取材

「攻殻機動隊」世界の実現に向けて「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」説明会&公開ブレスト実施


士郎正宗のマンガを原作としてアニメ・ゲーム・小説に広がっている「攻殻機動隊」の世界を、最先端の技術を用いて現実化しようという「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」の説明会が、6月12日(金)に六本木ヒルズ クロスポイントで開催されました。

攻殻機動隊 REALIZE PROJECT
http://www.realize-project.jp/


このプロジェクトは、攻殻機動隊発表25周年を記念して2014年秋に始動したもの。2015年3月に開催されたAnimeJapan 2015ではセミナーが開催されました。


今回は「プロジェクト説明会」「公開ブレスト」「会場内展示観覧」の3部構成。


第一部・プロジェクト説明会では、株式会社HEART CATCH代表取締役CEOで、攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 事務局 顧問/エヴァンジェリストの西村真里子さんが進行を務めました。


まずは株式会社プロダクション・アイジー代表取締役社長であり、攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 実行委員会の実行委員長でもある石川光久さんが登壇し、あいさつ。こうして攻殻機動隊が25周年を迎えられたのは士郎正宗さんの原作の「根っこ」の強さにあって、作品の舞台である2029年が近づくほどに士郎さんの未来を見る目がすごいものであったということを感じる、と語りました。REALIZE PROJECTについては、「『攻殻機動隊』に描かれているが、今の技術ではできないものをみんなと実現しよう」「『攻殻機動隊』では描かれていないが、この世界観ならこういうものもあるはず(攻殻の世界を広げてくれる)というものを実現しよう」という、原作に寄り添うのではなく、近づいていったり、お互いに影響を与え合うものを生み出すプロジェクトであることを表明しました。


現在、攻殻機動隊 REALIZE PROJECTは「メディア事業」「インキュベーション事業」「the AWARD事業」「プロジェクト・関連事業」の4種類の事業を進めています。


◆3D Photogrammetry feat. Motoko Kusanagi
まず、「プロジェクト・関連事業」の1つとして、写真家の桐島ローランドさんが運営・監修を務める国内初のフォトグラメトリー専用スタジオ「AVATTA」で、草薙素子の3Dフォトグラメトリーが作られています。


Avatta | アバッタ – 日本で初めてのフォトグラメタリー専用スタジオ
http://avatta.net/


フォトグラメトリーとは、3次元の物体を複数アングルから撮影し、そこから得た2次元画像を解析し、3次元データを起こしていく先端技術。


「AVATTA」では、この最新技術を駆使し、60台以上のカメラをシンクロさせて被写体の一瞬をあらゆる角度から同時に撮影。


その大量の写真をソフトウェアで再現性の高いデータに瞬時に変換しています。


多くのスタジオでは手持ち式のスキャナなどを使っているそうですが、AVATTAでは一眼レフカメラを使用。


素子のモデルになったのはうしじまいい肉さんと有馬綾香さん。


会場には、実際に素子の姿になった有馬さんが登場。


3Dデータのいいところは、一度撮影すればポージングも自由に変えられること。桐島さんがいろいろなデータを見せてくれる中に「撮影していないはずのポーズもある」と、有馬さん自身が驚いている様子でした。


その一例が、このハイキックポーズ。


せっかくだからと、同じポーズを取ってくれました。衣装データを作ればどんな衣装でも着せることが可能なのも大きなメリットです。


◆《攻殻グラフ》攻殻世界の可視化(攻殻係数・LiVEARTH)
続いては、株式会社ライブ・アース代表取締役社長で、技術顧問・国際公認投資アナリストの庄司真史氏が登壇。


攻殻グラフ」というのは、作品に登場する様々な技術を、セマンティックネットワークの理論に基づいてグラフ化したもの。攻殻機動隊の技術は大きく、電脳(Cyber Brain)・人工知能(AI)・義体(Cyborg)・ロボット(Robot)・都市(Smart City)の5つに分かれます。


日々の技術系ニュースの中には「人工皮膚を3Dプリントする」など、攻殻機動隊を感じさせるようなものもあります。それらを整理して、作品世界に現実が近づいていることを感じられるように考えられたのが「攻殻係数」。読者・専門家・メディア・事務局がそれぞれの視点で評価を行うものです。


