取材

スマホ・PC・ドローンなど秋葉原30個分の規模であらゆるガジェットが手に入る深圳の魔窟・電脳エリア「華強北路」に行ってきました


日本一の電脳街といえば秋葉原ですが世界一の電脳街といえば中国・深圳の「華強北路」です。秋葉原など比べものにならない規模を誇り、現在進行形で増殖・進化し続ける魅惑の電脳エリア「華強北路」は、ガジェットの最新流行を垣間見ることができる、日本の常識などまったく通用しないぶっ飛んだ規模の魅惑の世界でした。

◆香港から深圳へ
香港から中国の深圳には鉄道で行くのが分かりやすく簡単です。今回は下の路線図の水色の「東鐵線」で北の終点地「羅湖(Lo Wu)」駅で降り、徒歩で入境してみました。


これが東鐵線のホーム。東鐵線始発の紅磡(Hung Hom)駅から羅湖駅は2等席(通常席)で37.5HKD(約600円)、1等席で75HKD(約1200円)です。


香港-深圳の路線はたいてい混んでいます。


混んでいるのがイヤな場合は、チケットを買って1等席で行くのもよし。ただし、1等席には旅行者しかおらず、現地の雰囲気を存分に味わいたいときは金属製のイスで車内も賑やかな2等席がオススメ。


香港域内の主要な鉄道、バス、コンビニなどで使える万能カード「八達通(Octopus)」カードを使って1等席に乗車する場合は、ホームにあるチケット購入用の機械で精算すればOKです。


というわけで2等席で揺られながらのんびり深圳に向かいます。


なお、羅湖行きと落馬洲行きの2種類あるので間違えないように乗車前に羅湖行きであることを確認するべき。なお、確認を怠ると、こういう風に途中下車するハメになります。


羅湖駅に到着。


観光客だけでなく大きな荷物を抱えた人も見られます。香港・深圳間はイミグレーションを通る必要があるとはいえ隣町なので、中国人、香港人の間で日常的に盛んに行き来があるのがよく分かります。


イミグレーションに向かって歩行開始。


空港のようですが鉄道の駅。


なお、香港域内、中国域内の両方に銀行ATMがあるので、香港ドル・人民元への両替は可能です。


紫が中国への観光客で香港から帰ってくる人のラインで、緑色が香港に居住する人のライン。


香港への旅行客なのでオレンジ色のラインへ向かいます。


あとは出入境カードを提出したりパスポートを提示したり手荷物を金属探知機に通したりと空港と同じような手続きを行えばOK。日本人は15日以内の中国滞在ではビザは不要です。なお、香港側の出境手続きに比べると、中国側の入境手続きの方が緊張感は高めでした。


歩いてイミグレーションを通過するという不思議な体験を終えて、深圳・羅湖地区に入りました。


まずは地下鉄に乗車します。


なお、地下鉄乗り場に向かうまでに中国移動(China Mobile)のカウンターがあるのでプリペイドSIMカードを手に入れてモバイル回線を確保することも可能です。


目的地は1号線で五つ目の「华强路」駅で、罗湖駅からの運賃は3元(約60円)。


チケット売り場でトークンを購入。なお、紙幣は5人民元以下の少額紙幣は使えませんでした。


トークンはこんな感じ。


中国ならではの改札前の手荷物検査ラインを通過したら自動改札で……


トークンをタッチすれば改札が開きます。なお、降車時にはトークンは改札のコイン投入口に入れればOKです。


地下鉄は複数階ありますが、华强路行きは改札を降りた直後の階がホームです。


路線図はこんな感じ。成長著しい深圳には鉄道網が着々と築かれてきています。


「罗湖(羅湖)」駅は始発なのでがら空き。


なおシートは金属製でかなりすべります。


約15分で华强路駅に到着。


A出口から地上に出ます。


地上に出ると南側に深南中路という大通りがありますが、いわゆる「華強北(フーチャンペイ)」と呼ばれる巨大電脳地帯は深南中路より北の地域、特に中央を南北に走る「華強北路」の両サイドに電脳ビルが乱立しています。


