メモ

ドローンで空撮したムービーのYouTube投稿をFAAが禁止する動き

By Ted Eytan


アメリカではドローンの娯楽利用は認められていますが、商業目的での利用は規制されています。YouTubeではドローンに搭載したカメラで撮影した数多くのムービーが公開されていますが、YouTubeには広告表示機能があることから、ドローンを使ったムービーをYouTubeにアップロードすることは、ドローンの「商業利用」に該当するとして、連邦航空局(FAA)が取り締まりを開始しています。

The FAA Says You Can't Post Drone Videos on YouTube | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/the-faa-says-you-cant-post-drone-videos-on-youtube


2014年からドローンに搭載したカメラで撮影したムービーをYouTubeで公開していたドローン愛好家のジェーソン・ヘインズさんは、2015年3月のある日、FAAから1通の法的通知書面を受け取りました。その内容は「YouTubeでは広告が表示されることから、YouTubeで公開しているムービーはドローンの『商業利用』に該当するため、罰金や法的処罰に問うことができる」というものでした。

ドローンやその他模型飛行機の「娯楽利用」はFAAの規制対象外ですが、厳密にどこからどこまでが「商業利用」にあたるのかを明記した規定はありません。今回のケースではYouTubeの広告によって公開者が金銭を得られることから、FAAはドローンの商業利用にあたると判断したわけですが、ヘインズさんがYouTubeから得た広告収入は1ドル(約120円)にも満たないとのこと。これまでFAAは、ドローン貸し出しサービスを宣伝するウェブサイトなどに宛てて警告状を送付していたことが知られていますが、一般ユーザー向けに警告状が届いたのは今回が初めて。


FAAの警告状には「我々の目標はUAS(無人航空機システム)ユーザーが、『どうすれば合法的にかつ安全に飛行できるか』を考えることで、各自のコンプライアンスを再考してもらうことです」と書かれており、ここ2、3年の間にドローンユーザーが急激に増加していることから、FAAは「ドローンの商業利用」の適用範囲を拡大して規制する方針を打ち出したわけです。

ドローンの規制は今後ますます厳しくなっていくと見られていますが、ドローンメーカーの最大手であるDJIは、ドローン販売企業として初めてとなる10億ドル(約1214億円)の売上高を記録しています。さらにドローン搭載カメラの高機能手ブレ技術を応用した手持ちカメラをCES 2015で発表するなど、ドローン以外のテクノロジーの発展にも貢献していますが、DJIがFAAの規制強化の動きにどう対処するかが、今後の成長に大きく影響しそうです。

DJI's new drone camera is also a super smooth handheld — CES 2015 - YouTube


このような方針をFAAが打ち出したわけは、急激に成長したドローンの飛行を規制する法律が整備されていないことから、ドローンの落下などによる安全確保が難しいことが要因の1つです。高高度まで飛行できるドローンは、娯楽目的の使用においても突発的な落下事故が想定されますが、安全性を重視して激突による墜落を防止する「ボール型ドローン」も登場し始めています。

Flyability Drones for Good Semi-Finals - YouTube


DJIのようなドローンでは安全を確保できない以上、規制が強化されるのは当然の流れとも言えますが、ドローンは人が踏み入れられない場所に危険なく踏み込めるという有益性も持ち合わせています。例えば災害時に動けない被災者を探索して位置を特定するという活用方法が考えられるほか、実際にドローンと観測衛星によるリモートセンシング技術を使って、サハラ砂漠の思いも寄らない場所に文明の痕跡を発見したことが報告されています。法整備にあたっては安全性を確保しつつ、有益性を発揮できるというバランスが求められるのかもしれません。

Drones and satellites spot lost civilizations in unlikely places | Science/AAAS | News
http://news.sciencemag.org/archaeology/2015/02/drones-and-satellites-spot-lost-civilizations-unlikely-places

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
遠隔操作で空を飛ぶ無人偵察機に罰金を課したところ操縦者が思わぬ反撃を繰り出し空のルールが変更されるおそれ - GIGAZINE

無料でドローン飛行禁止区域を登録できる「No Fly Zone」はなぜ必要か? - GIGAZINE

上空からダイナミックなムービーを誰でも手軽に撮影できる「ドローン」の置かれた危機的状況とは? - GIGAZINE

飛行規制の策定が予想されるドローンははたして市民権を得られるのか? - GIGAZINE

ホワイトハウスにドローンを墜落させたのは酔っ払ったシークレットサービスだったことが判明、その後の対応の数々は - GIGAZINE

1分で患者の元に駆けつけてAEDの指示までできる「救急ドローン」 - GIGAZINE

高速飛行して対象を識別しドローンを捕獲するドローン「Rapere Intercept Drone」 - GIGAZINE

極寒の水の中に飛び込んでまで男性が救い出したものとは? - GIGAZINE

in メモ,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.