レビュー

24時間でウイスキーを3年熟成させる「Whiskey Elements」を実際に使って飲み比べてみた


ウイスキーは同じ銘柄でも「12年」「30年」など、年数によって味わいが異なります。これはウイスキー樽に入れて保存することで、木材の成分や、空気からの酸化による「熟成」が進むため。元は無色透明の「ニューポット」と言われる出来たてのウイスキーが、琥珀色に変化したり、複雑な味わいを増していったりするわけですが、そんなウイスキーをたった24時間で3年分も熟成させられるのが「Whiskey Elements」。Kickstarterで製品化されたものが編集部に到着したため、実際にウイスキーに入れてみて、どんな変化が起こるのか試してみました。

Time and Oak Whiskey Elements | Enjoy Whiskey Your Way
http://timeandoak.com/

「Whiskey Elements」が到着。今回は78ドル(約9200円)を出資したので、Whiskey Elementsの「シグネチャー」6本、「スコッチ」6本と、Whiskey Elementsの試作品として「スパイス」2本、「スモーク」2本、「ワインカスク」2本の全5種セットが届きました。


説明書には「Drop(スティックを入れる)」→「Wait(24時間待つ)」→「Drink(飲む)」とあり、とてもシンプル。


「シグネチャー」からペリペリと包み紙を開封。


樽材から作られた手のひらサイズのウッドスティックが2本入っていました。燻製のようなスモーキーな香りが漂い、スティックにはウイスキーの熟成を進めやすくする切り込みがいくつも入っています。


こちらは「スコッチ」で、切り込みの入り方が異なっています。シグネチャーとは違った強めの香り。


「スモーク」は最も燻製の香りがたっています。試作品は全てシグネチャーと同じ形なので、混ざってしまわないように注意が必要。


「スパイス」はその名の通り、ピリッとした香り。


「ワインカスク」は甘い上品な香りのスティックとなっており、それぞれ全く違った香りが感じられます。


というわけで、全5種類の違いを確かめるため、クリアでクセのない味わいの低価格なウイスキーということで、「ブラックニッカクリア」を買いまくってきました。


パキッと開封。


シグネチャーのスティックを投入してみます。分量は750mlにつき1本で、1.8リットルなら2本。ブラックニッカクリアは1ボトルが700mlなので、1本ずつ投入していきます。


こちらはスコッチのスティック。ウイスキーに固形物を放り込むのは初体験なので、何やら変な感じ。


スティックはほとんどがウイスキーの中に沈むのですが、中には浮力の高いスティックもありました。


全部入れ終わったら24時間でタイマーを合わせて、熟成を待ちます。本当にこれだけで3年分もおいしくなるのでしょうか……。間違えないように、それぞれのボトルに名前を書いておきました。


Whiskey Elementsを製造するTime and Oakによると、24時間以上スティックをつけても変化することはないとのことですが、きっかり24時間で試飲してみることに。


熟成が終わったウイスキーを並べて見ると、なんと、それぞれ色が変わっています。


「光の加減か?」と思ったので、左から色の濃い順番に並べ替えると、その差は歴然。シグネチャーとワインカスクの色が濃くなっており、対照的にスコッチは色が薄くなっています。


何も入れていないブラックニッカクリア(左)とシグネチャー(右)を並べたところ。明らかに色が濃くなっています。


スコッチは色が薄くなっており、「本当に何かが変わっている!」ということが目で見てわかるのが興味深いところ。


まずは主力銘柄の「シグネチャー」からをグラスに注ぎます。明らかに元のブラックニッカクリアとは異なる香りで、同じウイスキーとは思えないほど。飲んでみると、クセのないブラックニッカクリアと違って、バーボンのような強めの味わいになっています。これほど劇的な変化があると思っていなかったのですが、「3年熟成させた」というよりは「別のウイスキーになった」という感じで、華やかな味わいのバーボンに入れると相性が良いのかも。


続いて「スコッチ」。飲んでみるとスモーキーな香りがふんわりと香り、ウイスキー自体のうまみも増しているように感じました。ただし、飲む前の香りと飲んだ後の香りに差があり、「なじみきっていない」ような印象を受けました。


名前通りスパイシーなウイスキーに変貌した「スパイス」。香り・味わいともに、スパイスのウイスキーの方がスコッチウイスキーに近い味わいで、系統的には「ジョニーウォーカー」に似ている、と感じました。「3年熟成させた」という感覚はたしかにあるかも。


「スモーク」は、スティックの状態で最も香りが強かったのですが、その存在感はウイスキーにも反映されており、アイラモルトのような香り強いウイスキーに仕上がっています。飲んでみると、その香りは味わいにもなじんでいますが、後味に少し辛味を感じました。


甘い香りが特徴の「ワインカスク」を入れたブラックニッカクリアは、ブランデーのような香りのウイスキーになっていました。ただし、味わいはあまり変わっていると感じられず、熟成というよりは単に香料を追加したような印象。


普段お酒を飲む編集部員数名にも、それぞれの違いを味わってもらいました。「香りや味わいが明らかに変化している」という意見を全員から得ることができ、Whiskey Elementsを使うと何かしらの効果を得られることは確実。評価が高めだったのはスコッチでしたが、人によって評価がかなり分かれる、という結果になっていました。


オーブンで焼いたウイスキー樽の木材をウイスキーに入れて熟成させる、という斬新なアイデアのWhiskey Elementsは、24時間でウイスキー中に含まれる二日酔いの原因となる成分を除去するなど、実際に化学変化を起こしているとのこと。香りが別モノになるので、例えば30年物などの年代物のウイスキーに入れるのは勇気がいりますが、どのスティックでも劇的な変化があるため、お酒好きなら一度は試してみたくなる興味深い製品となっています。

なお、Whiskey Elementsは以下のページで3種類のスティックを販売中で、価格は「シグネチャー」が2本で12ドル(約1400円)、「スモーク」「ワインカスク」が2本で14ドル(約1600円)。日本への発送は別途9.75ドル(約1100円)が必要となっています。

・追記 2015年1月24日 12:47
Whiskey Elementsを販売するTime & Oakから、GIGAZINE読者限定のクーポンコードが届きました。購入時に「WE085」を入力すると、商品代金から10%が割引になるとのこと。精算時の「Have a gift card? Click here to enter it」から入力すればOKなので、ぜひ使ってみてください。

Products – Time & Oak
http://store.timeandoak.com/collections/all

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in レビュー,   , Posted by darkhorse_log

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