◆華強北の電脳ビルとは?
電脳ビル群に向かう前に、地上に出てすぐにあるビル「华强電子世界」に突入してみました。


华强電子世界の中がどのようになっているのかは、以下のムービーを見ればよく分かります。

深圳・華強路駅前の電脳ビル「华强電子世界」の中はこんな感じ - YouTube


华强電子世界には1階、2階に電子部品を売る商店が入っていました。


USB端子やSDカードスロットの部品。


コンデンサーやコイルなど。


信じられない数の商店がぎっしり詰まった华强電子世界は華強北の一般的な電脳ビルを象徴する形態。すべての店を見て回ろうと思えば日が暮れそうなくらい巨大な空間に数え切れないほど多くの店がビル内に入っていました。それらの店がみなビジネスとして成立していることを考えると、秋葉原など比べものにもならないほどの圧倒的な規模に、衝撃を受けることは間違いなし。そして、华强電子世界の様なビルが、そこかしこにあるのが華強北という世界最大の電脳エリアというわけです。


◆中国スマートフォン市場へ突撃
高くそびえるビルが「赛格广场」。電脳ビル群の南側からの始点がこの赛格广场です。


なお、2015年7月時点では華強北路は大規模工事中でした。


まずは華強北路西側から。ここにはスマートフォンを販売する路面店が並びます。


飛ぶ鳥を落とす勢いのXiaomi(小米科技)やHuaweiなどの中国製スマートフォンがわんさか。


店舗前ではXiaomiのモバイルバッテリー「Mi Power Bank」の特売をエサに、客を呼び込む作戦を採る店が多いのが特徴的。


Xiaomiのフラッグシップ「Mi 4」は1599元(約3万2000円)。この周辺で最も安かった店でも1599元と定価販売。インターネット販売で数秒で完売するXiaomi製品らしく、ほとんどの店では定価より高い値付けになってます。


なお、日本でも販売中のHuawei「Honor 6 Plus」は2288元(約4万6000円)でした。


元祖「中華スマホの雄」・Meizu(魅族科技)の専門店。


2015年7月に発売されたばかりのフラッグシップモデル「MX5」の実機が展示されていました。


5.5インチフルHDディスプレイのMX5は149gですが、数字以上に軽く感じます。なお、ホームボタンには指紋認証を搭載。


背面はこんな感じ。リアカメラは2070万画素。


前モデルのMX4(右)と比べるとわずかにサイズアップしています。なお、新モデルMX5はどの店も入荷即完売状態で、次回の入荷時期は未定とのこと。


これは薄さ4.75mmでかつて世界最薄スマートフォンだったVivoの「X5 MAX


以下の記事でも取り上げたモデル。

スマートフォンは一体どこまで薄くなるのか? - GIGAZINE


やはり、薄い。


しかし、実際に持ってみると薄すぎて手が痛いなどと言うことはなく、強烈な薄さが圧倒的なスタイリッシュさを生み出しています。バッテリーのもちを捨ててでもこの薄さを選ぶ人がいるのも妙に納得できる美しさが確かにあります。


同じく圧倒的な薄さを誇示するOppoの「R5」は4.85mm。


スイカにぶっ挿すことができる凶器のようなスマートフォンのデザインは、やはり魅力たっぷりです。


◆華強北路東側の電脳ビル群
華強北路西側のスマートフォンショップに続いて、東側に移動。800メートル近く続く、圧巻の電脳ビル群を見ていきます。


華強北路西側を北方向に伸びる電脳ビル群がどれだけ長く連なっているかは、以下の早送りムービーを見ればよく分かるはず。

華強北路の通りに連なる電脳ビル群の様子 - YouTube


電脳ビルの1階にはスマートフォンショップが連なっている事もよくありました。


一方で簡易テントの露店や……


果てしなく巨大なビルまで店舗の形態は多種多様。


ところどころに24時間オープンのATMもあります。


どこまで歩いても続くビル群と無数の店舗の数々。しかし、新装開店の準備をしている店もちらほらあり。巨大な電脳市場はまだまだ拡大するようです。


15分くらい歩いてPavilion Hotelが見えれば電脳ビル群の北の終点です。


◆電脳ビル内には何があるのか
数多くの電脳ビル。その中はどうなっているのかと言うと、多くのビルが小さな店の集合体。しかし、中には吹き抜けつきの巨大な店舗もちらほらあります。


