貧困は経済的に間違った意思決定を招くことが世界開発報告書で明らかに

By Gates Foundation

日本の貧困化は過去最悪の状況に陥っていることが厚生労働省の2013年の調査によって明らかになっていますが、貧困層の人々が貧困を抜け出せなくなる仕組みをWorld Development Report(世界開発報告)が調査しています。

Free exchange: Poor behaviour | The Economist
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21635477-behavioural-economics-meets-development-policy-poor-behaviour


World Development Report 2015: Mind, Society, and Behavior
http://www.worldbank.org/en/publication/wdr2015

従来の経済学は、貧困層の人々の考え方を「貧困から抜け出そうとするはずだ」と仮定してきました。しかし、World Develpoment Reportによると、貧困層の人々は他の人々に比べて「経済的な意思決定」を悪い方向へ行う可能性が高いことが判明しています。これは、彼らが非合理的で愚かだということではなく、優れた決定をするための情報が欠如しているのが原因の1つです。

貧困層の人々が現状を改善しようとすると必ず何らかの障害に直面することになりますが、失敗時の余裕がないために危険を冒すことができません。これは例えると、農家が化学肥料の購入をやめて子どもを中等学校に入れれば、将来的には利益を得ることができるのにそうしないようなもので、なぜ貧しい人たちは貧しいままなのか、という理由でもあります。

By Jan Truter

こうした貧困層の人々が持つ傾向は先進国・発展途上国を問わず見られるものですが、行動経済学を取り入れることで、開発計画を改善していくことは可能です。従来、開発といえば道路建設・病院や学校の設立・用水路整備など、資源分配と設備充実に重点が置かれてきました。しかし、行動経済学のアプローチは異なるものです。

ボゴタで行われていたプログラムでは、子どもたちを学校へ連れて行った母親に対して、給付金を毎月支給していましたが、新学年移行時の再登録率が低かったとのこと。そのため、給付金の一部の支払い時期を新学年開始前に変更すると、再登録率は急上昇。「学校に行く」ということ自体が有益なので他に奨励金が出るわけではなく、家庭で使える総合計金額の変化もない施策ですが、「支払いを行う(支払うという経験をさせる)」こと自体が本質的なところで、これは行動経済学的なアプローチの成功例だといえます。

By Kent Clark

1990年代にジャマイカで行われたプログラムには、慢性的栄養失調の幼児を持つ母親に対して、幼児たちの励みになる遊び方や技術を教えるというものがありました。20年後、このプログラムを受けて育った家庭の子どもたちの平均年収はプログラムを受けなかった同年代の子どもたちより高くなっていたとのこと。「貧困層が実際にどのように考えて行動するか」を考えることは、貧困層の「金融への受け入れ(ファイナンシャル・インクルージョン)」の大きなチャンスとなり、人々が望む金融商品の購入を促進するとのことです。

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