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財産を独占せず数多くの従業員を億万長者にした3人のCEOとは?


小さなスタートアップでも優れたアイデアや技術力があれば、巨額の買収提案が持ちかけられることがあります。そんな数百億円規模の買収が行われたモバイル広告サービス「MoPub」、リスティングサービスの「SinglePlatform」、オンラインポートフォリオの「Behance」のCEOたちは、利益を独占せずに分配したことで、最高で半分もの従業員を億万長者にしていたことが判明しています。

Non-greedy startup CEOs who turned employees into millionaires - Business Insider
http://www.businessinsider.com/non-greedy-startup-ceos-who-turned-employees-into-millionaires-2014-9

◆MoPub


ジム・ペイン氏はドットコムブームで失敗して別会社へ買収されたスタートアップの従業員だった1人で、その後2013年9月にTwitterによって3億5000万ドル(約371億円)で買収された「MoPub」の創始者でもあります。もともとスタートアップの従業員だったペイン氏は、会社には熱心に働いて結果を出す数人の有益な人材がいることを知っていました。そのためペイン氏は、一部の従業員が多額の利益と結果を出すことを見越して、初期段階から実績ベースのストックオプションを設定しています。MoPubは買収交渉が始まるはるか以前から、従業員がストックオプションを行使できるように従業員ローンを行っていました。これは税金を節約する効果も持っています。

従業員ローンによって低価格でオプションを買うことができるため、従業員は多額の個人資産を危険にさらさなくてもキャピタル・ゲインを得ることができます。またペイン氏は6か月ごとに実績に基づいたオプションを再評価して、新しいストックを発行します。このシステムは新入社員でもすぐに評価が得られることや、従業員同士の競争を生むため、モチベーションの維持に効果的とのこと。


MoPubはTwitterに買収されるまでに3件の買収提示を断っています。初めて取引を断った時、ペイン氏はパニックに陥りましたが、それでも「機が早すぎる」と踏んで、残り2件の取引も受けませんでした。Twitterから買収提案を受けた時、買収交渉中に従業員やチームを維持するためにRSU(制限付き株)などを集めるという戦略を実行し、3億5000万ドル(約371億円)で買収に合意。

買収金の分配によって在籍していた100人の従業員のうち36人が億万長者となり、その内10人はそれを元手にさらなる財産を築いているとのこと。ペイン氏は「スタートアップの従業員はカゴの中の卵です。CEOは予想以上の影響力を持っており、彼らへの気配りはCEOの責務です」と話しており、「スタートアップは団体競技です。自己中心的な経営は偉大なCEOにはなり得ず、目先の利益を生むことしかできないでしょう」と付け加えました。

◆SinglePlatform


大学に5回留年し、結局卒業できなかった経歴を持つWiley Cerilli氏はSinglePlatformの元CEOです。起業から2年たった2012年に、Constant Contactに現金とストック合わせて1億ドル(約100億円)で会社を売却し、Cerilli氏は現在豊富な財産を持っています。買収後、権利確定したストックオプションはほとんどなく、契約上義務づけられていたわけではなかったにもかかわらず、彼の従業員の半分は億万長者となったとのこと。


2012年6月にSinglePlatformはシリーズB投資で1700万ドルの投資を調達中でしたが、Cerilli氏はConstant Contactから買収を提案されました。48時間の交渉によって買収を受けたCerilli氏は当日に経営陣へ発表します。買収提案の数週間前の時点で従業員数は13名でうち1年以上の勤務者は4名のみでした。つまり従業員のストックオプションのほとんどが行使できない状態であることを意味します。買収される日までにCerilli氏は従業員数を倍以上の30名に増員しました。


Cerilli氏は「我々は巨額な買収提案を受けました。経営陣は入社1年未満のCOOCTOという構成であり、会社の大部分は手に残るものの、買収によって従業員に利益は生まれません」と説明しています。Cerilli氏は解決策を求めてFirst Round Capitalのハワード・モーガン氏を訪ねたところ、「Cerilli氏の費用で従業員に報酬を分配してはどうか」と提案を受けました。そしてCerilli氏は買収に合意し、従業員の勤続年数ごとに受け取れる満額のリストを確認して分配する金額を決定。ストックオプションを持たない新入社員に対しては、受け取った現金ボーナスとRSUを分配し、行使可能なストックオプションなしで、チームの半分が億万長者になったとのこと。売却後の従業員の存続も約束されており、Cerilli氏は「取引は『ウィン-ウィン-ウィン』だった」と社内メールの中で述べています。

◆Behance


スコット・ベルスキー氏のBehanceは、Adobeと長期にわたる親しい関係を持っていたスタートアップです。共同設立者のマティアス・コリア氏とともに5年間にわたってBehanceを支えましたが、会社の売却は考えていなかったとのこと。しかし、長らくAdobeとパートナーシップを続けるにつれて「取引を統合しても良いのではないか?」と考え始めていたところ、2012年にAdobeから買収提案を受けました。提案額は1億5000万ドル(約160億円)であり、ベルスキー氏・コリア氏の2人は「Behanceのユーザーと従業員に対して有益か?」ということを考えました。両氏にとってAdobeが「Behanceの構築してきた労働文化やブランドを尊重するかどうか」、そして「従業員をどう気遣うか」ということが重要なポイントとなっていました。

2人はBehanceが信頼していた投資家兼起業家のクリス・ディクソン氏に相談を持ちかけます。そして2カラムのスプレッドシートにBehanceの従業員の名前を書き、売上実績やストックオプションに基づいて、買収によってそれぞれが受け取るべき現金とRSUを記載することになりました。ディクソン氏はリストに加わっていなかったベルスキー氏に対して自分自身の名前を書き加えるよう伝え、「CEOを加えることで公平に全従業員を評価できる」とアドバイスしました。


そうして買収は合意に達し、12人の従業員が億万長者になりました。その後2年たってもAdobeを退職したBehance従業員はいないとのことです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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