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取材

日本唯一のヘビテーマパーク「ジャパンスネークセンター」は、ヘビに関するさまざまな知識を得られてヘビに触ったり絡まれたりもできるパラダイス


群馬県の山中にある「ジャパンスネークセンター」は日本唯一のヘビ専門テーマパークで、ヘビの牙から毒を採取する様子を見たり、実際にヘビとふれあってみたり、さらにはヘビを食べてみることまでできる不思議な場所になっています。また、この施設を運営するのはこれまた日本で唯一のヘビ専門の学術研究機関である日本蛇族学術研究所なので、ヘビに関するさまざまなお話を聞くことができ、園内を満喫しきった頃にはヘビに対する見識がガラリと変わっていたりもします。

ジャパンスネークセンター [へび研] 公式ホームページ
http://snake-center.com/

ジャパンスネークセンターは、群馬県を走る東武桐生線・薮塚駅の近くにあります。


最寄りの薮塚駅から歩いて10分ちょっとでジャパンスネークセンターに到着。「あれ……?」と思うかもしれませんがご安心を、これがジャパンスネークセンターの入り口です。


そんなわけでさっそく入場料の1000円を支払って入場し、園内マップと観覧券をゲット。なお、入場時に割引画面を見せれば1割引の900円で入場できます。


入場ゲートをくぐった先はこんな感じ。園内は山腹に建てられており、斜面に沿ってさまざまな施設が点在するのでそれらを回ってヘビを見まくればOK。


ジャパンスネークセンターでは毎日イベントが開催されており、7月中だと平日は「ヘビとのふれあい」、土曜日は「ハブの採毒実験」、日曜日・21日は「ハブの採毒実験」「ヘビのお食事タイム」「ハ虫類ふれあい体験教室」が開かれています。なので、事前にイベントスケジュールをホームページにて確認しておくと訪問時に何があるのか分かり捗るわけですが、イベント時間が近くなると園内の高い所から研究員の方がメガホンを使ってお知らせしてくれるので、何も知らずに行ってもイベントを見逃すことはまずなさげ。


◆ハブの採毒実験
訪問時はちょうど「ハブの採毒実験」が行われる時間帯だったので、そのままソッコーで実験が行われるという採毒室へ移動。


採毒実験の際にヘビが逃げたり毒が飛んだりしないよう、実験室とお客さんのいる通路側はガラスで区切られています。


実験スタート時間になると白衣のおじさんが登場し、棒を使って……


ハブを取り出します。これは沖縄や奄美大島などに生息するハブで、いわゆる「琉球ハブ」として知られるヘビですが、正式名称は「ハブ」とのこと。なお、日本に生息するハブは全部で5種で、大きいものだと2メートルを超える個体もいるそうです。


ヘビは人と遭遇した際に頭をこんな具合に三角にして威嚇してきます。ハブに噛まれても「まず死ぬことはない」と研究員の方は言いますが、毒は2、3日で体中にまわり、後遺症で指が曲がらなくなったり最悪切り落としということにもなりかねないので絶対に手は出さないように、とのこと。なお、日本のヘビはハブ以外は基本的に自分から襲ってくることはないとのことなので、ヘビの攻撃範囲となる「体長の約半分」以上距離を取っておけば大丈夫なようです。


研究員さんは華麗なトークでハブについて教えてくれるのですが、そうこうしている内にパパッとハブを捕獲、そして頭をつかみ……


牙をビーカーにひっかけて、ハブの目の後ろ辺りをグッと押すと牙から毒がポタポタポタ。


横から見るとこんな感じで、ハブの口が180度開いていることがよく分かります。なお、ハブの牙は注射器の針のように中が空洞になっており、その中を経由して噛みついた獲物に毒をブチューッと注入します。


前から口の中を見るとこう。ハブは頭の大きさから考えるとかなり長くて立派な牙(およそ2cm程度)を持っているのですが、これは普段は折りたたんで収納しているそうです。


採毒が終わってケロリとした表情のハブさん。お疲れ様です。


続いて日本マムシが登場。全国のいたるところに出没するヘビで、体長はハブよりも短め。


マムシが自分から攻撃してくるようなことはまれですが、こんな風に枯れ葉の中に隠れていたりするので、山道を歩いている際に気づかないうちに噛まれたりすることも多いそうです。


なお、マムシの牙もハブ同様注射針のようになっているのですが、長さは5mm程度と非常に短め。毒自体はハブよりも強いそうですが、毒量は少なめでガッツリ噛まれて毒を注入されるくらいでないと死に至ることはないそうです。ただし、毎年3000人程度が噛まれ、ほんのひとにぎりの高齢者は死んでいるとのことなので用心するに越したことはありません。


マムシは日本全国に生息しており、個体によっては体に模様がなかったりとさまざまな見た目のものがいます。なので、マムシを見慣れた農家の人でも他の種類のヘビと間違うことがあり、噛まれても「毒ヘビじゃないから平気だろう」と放置してしまう人もいるようなのでこの点には注意が必要。


