2015年08月28日 12時42分サイエンス

世界中で海面が上昇しまくり＆氷の島グリーンランドは溶けまくりであることがNASAの調査で明らかに

By baldeaglebluff

アメリカ航空宇宙局(NASA)が、1993年から2015年までの23年間で世界中の海面は平均3インチ(7.62cm)上昇しており、場所によっては9インチ(約23cm)以上も上昇していることを明かしました。

GMM: Sea Level Rise Briefing - August 26, 2015
http://svs.gsfc.nasa.gov/cgi-bin/details.cgi?aid=11978

Climate Change: Vital Signs of the Planet: Sea Level
http://climate.nasa.gov/vital-signs/sea-level/

NASAによると、海面上昇には2つの大きな要因があり、ひとつが「地球温暖化」、そしてもうひとつが温暖化にともなって起きる「陸氷の融解」とのこと。これらが実際にどのようなペースで起きているのかを示すデータが公開されています。

NASAは1993年から人工衛星を用いた海面高度計測システムの「TOPEX/ポセイドン」や「ジェイソン1」、「ジェイソン2」で海面高度を計測してきました。以下のグラフは1993年から2015年までに海面がどのくらい上昇してきたのかをイラストとグラフで示したもの。

イラストを抜いてよりグラフを見やすい形にしたのが以下のもの。横軸が観察した年、縦軸が海面の高さを表しており、過去20年ちょっとで劇的に海面が上昇してきていることが分かります。なお、データは全世界の海面を平均したもので、平均すると1年間で3.21mmも海面高度が上昇しており、このペースでいけば100年で30cm以上も海面が上昇する計算。

TOPEX/ポセイドンやジェイソンなどの人工衛星で集めたデータを基に、地球全体の海面高度の変化をマッピングしたのが以下の図。図の青色部分は海面が低くなった場所、白色が変化なし、そして赤色が上昇した場所を示しており、上図が2013年から2014年にかけての変化を示した図で、下図が1993年から2015年までの変化を示したもの。単年での変化を見ると海面高度は上昇している場所と低下している場所が半々くらいに見えるのですが、23年を通してみるとほとんどの場所で海面高度が上昇しています。

以下のムービーを見るとより視覚的に地球の海面高度の変化を見ることができます。

Watching Rising Seas From Space - YouTube

グレーの部分には陸があり、青・白・茶に塗られた部分が海面高度が変化した場所を示します。なお、ムービー中のデータはTOPEX/ポセイドンやジェイソンなどの人工衛星で集められた、1993年から2014年までの22年間分のデータ。白部分は海面高度の変化がない地点で、濃い茶色になればなるほど大きく海面高度が上昇しており、青色部分は海面高度が低下した地点です。

アメリカ大陸

日本・オーストラリア・東アジア・東南アジア

ヨーロッパ・アフリカ

対して以下のグラフは、海岸沿いに設置された検潮器で測定したデータをベースに海面高度の変化を示したグラフ。計測期間は1870年から2000年までの130年間分です。これによると、1870年から2000年までに海面は約20cm上昇しているわけですが、これは現在の海面上昇のペースと比べると明らかに緩やかに上昇しており、現在のペースがいかに異常なものであるかが分かるわけです。

以下のグラフはNASAの双子人工衛星「GRACE」が観測した、氷床の融解質量を示すもの。水色の線が南極大陸の氷床が融解した量を示しており、緑色の線はグリーンランドの氷床融解量を示しています。観測期間は2002年から2015年までの14年分ですが、グリーンランドの氷床は南極の氷床よりも圧倒的に融解しまくりであることが分かります。

なお、以下のムービーでは地球の重力場を調査するために打ち上げられた2機の人工衛星「GRACE」が2004年から測定してきた、グリーンランドの氷床の減少推移が見られます。画面右上のカラースケールはプラスマイナス250cm分の水位変化を示しており、青色部分は水位が減少した場所、赤色部分は氷床が減少して水位が上昇した箇所を示しています。

Greenland Ice Mass Loss: Jan. 2004 - June 2014 - YouTube

以下の白い島がグリーンランド。その上に重ねるように表示される折れ線グラフは、グリーンランドの氷床質量の変化率をギガトン(10億トン)単位で示したものです。