取材

人工島にひっそりとたたずむど派手な建築物「舞洲工場」が気になったので見学してきました


大阪府大阪市此花区にある舞洲は、約220ヘクタールにもおよぶ人工島で、その大部分を2008年夏季オリンピックの誘致活動の一環で建設された「舞洲スポーツアイランド」という公園が占めています。そのほかは企業の物流拠点や青果センターなどが立ち並んでいるいるのですが、その一角に遊園地と見間違えてしまいそうな建物があります。この建物は「舞洲工場」と呼ばれる施設で、大阪市中から運ばれてくるゴミを焼却する、いわゆるゴミ処理場になっています。舞洲工場は外観だけでなく内部も無料で見学できるとのことなので、実際に行って見てきました。

舞洲工場の見学について - 大阪市・八尾市・松原市環境施設組合
http://www.osaka-env-paa.jp/201_maishima-kengaku.html

大阪市此花区にある舞洲にやって来ました。


この辺りは、物流センターや工場が建ち並ぶエリアです。


その中に突如と現れるのが、遊園地のような外観の舞洲工場です。


舞洲工場は、オーストリアの芸術家であるフリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー氏がデザインしたもので2001年に竣工。フンデルトヴァッサー氏は自然との調和を目指した建築で知られており、自然界に直線や同一物が存在しないことから、舞洲工場のデザインには曲線や、サイズや形の違う窓が使用されているとのこと。壁面のオレンジや赤のストライプ模様は、ゴミを焼却する炎をイメージしたそうです。


巨大な塔の正体は、ゴミを焼却したときに発生する煙のための煙突。


舞洲工場の事業費は約609億円で、フンデルトヴァッサー氏によるデザイン料は約6600万円。なお、フンデルトヴァッサー氏が手がけたゴミの焼却工場は世界に2つだけしかなく、その1つが大阪にあるというわけです。


外観をじっくり見学したところで、今度は内部の見学。見学には電話予約と(PDF)見学依頼書のFAX送付を見学日の10日前までに行う必要があります。


柱までカラフルなデザイン。フンデルトヴァッサー氏の意向により、柱一つ一つが違うデザインになっているとのこと。


1階にある入口から中に入っていきます。


建物の中ははモザイク模様の装飾が施されていました。


受付で予約した旨を伝えると、職員の人が丁寧に案内していくれます。案内されている時に通過した廊下は、ゴミ焼却場とは思えないくらいオシャレ。


案内されたのは大会議室。


大会議室では20分ほどのムービーが上映されました。


ムービーを見た後は、大会議室がある5階フロアから見学開始。見学は、1人の場合でも職員の人が付き添って案内してくれます。まず最初に見たのは舞洲工場のモデル。舞洲工場には、一般ゴミを処理する焼却設備と粗大ゴミ処理設備があります。また、ゴミの焼却時に発生した蒸気を再生エネルギーとして利用する設備もあります。


5階で案内されたのはとてつもなく大きなホールのようなスペース。


ここは、収集したゴミを貯留する「ゴミピット」と呼ばれる設備。ものすごく深く作られた空間に大量のゴミがためられています。


巨大なツメを搭載したクレーンがゴミをつかんで、焼却炉につながる投入ホッパまで運ぶとのこと。


ツメが広がると6mにもなるというクレーンが一度に持ち上げるゴミの量は約1t。


ゴミピットを見渡せる窓のそばにはクレーンのツメのモデルが展示されていました。ツメ1つで約450kgの重さがあるとのこと。


クレーンは自動運転で、4本のワイヤでつるされています。


真下を見ていると、あまりの深さに足がすくんでしまうレベル。


5階の見学が終わって案内されたのは3階。


3階は見学向けに洞窟のような装飾が施されていました。


こちらの大きなディスプレイではアニメーションで奥にある設備を説明してくれます。奥にある設備とは……


焼却炉です。赤い扉の向こうが焼却炉になっていて、暑いときだと扉周辺が40℃近くまで上昇することもあるとのこと。


焼却炉の中には入ることができないので、イラストで焼却炉の詳細が説明されていました。焼却炉は斜めに傾いたベルトコンベアのような形で「乾燥火格子」「燃焼火格子」「後燃焼火格子」という3つのパートに分かれています。運ばれてきたゴミは乾燥火格子に送られ乾燥した後、燃焼火格子で燃焼され、さらに後燃焼火格子で完全に灰になります。燃焼するための空気はゴミピット内の臭気を含んだ空気が使われており、臭いは燃焼により熱分解され、施設の外にゴミの臭いが漏れないように工夫がなされています。また、ゴミを燃焼した後に発生する灰は、冷却された後に「灰ピット」に送られ、トラックで埋立処分地まで運ばれます。