さらに、「ホタルのいるところにマムシあり」とのことなので、山にホタルを見に行く際などはオシャレのためにサンダルを履くのではなく、自分の命のために靴を履いて行くことが推奨されます。


日本マムシよりもさらにちっこいこのヘビはヤマカガシ。自分から人を襲うということはなく、危害を加えたりしない限りとてもおとなしいヘビです。


ヤマカガシの牙はマムシのものよりも短いわずか2mm程度のもので、噛まれても痛みも症状もない場合が多いそうです。牙の中は空洞になっていないので毒は牙の根元から出てくるようで、体の奥に注入されるということはありません。しかし、毒が回ると体中から血が吹き出て止まらなくなり、この毒の血清はジャパンスネークセンターと熊本県の2箇所にしか置いていないのでやっかいなことになる、とのこと。ただしヤマカガシの毒で死亡したという例は、これまで4件しかないそうです。


田んぼや河原などで見かけるヒキガエルは体のイボイボ部分に毒を蓄えているので、カエルをエサとする野生のヘビもヒキガエルだけは食べません。しかし、ヤマカガシだけはヒキガエルを食べてイボの中にある毒を利用しているそうです。なお、ヤマカガシは毒袋を首の裏付近にも持っているので、野生で遭遇した際に首を叩いたり切ったりして駆除しようとすると、毒が飛び散って危険なのでそそくさと逃げるようにしましょう。


日本に生息するハブ・マムシ・ヤマカガシという3種類の毒ヘビの解説が終わったところで、研究員さんが突如窓ガラスをガラガラっと開け……


小さな頃から人に触れられることに慣れているというアオダイショウを触らせてくれました。


ヘビは人に懐くということはなく、相手が自分にとって害のあるものか、そうでないかを覚える程度しかできない、とのこと。


実際に手で持つこともでき、肌触りは非常にツルツルでエナメル素材を触っているような感覚でした。


ジャパンスネークセンターでは野生で捕獲されたヘビや、免許なしで飼育していたせいで押収されることになった毒ヘビなどを飼育しており、採毒室以外にもとにかく至る所にさまざまな種類のヘビがいます。これは採毒室で見かけたウラコアガラガラヘビ。


他にもエボシカメレオンを発見。


カラフルな体とY字に分かれた手足が特徴的です。


◆ヘビのお食事タイム
採毒実験後は毒ヘビ温室に移動して「ヘビのお食事タイム」を見てみることに。ヘビはとても警戒心が強く、視界で何かが動いていたりすると食べている途中のものをはき出し、1年以上エサを食べなくなり、結局そのまま死んでしまうこともあるそうです。なので、エサやり中は一歩も動かずじっくりゆったりとヘビがエサを食べる様子を見る必要があります。しかし、ヘビには鼓膜がなく、人間の声などはなかなか聞き取ることができないとのことなので、「うわ~!すげ~!」や「うぎゃー!」といったさまざまな奇声をあげるのはOKです。


毒蛇温室の中では大型の毒ヘビが多数飼育されており、このヘビはその中でもかなり大きいというか太い部類だったハナナガコブラ。アフリカ東南部に生息する強力な毒を持ったコブラです。


パッと見た感じは「これぞまさにヘビ!」といった感じの恐ろしげなオーラを身にまとっていますが、よくよく見てみるとつぶらな瞳がキュート。


飼育員の方が、飼育小屋の中に冷凍ネズミをエサとしてポイっと投げ入れます。


するとすかさずパクリとネズミに噛みつきます。これぞまさに捕食者の目。


ヘビは視力が人間などと比べると弱いので、獲物を加えた状態でハムハムしながらネズミの体を回転させ、そして丸呑みできそうな向きを見つけると……


ゴクリ、といった具合に徐々にエサを呑み込んでいきます。


「ごちそうさま」といった表情のハナナガコブラさん、口から何か出ていますが、食後の爪楊枝か何かでしょうか。


丸呑みしたネズミはお腹の中をゆっくりしっぽ方向に移動していくのもとても奇妙です。


ハナナガコブラが冷凍ネズミを食べる様子は以下のムービーで見ることができます。

ハナナガコブラの食事の様子(4倍速) - YouTube


もちろん毒蛇温室の中には他にも多くの毒ヘビたちが住んでおり……


目の上に2本の角を生やしたサハラツノクサリヘビなんかにも出会えたりします。


◆園内いろいろ
園内は木々が生い茂りまくりなわけですが……


これらの木の枝にヘビが絡みついているのを発見。これらの木々は気づいたときには生い茂っていたという代物ではなく、園内で放し飼いにしているマムシやアオダイショウなどがなるべく自然体で過ごせるようにと配慮した結果生い茂ったもののようです。ヘビは夜行性なので昼間はあまり活発に動きませんが、「日中はどこでどんな風に過ごしているのか」をじっくり観察したりもできるので、眺めているだけでなかなかにおもしろげ。


放し飼いとはいっても園内の通路を我が物顔でにょろにょろしているヘビがいるわけではなく、放し飼いスペースからヘビが出てこられないよう、飼育スペースには工夫が凝らされているので安心して過ごせます。


