「クリボーはキノコの裏切り者」などマリオの「1-1」がどのようにして作られたかを産みの親が語る


2015年はファミコンの名作「スーパーマリオブラザーズ」の発売30周年にあたる年で、今までのシリーズとは違いプレイヤーが自らコースをデザインできる「スーパーマリオメーカー」が発売されたり、30周年記念ライブが実施される予定だったり、任天堂は大きな盛り上がりを見せています。同シリーズの原点となるのがスーパーマリオブラザーズで、その生みの親である宮本茂氏と手塚卓志氏がEurogamerのインタビューで、同タイトルのゲームデザインに関して語っています。

Miyamoto on World 1-1: How Nintendo made Mario's most iconic level - YouTube


◆スーパーマリオブラザーズのワールド「1-1」はどのようにして作られたのか?
Eurogamerのインタビューで、宮本氏はスーパーマリオブラザーズのワールド「1-1」を作るときにどういったアプローチをしたのかを語りました。同氏によれば、最初はプレイヤーに「大きいマリオの手応え」を感じてもらうことを狙っていましたが、途中で最初からマリオが大きいのではなく、小さいマリオが大きくなるほうがプレイヤーは手応えを感じてくれるだろうと思い、「マリオが大きくなる」というアイデアが生まれたそうです。「小さいマリオが大きくなる魔法のアイテムはなんだろう?」と考えた結果、「怪しい森にあるキノコ以外ない!」という結論にたどりつき、スーパーキノコが誕生しました。


「1-1」の最初はハテナブロックが並んだ奥からクリボーが登場します。このシーンに関して宮本氏は「プレイヤーは何かが前から歩いてきたらよけるだろうと。ブロックはハテナマークがついているのでたたくよねと。ハテナブロックをたたくと『コイーン』となってプレイヤーはうれしくなるので、次のハテナブロックもたたくはず。たたくとスーパーキノコが出てきて、プレイヤーが逃げようとジャンプしたらスーパーキノコに当たってしまいます。当たってしまったのにマリオが大きくなることで、プレイヤーはものすごくうれしくなると思うんです。うれしくなってブロックを壊したり、ハテナブロックをたたいたりするわけで、ここでだいたいスーパーマリオブラザーズがどんなゲームか、というのがわかるようになっています」と語りました。当時のゲームはシンプルなのでチュートリアルをあえて作る必要がなかったそうです。


宮本氏が「もう1つ大事な話があるのですが、こんなことを話してしまうと夢がなくなっちゃうかも……」と前置きした上で明かしたのは「1-1」に登場するクリボーについて。宮本氏によると、ゲームの最初にはクリボーではなくクッパを登場させる予定だったとのこと。「クッパを踏んで甲羅にして蹴る」というアクションをプレイヤーにしてもらう意図があったそうですが、初めてプレイする人にとっては難しい操作なので、代わりに作ろうと考えられたのがクリボーでした。当初のクリボーは「キノコの裏切り者」という設定で最初のデザインでは黒いマッシュルームのようなものだったのですが、それを見たプログラマーが「クリだ!」と言ったため「クリボー」と名付けられました。

宮本氏は「人が自然にしそうなことを考えながら少しずつ教えていくイメージで作りました。たぶん遊ぶ人は自分が何をしているかわかることが大事だと思うんですよ。だから最初のステージは、プレイヤーが何をしているのかをわかるようにデザインしています。プレイヤーが自分で『こうしよう!』と考えだすと、そのゲームはその人のものになります。そうなったら、後はプレイヤーの期待に添ったり、裏切ったりする要素を追加していくわけです」とゲームデザインについて語りました。


◆マリオのアクションについて
「ドンキーコング」のときにはジャンプすると空中で移動することが不可能で、真上にジャンプすることしかできず、自分の身長より高い場所から落ちると死亡してしまいます。これを宮本氏は「自由度が低い」と感じて、ジャンプしても空中で移動できたり、高いところから落ちても死なないように進化させました。プレイヤーから「スーパーマリオは滑りすぎです。滑るから難易度が高くなる」という指摘を受けることもあるそうですが、マリオの滑りには「マリオに重量感を持たせる」という狙いがあるとのこと。


◆最も思い出深いタイトル、コースは?
手塚氏が最も思い出深かったタイトルとして挙げたのは「スーパーマリオブラザーズ3」です。同タイトルは手塚氏が初めてディレクションを任されたもので、自分で絵を描きながら企画も考える必要があり、多くの人の助けがあったからこそ完成した作品とのこと。宮本氏は、当時ゲームデザイナーという職業がない中で、作ったことで「ゲームデザイナー」と名乗れるようになった「スーパーマリオブラザーズ」を最も思い出深いタイトルに選びました。ただし、挑戦という意味では同シリーズで初めて3Dで描かれた「スーパーマリオ64」が思い出深く、宮本氏にとっては新しいチャレンジで多くの発見があったそうです。


宮本氏と手塚氏が「スーパーマリオメーカー」をプレイしているムービーも、インタビューと併せて公開されているので、興味がある人にはオススメです。

Super Mario's makers play Super Mario Maker - YouTube

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