコツを見ないならば「いいえ、私はメイクのコツに興味がありません」をクリック。


他にも、Loftの通販サイトではメールアドレスを登録すると40%の割引が受けられるのですが、登録しない場合は「いいえ、私は全額払いたいです」というボタンをクリックする必要があったり、Elleのポップアップ広告には、おすすめのマスカラランキングを見ないために「いいえ、私は長く甘美で、ダマのできにくいマスカラには興味がありません」をクリックしなければいけなかったりと、心理的に「いいえ」の選択肢をクリックしにくいような受動的攻撃性(passive-aggressive)をもつ文章が書かれています。

これらのポップアップ広告をよく見てみると、左隅に「Powered by Bounce Exchange」と書かれているものが多く見受けられます。Bounce Exchangeはニューヨーク発のスタートアップ企業で、広告の転換戦略を重点的に扱っているそうです。「いいえ」の選択肢に付け加える文章を思いついたCEOのRyan Urban氏によれば、Bounce Exchangeのポップアップ広告をサイト上に表示することで、ユーザーのクリック数から閲覧数の多いコンテンツを調べたり、逆にユーザーが最後に閲覧したページを知ったりでき、ユーザーにメールアドレスを入力してもらうことでサイトへの忠誠度を測ることが可能とのこと。


作家のClaire Zulkey氏はBounce Exchangeのポップアップ広告について「驚くと同時に恐怖も感じました。不気味ながらも魅了されてしまいます」と評価しています。Zulkey氏によれば、Bounce Exchangeのポップアップ広告に表示されている「いいえ」の選択肢は、単に「ノー」という意味だけではなく、自尊心を失わせる力があるとのこと。まるで実在の人物が語りかけてくるような感じがして、「いいえ」の選択肢に書かれた文章は実に気取った物言いでありつつも、驚くべき手法だと絶賛。なお、Zulkey氏が頻繁に見るサイトやブックマーク済みのサイトではポップアップ広告は表示されなかったそうです。

Urban氏は「ポップアップ広告の内容はユーザーひとりひとりに合わせて表示しており、他の形式の広告よりも攻撃性が低い」と主張。サイトを利用するためにユーザーに即座にメールアドレスを登録してもらうのではなく、ユーザーがサイト利用に慣れた頃にポップアップ広告を表示することで、メールアドレスの登録へ誘導する効果があるとのこと。Urban氏によればBounce Exchangeのポップアップ広告は実際に成果を出しているそうです。例えば雑誌「Women’s Health」の公式サイトではBounce Exchangeのポップアップ広告を2年にわたって掲載していて、メールアドレスの登録数を増やすことに成功しているとのこと。

by Eirik Solheim

コピーライターのJoanna Wiebe氏はポップアップ広告について懐疑的な立場をとっており、Bounce Exchangeのポップアップ広告が初めて登場した際には「ブランド製品の広告がユーザーにケチを付けているようで、汚いやり方だ」と主張していました。しかし、実際に自身のブログでBounce Exchangeのポップアップ広告を試用し始めると、「以前利用していたポップアップ広告よりも表示回数が少ないにも関わらず、ユーザーによるメールアドレスの登録数が増えました。Bounce Exchangeのポップアップ広告の表示タイミングはとても絶妙でかしこいと思います」と評価が逆転しています。

Weibe氏は「Bounce Exchangeのポップアップ広告のキャッチコピーは、『いいえ、今日は遠慮しておきます』という単純な文章に比べると大きな違いがあり、『いいえ』の文章を読むことで、ユーザーが『いいえ』を選択せずにメールアドレスを登録した場合にどのような結果が生まれるのか、をユーザーに想像させる効果がある」と分析しています。ただし、Weibe氏はネガティブすぎる文章もたまに見かけるとのことで、「あまりに否定的な文章や、ユーザーの気分を害するような文章が増えれば、Bounce Exchangeのポップアップ広告の利用をやめるかもしれません」と語っています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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