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エボラ出血熱封じ込めに不可欠な「エボラウイルスの働き」の理解が進むムービー


西アフリカを中心に、かつてないほど猛威をふるい5000人以上を死に至らしめ感染経路が広がりつつあるエボラ出血熱ですが、エボラウイルスのメカニズムを正しく理解して、その感染経路についての理解を深めることで、感染拡大を予防してエボラ出血熱を封じ込めることは十分可能だと考えられています。「正しく怖がる」ことが大切なエボラ出血熱の理解のために、エボラウイルスがどのように活動するのかを分かりやすく解説するムービーが公開されています。

The Ebola Virus Explained — How Your Body Fights For Survival - YouTube


西アフリカで爆発的に感染経路が広がるエボラウイルス。エボラウイルスが人間の体にどのような影響を与えて死に至らしめるのか、そのメカニズムを見ていきましょう。


エボラウイルス(紫色)は人間の細胞(水色)やバクテリア(緑色)に比べて非常に小さいウイルスです。


エボラウイルスはRNADNAやタンパク質でできています。それ自身では生きていけず細胞に感染することで生きながらえます。


しかし、外敵を攻撃するシステムとして人間には免疫系があります。


免疫系は超複雑。


分かりやすく図にするとこんな感じ。


エボラウイルスに関係する免疫系だけ抜き出すとこうなります。


通常は樹状細胞という免疫細胞がウイルス対策を行っています。樹状細胞はキラーT細胞ヘルパーT細胞を活性化させて外敵をやっつけます。


しかし、エボラウイルスはこれらの免疫システムを直接攻撃します。


エボラウイルスは、最初に免疫システムの司令塔である樹状細胞を攻撃。


エボラウイルスはレセプター(受容体)にうまく結合して内部に侵入。


中に入ると内壁を溶かし、タンパク質酵素を放出して……


機能を書き換えて、樹状細胞を乗っ取ります。


乗っ取られた細胞はウイルスの生産工場に早変わり。細胞の中身はウイルスの材料に使われてしまいます。


「材料」を使い尽くすと細胞膜を破壊して何百万というエボラウイルスが放出されます。


エボラウイルスは司令塔の樹状細胞以外にも、指示を受けるT細胞にも働きかけます。そして、特殊な信号でだまして素早く死ぬように仕向けます。


このようにして免疫系は破壊されます。そして、免疫系を破壊したエボラウイルスは数十億倍のスピードで増殖を開始。


この段階ではナチュラルキラー細胞(NK細胞)がエボラウイルスを攻撃して殺すことができます。


しかし、いずれはNK細胞もエボラウイルスに破壊されます。


エボラウイルスは同時にマクロファージmonocyte(単球)などの体を守る細胞にも感染。


エボラウイルスはマクロファージや単球の防御機能を無力化させ、さらにうまく操って血管を攻撃させます。


こうして血管から血が流出。


さらにウイルスと闘うはずの白血球の働きが抑制され、また血管をふさぐこともできず内出血が起こります。


エボラウイルスは肝臓も直撃。


幹細胞は殺されて肝機能不全になり内出血も発生。


恐ろしいことに、エボラウイルスは樹状細胞の乗っ取り、T細胞の乗っ取り、血管の破壊、肝臓の破壊を同時に起こしてしまいます。


エボラウイルスは体の至るところを同時並行的に一気に攻撃。一つでも大変な攻撃が一度にあちこちで発生するというわけです。


そして、最後には人間がもつ免疫系があだとなります。


エボラウイルスが体中にまん延すると……


免疫系は最終手段に出ます。それは「自爆攻撃」


この自爆攻撃は強力ですが、血管に深刻なダメージを与えて致命傷になってしまいます。


体中のあちこちから出血。脱水症状を起こし、血液が酸素を運べなくなり細胞が死亡。


ここまで行くと多くの臓器が不全になり、感染者はほぼ死ぬことが確定。現在のところ、エボラ出血熱での致死率は約6割とのこと。


たしかにエボラウイルスは恐ろしい……。しかし、まだ慌てる段階ではありません。


エボラ出血熱の情報をみなで共有し、病気について良く理解することが最も大切。


現在、エボラウイルスの感染経路は感染者の体液への接触で、空気感染はしないことが分かっています。


感染者の体液へ自分からわざわざ近づく行為は避けましょう。


エボラウイルスによって2014年は5000人が死亡しています。


しかし、インフルエンザウイルスは例年約50万人の命を奪っており……


マラリアに至っては100万人の命を奪っています


エボラウイルスでの死亡数は、2日間にマラリアで失われる命より少ないのです。


エボラは確かに怖いけれど、感染は多くありません。


エボラウイルスに最も感染してしまっているのは必要以上に騒ぎ立て不安をあおるマスコミなのかも。


ムービーにあるとおり、一番大切なのはエボラ出血熱について正しく理解して無用に慌てふためかないこと。致死率の高いエボラ出血熱は恐怖心をあおりやすく、社会でパニックが発生しやすい状況を作り出しやすいと言えますが、パニックを起こすとみなが疑心暗鬼になり、社会が機能不全を起こし、感染者が名乗り出なくなり、かえってエボラ出血熱が拡大する危険性があります。

エボラウイルスの感染は、医療インフラが整っておらず治療が施されない場合には最大致死率は90%に到達しますが、早期に適切な支持療法が行われれば致死率は50%を下回ります。また、エボラウイルスは空気感染しないのでインフルエンザウイルスのような流行性の病原体よりは感染しにくいと推測されています。そして、ZMapp(ジーマップ)など治療に有効と見られる治験薬も続々と登場してきています。良好な医療施策によりエボラウイルスの封じ込めは可能とのことです。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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