乗り物

なんと音速の4倍で飛行可能なジェット機+ロケットの爆速航空機特許をエアバス社が取得


世界2大航空機メーカーのひとつ、エアバスが新たな超音速航空機の特許を取得したことが明らかになりました。音速の4倍を超えるマッハ4.5(時速約5300km)を可能にするという機体には、ジェット・ロケット・ラムジェットと3種類のエンジンを搭載して使い分けるコンセプトが取り入れられており、メカ好きの心をくすぐるものとなっています。

Huge, hypersonic jets blurring lines between planes and space rockets (Wired UK)
http://www.wired.co.uk/news/archive/2015-08/04/biggest-fastest-planes-hypersonic

Patent Images


エアバスが特許を取得した航空機のイメージ図がコレ。筒型の胴体の上に三角形をしたデルタウィングと垂直尾翼が載る構造になっており、デルタ翼の両端には回転式の「フィン」が装着されています。興味深いのが推力を生むエンジンの配置で、なんと1つの機体にジェットエンジン・ラムジェットエンジン・ロケットエンジンの3種類を搭載しています。ジェットエンジンは下図の「TB1」で示される場所、そしてラムジェット・エンジンは「ST1」の位置に配置されています。


そして残るロケットエンジンは、機体後方の最後部に配置。垂直尾翼の下にあるシャッターが開くと、中からロケットエンジン「Ma1/Ma2」が出てくるようになっています。


機体前方から見ると、翼が胴体の上に載る「高翼機」になっていることがわかります。TB1/2で示されるジェットエンジンは機体の下部に置かれていますが、地上のゴミを吸って損傷する事態にならないのか思わず心配してしまうところ。


この機体をCGで再現して実際に飛んでいる様子をシミュレートした動画も公開されています。

Supersonic Roller Coaster-cum-Aircraft patented by an Airbus Group Company - YouTube


動画を作成したのは、興味深い特許情報を集めて紹介するYouTubeチャンネルのPatentYogiで、CGを使って機体のイメージを紹介しています。ムービーに登場するDeepak Gupta氏によると、この技術を搭載した飛行機が登場すると「コンコルドも真っ青」だとのこと。


先述のように、まずは機体下部のジェットエンジンを使って離陸。そのまま一定の高度まで上昇を行います。ここまでは従来のジェット機とほぼ同じ。


このとき、よりよい快適性を得るために乗客やクルーはハンモック状のシートに座るとされています。これは座り心地もさることながら、この後の飛行パターンの影響を少なくする狙いが隠されているのかもしれません。


一定の高度に達した機体はまず、ジェットエンジンを停止して機内に格納。そして同時に機体尾部のロケットエンジンが点火され、一気に上空まで駆け上がる段階に入ります。


文字どおり、ロケットのように高高度まで一気に上昇。


この時、機体はマッハを超えて超音速の壁を越えます。超音速飛行で問題になるのが「衝撃波」による地上への影響ですが、その点も考慮されている模様。この機体ではマッハ遷移時に機体は上空を向いており、発生した衝撃波は水平方向に広がるため、地上にはほぼ達かないとのこと。


なお、翼の尾部に取り付けられた「フィン」は回転式となっており、速度がマッハ以下のときは翼と同じ角度に向いていますが……


マッハを超えた時点で、90度回転して垂直に角度を変えます。これは、機体の空力特性を変化させ、機体表面に発生する空気の圧力分布を適正化させるためのテクノロジーとのこと。


急上昇を行った機体は高度3万5000メートルに到達。徐々に上昇を緩やかにして水平飛行に遷移します。


水平飛行に入ると、ロケットエンジンを停止させて……


後部のカバーが閉じられました。これは高速度飛行での空気抵抗や空力特性を整えるためのもの。


そして、最後にラムジェットエンジンに点火し、本格的なマッハ飛行を開始。


この時の想定速度はマッハ4.5。超音速域での動作を得意とするラムジェットエンジンを使うことで、高速かつ効率のよい飛行を可能にする狙いがあるようです。


この速度が実現されると、ロンドン-ニューヨーク間がわずか1時間に短縮されるとのこと。一般的な旅客機だと約7時間、コンコルドでも約3時間半かかっていたことを考えると「1時間」のすごさを実感できそう。


飛行パターンをとてもわかりやすく図解すると、空港から一気に上昇して高度3万5000メートルに達してできるだけ長く超音速飛行を行い、下降の後に目的地に着陸することになるので、Gupta氏はこの様子を「世界で最も高いジェットコースター」と表現。


実際にはジェットコースターのような急激な落下などはないものと思われますが、果たしてマッハ4.5の世界がどのようなものか、実現を期待したくなってしまいます。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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