マルチコプターから極秘任務の軍用機まで、アニメで見る「ドローンの歴史」


少し練習するだけで誰でも簡単に空撮が可能になったり、塀の中にいる仲間にマルチコプターでタバコを届けようとしたり、あるいは密かにターゲットに近づき、気付かれないうちに攻撃を完了する「キラードローン」など、「ドローン」と呼ばれる無人航空機にはさまざまな用途やメリットが備わっているものです。そんなドローンとは一体どのような成り立ちで生まれ、そして使われてきたのかがムービーで解説されています。

An Animated History of the Drone | Mashable - YouTube


そもそも「ドローン」と呼ばれるものは何なのでしょうか?


ある人は「上空から監視するための機械」と言ったり……


「商品を配達するための道具」と言う人もいるでしょう。


さらに、「上空から人知れず標的を攻撃する飛行機」という人もいるはず。


事実、アメリカ軍では100機以上の無人ドローンが配備されており、世界の戦争地域で任務にあたっています。


そのため「ドローン=隠密に行動する殺し屋」というイメージを持つ人がいるのも当然の結果。


アメリカ中央情報局(CIA)は2004年から2014年の間にパキスタンで400機以上のドローンを投入し、2000人以上の命を奪ったという報告もあります。しかも、これは明らかになっている数だけというもの。


ドローンの起源は、じつに100年以上にもさかのぼります。


ドローン、もしくはUAV(Unmanned Aero Vehicles)は、一般的にコンピューターやセンサーを搭載して動作する航空機のことを指します。


機体から遠く離れた場所から操縦を行うことができ、基本的にはラジコン飛行機のようなもの。しかし、その規模は地球規模ともいえ、単なる「ラジコン」とは比べものにはなりません。


その起源を特定することは少し困難。1915年には歴史上初めての戦闘機が戦争に投入されていますが、それ以前にも風船や凧を使った兵器が用いられてきました。


第1次世界大戦の終盤、アメリカ陸軍は「ケタリング・バグ」と呼ばれる空中魚雷を開発。


ケタリング・バグの実際の写真はこんな感じ。無人の小型複葉機で、機体は木製です。無人のまま敵地を襲撃して爆発するよう開発されましたが、実戦に配備される前に第1次世界大戦が終結を迎えました。

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1915年には、イギリス陸軍航空隊が偵察機を使ってドイツ軍陣営の撮影を実施。


撮影された1500枚以上の写真から鉄道の状況を把握し、作戦の遂行に活用されていました。


その後も航空機を使った偵察システムは進化を続け、1939年には世界初の大量生産型無人飛行機である「ラジオプレーン OQ-2」が開発されました。

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なお、機体工場ではノーマ・ジーン・ベイカーという女性がOQ-2の組立を担当していました。取材に訪れていたデビッド・コノバー一等兵によって見いだされた女性は、後に名女優マリリン・モンローとして歴史に名を残すことになります。


無人機による調査・偵察活動はその後も戦略上の重要な役割を担い続けてきました。1973年に勃発した第四次中東戦争でイスラエル軍は無人機「IMI マスティフ」を本格的に投入して人的被害を大幅に削減することに成功。さらに「IAI スカウト」を投入して大きな成果を残します。


1986年にはRQ-2 パイオニアが開発され、イスラエル軍、アメリカ軍などで実戦に配備されています。


同じ頃、アメリカに住むイスラエル移民のエイブラハム・カレム氏はロサンゼルスにある自宅のガレージで「Gnat-750」を開発。カレム氏はイスラエル軍で航空機の設計を担当していた人物でもあります。


当時はアメリカ軍の無人機でも数時間の飛行しかできなかったのに対し、カレム氏のGnat-750は50時間以上という連続飛行時間を達成し、軍関係から高い注目を集めました。

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1992年に始まったボスニア・ヘルツェゴビナ戦争の際に、CIAは2機のGnat-750を500万ドル(当時のレートで約6億円)で購入し、偵察活動に活用。


さらに1994年1月7日、アメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)はジェネラル・アトミックス社との間でGnat-750をベースに新しい機体の開発契約を結びます。


この契約ではGnat-750よりも大きく、安定した飛行が可能でより静かな機体の開発が進められ、6か月後には「RQ-1 プレデター」の第一世代が姿を現すことになります。

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RQ-1プレデターは1995年に運用が開始。2000年にはアフガニスタンに投入され、その後「911同時多発テロ」の首謀者となるウサマ・ビン・ラーディンの捜索任務にあたっていました。


当時のRQ-1プレデターに搭載されていた装備は、偵察用のカメラのみ。


しかし、2000年12月にはペンタゴンの承認を得て、対戦車ミサイル「ヘルファイア」を装備して火力を搭載するに至ります。


そして2001年9月11日の同時多発テロのあと、アメリカ政府はテロリスト容疑者をターゲットにした殺害プログラムを開始。選ばれたターゲットの中にはアメリカ人までもが含まれている作戦だったのですが、明らかにされているだけでも400名のパキスタン人、66名から184名のイエメン人、そして20名のソマリア人がドローンによって命を奪われています。


なぜドローンによる作戦が増加したのか、それは戦闘のスタイルが従来とは大きく変化したことが挙げられます。従来の戦闘では、ターゲットは外見などから容易に見分けられることができました


しかし、911テロ以降では一般人と見分けのつかないテロリストが増え、その活動が日常の生活に隠されるように変化したため、作戦の遂行が容易ではなくなりました。


そこで効果を発揮したのがドローンというわけです。遠く離れた場所から遠隔で操作でき、長時間にわたって調査活動が可能なメリットをいかすことで容疑者の特定に役立てられたとのこと。


しかし同時に、何の罪もない一般人が殺害されてしまうケースが増加したことが問題とされています。


2004年以降に殺害された一般人の数は957名で、さらにそこには200名の子どもの命が含まれています。


2011年、イエメン中部のマーリブ州でCIAのドローンがアメリカ国籍を持つアンワル・アウラキ氏を殺害。アメリカの機関がアメリカ国籍を持つ者を殺害したということで、国内でも大きな議論が巻き起こりました。なお、アウラキ氏はアルカーイダの幹部でもあった人物です。


◆一般化して平和利用も進むドローンの世界
しかし近年ではドローンの一般化が進んでいます。2014年にはAmazonが商品の配送にドローンを使用する計画を発表したり、不動産業者が物件の宣伝活動に導入するなどの動きが見られます。


また、一般ユーザー向けのホビー用途に多くの製品が発売されるようになったのも大きな変化と言えます。


アフリカで動物の密猟監視活動に導入されたり……


開発が進まない地域での医療活動に用いられたりすることもあります。


また、Facebookなどはドローンを使って上空からインターネット接続サービスを開始することを発表していたりします。


雑誌「Wired」の編集長を長らく務めたクリス・アンダーソン氏はこの状況をとらえて「ドローン時代に突入した」と語っています。


しかし一方で、全米で35の州がドローンの利用に制限を設けており、およそ10の州では既に法律が施行されています。


アメリカ国内の調査では、50%以上の国民がドローンによる攻撃を支持する一方で……


アメリカ以外の国々では、反対を唱える声が賛成を上回っているという結果も出ています。


立場が変われば意見が変わるのも当然の結果と言え、さらに「ドローン」にも軍用から民間用までさまざまな種類があるのも忘れてはならない論点。次々と進化が続くドローンの分野ですが、今後どのように世論が変化するのか、関心が集まりそうです。

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