これは園内唯一の休憩スペース兼食堂。


中はこんな感じ。入ったときはちょうど偶然たまたま奇跡的に他のお客さんがいませんでした、ラッキー。


この食堂ではなんとヘビ料理を堪能することも可能で、食堂端に置いてあるカゴの中から生きたヘビを取りだして調理してくれるそうです。ヘビ料理は使用するヘビのサイズで値段が変わり、シマヘビ・マムシ・ハブの3種類のヘビのいずれかが食べられ、値段は大体4000円から5000円程度とのこと。食べられる料理はヘビの生き血と内臓をワインにぶち込んだものと、身を塩もしくはタレで焼いたもの。さらに、9月中旬から10月の短い期間にはマムシが子どもを産むのでこれを刺身にして食べることもできるそうです。


せっかくですがお腹もあまり減っていなかったので、コース料理ではなくサクッと食べられるマムシのから揚げ(1050円)だけ注文して食べてみました。食べた感じは魚の骨のから揚げのような感じで、骨の食感はいいのですが肝心の身の味はほとんど感じられず。


続いて熱帯ヘビ類温室へ侵入。


ここではワニガメやワニなど、ヘビ以外の動物も見られるのですが……


世界最強の毒ヘビ・ブラックマンバさんもこの熱帯ヘビ類温室にいらっしゃいます。ブラックマンバは体長200cmから450cmほどにまでなる世界で2番目に大きな毒ヘビで、動きはとても素早く時速11kmにも達するそうです。


さらに、この熱帯ヘビ類温室では大蛇と記念撮影することも可能です。受付は10時30分から12時、13時から15時30分の間にそっと現れるの見逃さないようにしましょう。


この日はボアコンストリクターと一緒に記念撮影ができました。


とくに取り扱い時の注意などはないようで、「ハイ、持って。両手で持って」といった具合にソッコーでボアを手渡しされ、息つく暇もなくポラロイドで写真を撮られて記念撮影は終了となります。なので、ある程度心の準備をしてから撮影に臨むのが賢明な判断と言えます。


ボアの口部分はセロテープでふさがれていますが、口の隙間から長い舌をピョロピョロっと伸ばしてくるので「うわぁぁあぁ」となりますが、特に攻撃してくるでも激しく動くでもないので慣れると意外とかわいく思えてきます。


十字に線の入った目は中二心をくすぐるような、そうでもないような。


◆ハ虫類ふれあい体験教室
そして最後は日曜日の14時30分からしかやっていないという「ハ虫類ふれあい体験教室」に参加してみました。開催場所は、採毒室の上の階。


ここではスライドを使ってヘビやハ虫類全般についていろいろレクチャーしてもらえます。例えばハ虫類はこれだけさまざまな種類がいるわけですが、ワニ類はたったの25種しかいなかったりします。


他にもヘビのように脱皮する動物の例として、カメレオンの脱皮殻を見ることができました。カメレオンは目の周りまで脱皮するようで、何とも不思議な動物です。


そしてこれはクモの脱皮殻。そもそもクモが脱皮するということが驚愕の事実。


ヘビの卵の殻も手に取ってじっくり見ることができました。なお、ほとんどのヘビは卵のまま子どもを産むのですが、マムシ類ボア類アナコンダ類と、ほとんどの海蛇は卵ではなく体内で子どもを育ててから産みます。


これはしっぽの黄色いタンビマムシ。一部のヘビの尻尾の色が変色しているのは「釣りをするため」とのこと。


九州以北に生息する日本のヘビをまとめるとこんな感じ。毒ヘビは日本マムシ・対馬マムシ・ヤマカガシの3種で、毒蛇の中ではヤマカガシが最も大きく成長する模様。


そして突如連れてきたヘビにエサを与える研究員さん。ヘビのお食事タイムでは「ヘビは神経質な動物で警戒しているとエサは食べない」と聞いたのですが、このヘビは聴衆の前でおいしそうにモグモグと冷凍ネズミを食べる肝っ玉ヘビでした。


そして最後に中くらいの無毒ヘビが登場。手に絡ませて何やらアクセサリー感覚で楽しんでいますが、それくらいおとなしくニョロニョロしています。


体の裏側もしっかりチェック。ウロコがツルツルで最初に触ったアオダイショウや一緒に記念撮影をしたボアと同じくエナメル素材のような感触でとても不思議な感じ。


誰でもおさわりOKなので、大人も子どももおそるおそる触ってさまざまな感想を言い合っていました。


ここまで接近することもなかなかないので貴重な体験です。


この他にも、ヘビの剥製や骨格標本などが並びまくった資料館や、6メートル超えのニシキヘビや大型のボア類などが飼育されている大蛇温室など、さまざまな場所、さまざまな形式でヘビについて学べる、テーマパークというよりはまさにヘビについて勉強できるヘビ博物館的なスポットとなっているのがジャパンスネークセンターなのでした。

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in 取材,   生き物,   動画,   , Posted by logu_ii