乗り物

6日間にわたって無補給・ノンストップで飛び続けて世界最長飛行記録に挑む「Solar Impulse 2」


太陽光エネルギーのみでの世界一周を目指すソーラー・インパルス2が、6日間ぶっ通しで中国からハワイまで飛行する旅に出ました。途中でどこかに立ち寄って燃料を補給することもないため、「太陽光の力のみで飛行機はどこまで能力を発揮できるか?」という真価が問われることとなります。

Solar Impulse 2 begins world’s longest flight: Six days, five nights non-stop | Ars Technica UK
http://arstechnica.co.uk/science/2015/05/solar-impulse-2-begins-worlds-longest-flight-six-days-five-nights-non-stop/

スイス連邦工科大学ローザンヌ校が開発するソーラー・インパルスは太陽光エネルギーのみで昼夜を問わず飛び続け、世界一周をしようと試みる有人固定翼機です。現在は2代目のソーラー・インパルス2が世界最速で地球一周することを目指しているのですが、そのソーラー・インパルス2が中国からハワイまでの8172kmを無補給・ノンストップで飛行するという旅へと飛び立ちました。これからソーラー・インパルス2はパイロットのアンドレ・ボルシュベルグ氏と共に5泊6日、ノンストップで飛行し続けます。なお、8172kmという距離は単独のパイロットによる飛行距離としては過去最長記録です。

BREAKING NEWS: Weather looks good! Attempt for #Flight7 with takeoff from Nanjing at 6PM UTC! #futureisclean pic.twitter.com/0PLrSOF4sA

— SOLAR IMPULSE (@solarimpulse)

これがソーラー・インパルス2。


主翼にはソーラーパネルが敷き詰められており、日中に発電した電力で夜間も飛行することができます。


コックピットに座るパイロットのボルシュベルグ氏。


72メートルというボーイング747よりも大きな翼長を持つソーラー・インパルス2は、今年3月に世界一周を開始し、アラブ首長国連邦のアブダビを出発し、ペルシャ湾を通過してオマーンへと入り、その後インド・ミャンマー上空を通って、4月に中国・南京に到着しました。

アブダビに到着した時の様子。


輸送機に収まっているソーラー・インパルス2。


飛行中はこんな感じ。


これまでは途中で各地域に立ち寄っていましたが、今回のフライトはアブダビからの合計6フライトを足したよりも長い距離を飛行することになるため、本当の意味でソーラー・インパルス2の能力を試すものになると考えられています。南京からハワイまで飛行することで、果たして太陽光エネルギーを動力とする飛行機が夜でも安定して滞空できるのか、リチウムイオンバッテリーは飛行に十分な燃料であるのかが明らかになるはずです。

南京を飛び立っていくソーラー・インパルス2。


なお、ソーラー・インパルス2のウェブサイトからは現在の飛行状況が確認できるようになっています。

Solar Impulse 2
http://www.solarimpulse.com/



画面の真ん中、下辺りにある「COCKPIT」をクリックすると……


こんな感じに画面が切り替わり、右上のアイコンをクリックしていくとさまざまな情報が見られるようになります。


例えばSolar Impulse 2は日中、上空8000mまで上昇し、太陽光でバッテリーをチャージしますが、海外ニュースサイトのArs Technica UKが確認した時点では、太陽が沈んでいたためエネルギーにバッテリーが使われていました。


しかし、記事作成時点では太陽が出ている場所にいるため、バッテリーは使われず、太陽光のみで飛行が行われています。


この他、ウェブサイトではコントロールがどんな感じで行われているのかを確認したり……


パイロットの状況を知ることが可能。記事作成現在は離陸から1日と13時間8分が経過しており、パイロットのボルシュベルグ氏は休憩中。パイロットの行動には「運転中」「ヨガ」「食事中」「トイレ」などの項目があり、食べ物や飲み物の在庫もブラウザ上からチェックできるようになっていました。


「EMOTION(感情)」という項目では、Twitterでの発言をもとに、フライトをチェックしている人の感情をトラッキングしています。記事作成現在は期待が30%、信頼が22%となっていました。


アブダビを出発してからの時間の経過なども見ることができます。


南京からハワイまでの道のりは34%を越えたところであり、残り3分の2である5951kmの距離をこれから飛行していくわけです。


なお、フライトはリアルタイムで中継されており、以下のムービーから飛行機内の様子が確認できます。

LIVE: Solar Impulse Airplane - Takeoff from Nanjing - #RTW Attempt - YouTube


なお、Solar Impulse2は悪天候のため、6月1日に急きょ名古屋に着陸する事態となっています。現在は天候が回復するのを待っている状態とのことです。

◆2015/07/08 10:15追記
悪天候のために県営名古屋空港(小牧空港)に緊急着陸していたSolar Impulse2でしたが、着陸から28日後の6月29日に同空港から離陸し、117時間52分(およそ5日間)に及ぶ長時間フライトの末にハワイに無事に着陸しています。今回の飛行距離は7212kmで、平均スピードは時速61.19kmとなっていました。

Solar Impulse RTW - 8th Leg from Nagoya to Hawaii

BREAKING #RTW: the first image of #Si2 above Hawaii, after 106 hours! #futureisclean http://t.co/JIj9tHK6hl pic.twitter.com/XpioLX0NOI

— SOLAR IMPULSE (@solarimpulse)

BREAKING NEWS: a magnificent picture of #Si2 flying around #Hawaii at sunrise! #futureisclean http://t.co/kZc17xbLWl pic.twitter.com/DJY92hNdpD

— SOLAR IMPULSE (@solarimpulse)

着陸時の様子は、Solar Impulse2の公式Vineアカウントでも見ることが可能です。

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in ハードウェア,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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