これは実際に搬入されたゴミを85℃で75時間乾燥させたもの。


ゴミは、焼却された後に重量で5分の1、容積で15~20分の1の焼却灰になるとのこと。


次に見学したのは、灰クレーンと灰ピット。


焼却炉と同様に中には入れませんが、ここは焼却灰をためておく場所で、灰クレーンで焼却灰をトラックに積み込み、埋立地まで運びます。


次に案内されたのは「蒸気タービン発電機」です。先述の通り、舞洲工場はゴミの焼却時に発生した蒸気を工場内の発電に利用し、余った電気を電力会社に送電しています。その蒸気で電気を生み出すのが蒸気タービン発電機というわけ。


だだっ広い空間に蒸気タービンと記載された大きな設備があります。


蒸気タービンと書かれた緑色のボックスの中には、超巨大なタービンが搭載されているのこと。蒸気の力を使ってタービンを回転させ発電しています。


舞洲工場でリアルタイムで発電していた電気の量は8250kW。8250kWは、500Wの家庭用掃除機1万6430台に相当する量です。


なお、舞洲工場ではゴミ1t当り約1000kWhを発電していて、これは全国にあるゴミ焼却工場の中でもトップクラス。


こちらはゴミ収集車がゴミを運びこむ場所。何台ものゴミ収集車が往来していました。


青い扉の向こう側にゴミを投入すると、底が開いてゴミピットにゴミが落ちていく仕組み。ただし、安全のため青い扉が閉まり安全確認された状態でないと、底が開かないようになっているそうです。


続いてやって来たのは「粗大ゴミピット」


ここは粗大ゴミだけを貯留する大きなピット。真下を見ると、大小さまざまな粗大ゴミがたまっています。


見ているとちょうど粗大ゴミが運ばれてきました。


運ばれてきたのは大量のマットレスで、ドサーッと粗大ゴミピットに落ちていきます。


粗大ゴミは不燃性と可燃性粗大ゴミに分かれて運びこまれ、不燃性粗大ゴミはピットに貯留された後に、「回転式破砕機」で約150mm以下の小片に粉砕されます。また、可燃性粗大ゴミは「低速回転式せん断破砕機」という機械で約400mm以下の小片に粉砕されるとのこと。下記は回転式破砕機を表したイラストで、不燃性粗大ゴミを粉砕するハンマーが描かれています。


このハンマーは時速約152km/hで回転して不燃性粗大ゴミを粉砕。鉄の塊が152km/hで回転すると、いくら大きな粗大ゴミでも粉々になるのが想像できます。


最後は舞洲工場の中庭を見学。舞洲工場は自然との調和の象徴として芝生や木が至る所に植えられています。


建物内部の設備を見た後にど派手な外観を見ると、そのギャップになんだか不思議な気分になります。


巨大な塔の中には2つの焼却炉をつなぐ2本の煙突が入っていて、内側にらせん階段があるそうです。一番上にある金色の部分は特別の機能があるわけではなく、装飾の一部。


これにて見学は終了。上映されたムービーを含めて全部で約1時間30分ほどでした。


舞洲工場は、その外観に目が行きがちですが、中にある設備も外観に負けないくらい興味深いものばかりです。また、職員の人が常に付き添ってくれ、質問すると丁寧に教えてくれます。近くにあるユニバーサル・スタジオ・ジャパンも楽しい場所ですが、舞洲工場は無料で見学できるので、気になる人は足を運んでもよさそうです。

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in 取材,   アート, Posted by darkhorse_log

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