例えばとあるビルは、G階(1階)を上がって1階(実質2階)がこんな感じ。


小さなブースがひしめき合い、電子部品やノートPCなどさまざまな物が売られています。


通路には無造作に段ボール箱が置かれていることもしばしば。


エスカレータに昇りつつ、下を眺めるとこんな感じ。


具体的な小店群はこんな感じ。大量のケーブルでカウンターが埋め尽くされたショップ。


万能タイプのUSBケーブルのようです。


LED照明を売る店。


さまざまな電球があります。


LEDのライトも大量に展示。


車載カメラを売る店。


画質はかなり高そう。


スマートフォンのアクセサリーだけを扱うビルもあります。


無数に並べられたAC電源。どうやらiPhoneの純正アダプターの同等品の模様。


USBケーブル。


iPhoneの交換用液晶ディスプレイ。


iPad用もあり。


iPhoneの筐体。


Apple純正品ではないことは確実ですが、かなりの工作精度。魅力的なカラーバリエーションです。


これはスマートフォン用のガラスフィルム。


大ブームとなった自撮り棒。


もちろんiPhoneやXiaomiなど、スマートフォンも大量に販売されています。ただし、本物かどうかは定かではありません。


背面のロゴがメッキ加工されたNexus 5。


フィーチャーホンの中に変な物を発見。


超コンパクトなiPhone。


GSM(2G)のフィーチャーホンとのこと。


UIもiOSライク。値段は200元(約4000円)とのこと。


ペラペラの薄さでまずまずの音質を出すエレクトーン。この店は150元(約3000円)。まったく同じ物が駅周辺だと300元(約6000円)で売られている不思議。


ルンバもどきも激安の2万円以下。


他にもさまざまなドローンが売られていました。


中国メーカーのDJIに負けず劣らずのデザインに優れた小型のドローンは198元(約4000円)から。


FPV(First Person Viewing)ができる本格モデルもありました。


カーボンパーツのオリジナルドローンを売る店。


値段を尋ねると1900元(約3万8000円)というぶっ飛び価格を提示されました。


スマートウォッチを売る店も多数。


Apple Watchっぽいデザイン。


カメラ付きモデルもあります。


GoProもどきも大量に発見。


この店では……


不思議な電動の乗り物を販売していました。


◆中華スマートフォン
とある電脳ビル内に、こじゃれたブースのお店がありました。


DOOV」というブランド。


化粧品ブースのようですが、スマートフォンメーカー。


女性にターゲットを絞ったスマートフォンのようです。


これは「L3」というモデル。1999元(約4万円)と、無名の中国製スマートフォンとしてはなかなかの値段です。


驚くほどiPhone 6にそっくり。


逆客 V1」というモデルは1799元(約3万6000円)。


「逆客」の由来はこの1300万画素リアカメラ。


こんな感じでフロントカメラにも変身します。


これは「Coolpad」というメーカー。


X7というモデル。SoCはSnapdragon 801で2GBメモリ、1300万画素リアカメラに5.2インチ(1920×1080)の液晶ディスプレイ。


高い性能とデザインで1699元(約3万4000円)という価格には、うまくまとめているなあという印象。ただし、この価格帯であれば高い性能は当たり前で、あとはデザインやカメラ性能など、他の特徴がなければ人気モデルにはなれないようです。


华强路からもっとも離れたビル内にある大きめのMeizuショップ。


ここでもフラッグシップモデルMX5は品切れとのこと。


店員さんは「前モデルのMX4が1499元(約3万円)に値下げされているので、いかがですか?」と進めてくれました。何を聞いても受け答えは完璧。英語だと接客を放棄する店員もいるのが当たり前の中国ショップの中では際だって丁寧な応対に、少し感動。思わず「これください」となりました。


カウンター下から持ってきてくれたパッケージから……


実機をチェック。動作に問題はありません。


さらには「3分間、説明に時間をください」と、使い方をレクチャーしてくれました。聞けばこのMeizu公式ショップは深圳のフラッグシップ店とのこと。応対品質の高さもうなずけました。


MX5の入荷時期を尋ねましたが、製造が追いつかないほどでまったくの未定とのこと。2015年7月の時点で、中国・深圳におけるスマートフォンの人気No.1は、どうやらMeizu MX5のようです。


中国の電脳街「華強北路」は、規格外の規模ですべてのビル内をめぐるのに一体どれくらいの時間がかかるのか、見当がつかないほどの巨大な世界でした。PCやスマートフォンやホビー・家電製品など、ありとあらゆる品が玉石混淆のカオスな市場は、一見の価値がある魅惑の世界となっていました。

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in 取材,   モバイル,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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