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ヘロイン中毒治療から学ぶ悪い習慣を変える方法

By Matthew T Rader

1960年~1975年にかけて行われたベトナム戦争では、なんとアメリカ軍兵士の15%がヘロインの中毒に陥っていたとのこと。事態を重く見たアメリカ政府は急きょ「薬物乱用防止対策局」を設立。そこで行われたリハビリプログラムによって、中毒に陥った兵士たちのヘロイン再使用率は5%未満にまで抑えられましたが、麻薬の中で最も中毒性が高いといわれるヘロインの常習性を断ち切ったプログラムが、悪習慣に関する研究で注目されています。

What Heroin Addiction Tells Us About Changing Bad Habits : Shots - Health News : NPR
http://www.npr.org/blogs/health/2015/01/05/371894919/what-heroin-addiction-tells-us-about-changing-bad-habits


1971年5月ごろ、ベトナムを正式訪問したアメリカの国会議員の報告により、15%のアメリカ軍人がヘロインに手を出していることが発覚。その中毒性の強さから、アメリカでも敬遠される麻薬であるヘロインがはびこる事態を重く見た当時のリチャード・ニクソン大統領は、すぐさま対策を講じました。1971年6月に「薬物乱用防止対策局」が設立され、麻薬問題担当長官のジェローム・ジャフィ氏が責任者として任命されました。ジャフィ氏は研究を推進するため、精神医学の研究者リー・ロビン氏に支援を求めました。

ロビン氏がベトナムに駐在している兵士に対して尿検査を実施したところ、兵士のうち20%がヘロイン中毒に陥っていたことが判明。中毒が確認された兵士たちの帰国は見送られ、リハビリなどのプログラムを受け、禁断症状がなくなるまでベトナムに滞在することとなり、回復後にアメリカへ帰国しました。ロビン氏は帰国後の兵士たちを一定期間調査しましたが、帰国後に再度ヘロインに手を出したのはたったの5%で、中毒者のうち95%は帰国後にヘロインに手を出すことはありませんでした。

アメリカにおけるヘロイン中毒患者のヘロイン再使用率は実に90%以上であったため、当時は「ロビン氏が何らかの間違いをおかしている」、または「政治的影響を受けて偽りの報告を挙げている」と受け取られたほど。しかしながら、この研究が40年たった今は行動学の分野で注目されています。

By Brian Ambrozy

人間の行動や習慣を変える方法を研究している南カリフォルニア大学の心理学部のウェンデイ・ウッド教授によると、「同じ習慣が何度も同じセッティングや環境で繰り返された場合、その習慣はうまく変えることができるのです」と説明します。毎日車を運転する習慣を持つ人にとって「車の運転」は単なる日常の一部分ですが、車の運転という行為は「ドアのロックを開ける」「シートに座って位置を調節する」「イグニッションキーを回す」といったタスクが積み重なったもの。こういった日常的な動作は後天的に無意識下で覚えるものであるため、変化の余地がある、とウッド教授。

喫煙のような悪習慣を断ち切るためには、例えば「利き手と逆の手でタバコを吸う」というように、無意識の動作を意識的に分裂させることが重要である、とウッド教授は話しています。教授はベトナム戦争の兵士たちのヘロインの再使用率が異様に低かったわけについて、「兵士はアメリカではなく、ヘロインを覚えたベトナムで依存症治療を受けてから帰国しました。治療後にヘロインの悪習慣を持った環境とは抜本的に異なる環境に移動したことが、ヘロインの再発を防いだ大きな要因と考えられます」とウッド氏は話しています。

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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