エボラウイルスは感染中も進化していくことが明らかに

By NIAID

2014年にアフリカを中心に猛威をふるったエボラ出血熱は、2015年5月17日にリベリアで終息宣言が出されるなど、感染者が減っています。しかし、エボラウイルスの特徴を考えると依然として予断を許さない状況が続いていることが明らかになっています。

Genetic diversity and evolutionary dynamics of Ebola virus in Sierra Leone : Nature : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature14490.html

Latest Ebola data rule out rapid mutation : Nature News & Comment
http://www.nature.com/news/latest-ebola-data-rule-out-rapid-mutation-1.17554

Chinese Scientists Reveal Genetic Diversity and Evolutionary Dynamics of Ebola Virus in Sierra Leone---Chinese Academy of Sciences
http://english.cas.cn/newsroom/research_news/201505/t20150515_147342.shtml

Ebola not mutating beyond 'normal' rate, scientists say - MyFoxAL.com - FOX6 WBRC Birmingham, AL
http://www.myfoxal.com/story/29055961/ebola-not-mutating-beyond-normal-rate-scientists-say

2014年に過去最大の感染規模となり、1万人以上の死者を出したエボラ出血熱は、徐々に感染者の人数が減少し、WHOが西アフリカでは初めてとなるリベリアでのエボラ出血熱流行の終結宣言をするなど、事態は沈静化しつつあります。なお、エボラ出血熱の潜伏期間である21日の倍の期間の42日間に新しい感染がないことをもって終結宣言が出されます。

2014年大流行のエボラウイルスについては遺伝子配列データの分析が行われており、2015年5月13日に公開された論文では、今回のエボラ出血熱大流行におけるエボラウイルスの遺伝子変異がどの程度だったのかが明らかにされています。研究を行ったのは、中国政府運営の研究機関China Mobile Laboratory Testing Teamで、2014年9月28日から2014年11月11日までにシエラレオネで収集された3000を超えるエボラウイルスの遺伝子配列を分析することで175個ある遺伝子配列を決定し、その結果、エボラウイルスはこれまでと同じペースで変異していたことが分かったとのこと。


ウイルスは感染が拡大するとともに微妙に遺伝子構造を変化させ、時には性質が大きく変わるケースがあるところ、今回の大流行においてもエボラウイルスの変異は「定常進化」にとどまっており、一部の科学者が懸念していた、大きな変質は見られなかったとしています。なお、エボラ出血熱は現時点では空気感染しないことが分かっていますが、仮にウイルスが大きな変異をした場合、空気感染するものが現れる可能性はあるそうです。

研究チームは変異ペースが通例通りであることだけでなく、エボラウイルスの単一のヌクレオチドが合計440個置換されたことを突き止めたそうで、今後もウイルスの遺伝的多様性を調べ変異の根本的なメカニズムを突き止めることで、ワクチンの開発につなげたいとしています。なお、エボラ出血熱のワクチン開発をめぐっては、サルでの効果が確認されるなど、今後は人への臨床試験も急速に進むと期待されています。

エボラ出血熱は世界的に沈静化しつつありますが、ギニア、シエラレオネでは終結宣言はまだ出されておらず、完全に脅威が去ったわけではありません。また、エボラ出血熱から回復した後も一定期間は性交渉によって感染する可能性があることや、血液から検出されなくなってから数ヶ月後にも目の中でエボラウイルスが生き残っていることがあるなど、エボラウイルスの生命力は尋常ではないため、ただちに大流行が終息したと結論づけるのは適当ではなく、今後も事態を注意深く見守っていく必要がありそうです。

By NIAID

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