昆虫を育てて食糧にする「食用昆虫栽培装置」ではチキン味のパテが作れるそうです


今後の日本の人口は減少傾向を続けることがほぼ間違いないものと予想されていますが、地球規模でみるとその人口は爆発的に増加することが確実視されています。19世紀末から急激に増加した人口は21世紀末までには100億人にも達すると考えられており、その様子は人口爆発とも表現されているほど。

そんな時代に人類が直面することになるのが「食糧難」で、現在の段階から深刻な問題として懸念する声が挙がっています。そんな問題を解決するための方策の一つとして、昆虫を食糧として用いる昆虫食が検討されており、世界中で研究が進められているのですが、ある人物が作成した装置で加工された「昆虫のパテ」は、まるでチキンのような味がしたそうです。

Fly Factory breeds insects for human consumption
http://www.dezeen.com/2014/05/04/fly-factory-breeds-insects-for-human-consumption-and-produces-no-waste/


こちらの機械が「食用昆虫工場」のスタディモデル。この装置を開発したアイスランド出身のBúi Bjarmar Aðalsteinsson(アーダルステンソン)さんは、国連食糧農業機関(FAO)が2013年に発表した食品及び飼料における昆虫類の役割に注目した報告書「Edible insects Future prospects for food and feed security(PDFファイル)にインスパイアを受けて、自分でも昆虫栽培装置の作成を決意したと語ります。


アーダルステンソンさんは「今後の世界に迫っていると考えられる食糧危機に際して、昆虫を食糧の一つとする昆虫食が果たせる役割を検証するために、実際に昆虫を飼育して食糧を生産する装置を開発しました」とその意義について語っています。


栽培された昆虫の幼虫は加工され、フランス料理の一種であるパテ状に仕上げられます。気になる味についてアーダルステンソンさんは、「チキンのような風味がします。特に強い味は持っていないので、どんなスパイスを使うか、どのような調理方法を用いるかによって味は変化します」と感想を語ります。


アーダルステンソンさんのお気に入りレシピは、デザートに仕立てた「ココナッツチョコレート幼虫デザート」とのこと。「子どもたちも気に入っています」と語りますが、果たしてその正体を伝えているのかは気になるところです……。


概念を耳にすることはあっても、実際に普及するまでには長い道のりが想像される昆虫食ですが、人口増加を続ける人類が直面することになる「食糧難」の有効な解決策の一つとして、世界中で真剣な研究が進められています。アーダルステンソンさんが描いた装置の概念図がこちら。


装置の中で飼育されるのは、日本にも生息しているアメリカミズアブの幼虫で、成虫になる前に食糧に加工されます。アメリカミズアブは成虫になると口から食べ物を採る機能を失ってしまうために、エサとなる食べ物を求めて飛び回ることがありません。そのため、病原となる菌を媒介するリスクが低いことが知られており、他の昆虫に比較した衛生状態の良さから採用されることになったとのこと。

By Wikipedia

飼育機の上部には、幼虫を育てる飼育部屋が設けられています。(クリックでモザイクなしの画像を表示)


飼育サイクルの概念図がこちら。人間が出した食べものの廃棄物が有機飼料としてアメリカミズアブの幼虫に与えられます。育てられた幼虫は食用に回されるほか、一部は成虫まで成長させて次の世代の幼虫を生ませることで、途切れないサイクルを作り出すように飼育されることになっています。幼虫は養分を豊富に含む培養土を作り出すので、ハーブなどの栽培にも役立てることになります。


装置内には冷蔵装置が内蔵されており、デザート類を保管する冷蔵庫として利用することが可能。さらに、冷蔵庫が発した熱を幼虫の飼育に利用するというエネルギーのリサイクルも取り入れられています。


飼育機の約半分を占める部分は、培養土を用いたハーブなどの栽培スペースに充てられています。なお、この装置の導入先として想定されているのは、将来の食用昆虫工場や一部のレストランなどで、一般家庭は検討していないとのこと。「普通の家庭でこの装置を使って昆虫を飼育するとは考えにくい」というのがその理由ですが、妙な説得力を感じます。


これからの世界に予想される食糧難の時代を迎えるにあたり、アーダルステンソンさんは「昆虫食は食糧を得るためだけはなく、良質のタンパク源としても有効な手段です。また、他の家畜に比べて生育に必要な飼料が5分の1から10分の1と少なくすむので、この観点においても昆虫食は重要になると考えています」と今後の世界における重要性を語ります。

遅かれ早かれ、望むと望まざるとに関わらず「昆虫食」の時代はいつか到来することが考えられており、その時はもっと抵抗感の少ないものに進化していると考えられます。そんな時代に備えて、今からあらかじめ心の準備だけはしておいてもいいのかも知れません。

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