そして、地球儀技術「LiVEARTH」による・攻殻世界の可視化。これは世界の産業用ロボットの取引額をウェブ地球儀上に可視化したもので、世界各国での商用ベースの動向により、2029年の攻殻機動隊の世界が近づいていることを示しています。


◆攻殻機動隊 REALIZE PROJECT コンテスト・ハッカソン
NTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長で、プロジェクトのエグゼクティブスーパーバイザーを務める秋元信行氏。


ハッカソンを通じて、関係者やベンチャー企業とともに、「攻殻」を本当にリアルなものにしていくお手伝いができれば、とのこと。


詳細についてはコモンズ代表・プロデューサーで、事務局統括顧問の武藤博昭氏から話がありました。


まず、「攻殻機動隊」らしい研究・開発を行う国内企業・団体・個人を表彰する「攻殻NEWS部門」。


コンテスト・ハッカソンの中から優れた作品・参加者に対する表彰を行う「一般参加部門」


3都市・3テーマということで、東京・神戸・福岡でプロジェクトが推進されるようです。


それぞれが動くことで、攻殻機動隊の世界をリアルにする、というわけ。


スケジュールはこんな感じ


「2029年の攻殻機動隊の世界は、そう遠くない」とプレゼンは締めくくられました。


フォトセッションでは、素子とバトーが「リアライズ」していました。


◆攻殻機動隊の世界を実現するために!REALIZE 公開ブレスト
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の稲見昌彦教授・南澤孝太准教授と、映画監督の神山健治さん・小説家の冲方丁さんが、「攻殻機動隊」の実現に向けてのブレストを行いました。


ブレストは「義体・ロボット」「電脳・人工知能」「都市」の3セッションに分けられました。


神山監督は、義体とは身体に直接繋がった状態で身体機能を拡張するもの、ロボットは遠隔操作するもので自分の分身みたいなもの、AIを搭載して自律的に動くものだと定義。


稲見さんはまさにその定義と同じ考えで研究を行っているそうですが、身体拡張は「いかに体に合わせるか」、ロボットは「人と同じように動かすことが難しい」と、それぞれに異なる難しさを持っていると語りました。


STAND ALONE COMPLEXの第1話で、神山監督は芸者ロボットを登場させました。かつて、ロボットは人がやりたがらない仕事をやるものだと考えていた神山監督ですが、いざ攻殻機動隊を作ってみると、ブルドーザーの代わりに高価なロボットを投入することはないのではないか、むしろ、人ができないことをやる、という役割が与えられるのではないかと考えるようになったとのこと。冲方さんは、人間のように衰えないという有用性こそが、ロボットに対して恐怖を抱くところではないかと指摘しました。


「電脳・人工知能」セッションでは、ロジコマは「ロジスティクス」の名前の通り「しゃべって歩けるでかい台車」という位置付けだったので、主人公たちの組織が発展を遂げていく過程で備品が充実していくとロジコマも増えていく、という描かれ方だったことを冲方さんが明かしました。


セクション3「都市」では、「インフラの変化」という話題が。つまり、自動運転カーや、ARISEで描かれた都市交通システムによる制御によって「自分の手で運転する」ということがなくなり、都市のインフラ自体が変わってしまうのではないか、ということ。さらにいえば、「自分が移動すること」の必要性が問われることにもなりそう。

「エネルギー」の話題になると、神山さん・冲方さんとも「逃げたいテーマだった」と告白。というのも、義体は重いという描写があっておそらくはバッテリー駆動であることは確かなものの、ではそのバッテリーはどれぐらい持つのか、どうやって充電しているのかという問題が出てくるため。また、インフラにおいても「義体用のエレベーターがないと止まってしまうのでは?」など、いろいろと考慮すべき事が出てくるため、「ばっさり割愛した」とのこと。

神山監督が「スマートフォンは1日1回充電、では義体はどれぐらいの頻度で充電するんだろう」と疑問に思ったこのポイントについて、CPUなどのパーツの進化は加速していくのに対して、バッテリーのような技術は進化が直線的なので2029年時点でまだ重たいというのはリアルだと稲見教授。ワイヤレス給電で、たとえばエレベーターに乗っているときなどに充電しているのかも、という可能性が語られました。そういった技術の進歩まで考えて見てみると、「攻殻機動隊」が一段と面白くなるかも。


©攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 2015

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in 取材,   映画,   アニメ, Posted by logc_nt

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