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音楽再生時の「スキップ」機能は実際にどれぐらい多く使われているのか?

By foeoc kannilc

レコードが主流だった時代では、あまり聞きたくない音楽をスキップしたい時にイスから立ち上がってレコードプレーヤーのアームを上げ、次の曲の位置まで針を合わせる、という行為が必要でした。音楽の聴き方がiPhoneやウォークマンなどのデバイスやデジタルストリーミングに置き換わったことで、音楽のスキップは簡単になっていますが、その影響から現代の音楽リスナーたちは「どれほどの頻度でスキップボタンを押しているのか?」ということが明らかになっています。

The Skip | Music Machinery
http://musicmachinery.com/2014/05/02/the-skip/


Spotifyに買収された音楽データプラットフォームのThe Echo Nestでの勤務経験を持つPaul Lamere氏は、現代の音楽リスナーたちがどれくらいの頻度で音楽をスキップしているのか?ということに興味を持っており、大量のユーザーを持つSpotifyチームのビッグデータを使って、スキップに関する傾向を調査しました。

Lamere氏は今回の調査で、「スキップ」の定義を「スキップボタンを押す」「曲の再生中に別の曲を検索して再生」「曲の再生中に別の曲をプレイリストから再生」の3つとしており、どういう理由であれ「リスナーが曲の最後まで再生しなかった場合」も含まれます。調査の結果、スキップの操作がボタン1つでできるようになったことで、世界中で大量のリスナーがスキップを頻繁に行っていることが判明しています。

以下は曲を再生してから何秒でスキップしているかを分類した図。5秒以内が24.14%、10秒以内は28.97%と10秒足らずで3割近くの人がスキップを実行。30秒以内は35.05%と時間とともに割合は増えていき、曲が終了するまでは48.6%なので、2人に1人は最後まで曲を聞いているという結果が出ており、再生時間に比例してスキップの回数が増えていることがわかります。


以下は何百万ものリスナーを縦、再生された何十億の曲を横で表示してスキップの平均を算出したグラフ。聞き始めの10曲ほどは大半の人が次々とスキップを行っていますが、曲数が増えるにつれてスキップされる確率は低下。


1分間限定で見てみると、2秒・4秒のスキップ率は10%を超えていますが、10秒~20秒付近がスキップするかどうかの境目になっています。演奏家は曲の出だしに引きのあるメロディや盛り上がり所を入れることで、「最後まで聞きたい曲」を作れるのかもしれません。


またリスナー全体から算出した平均的年齢のリスナーが1時間あたりにスキップする回数は14.65回となっており、平均して4分に1回スキップしているとのこと。性別ごとにスキップ率を見ると男性は44.75%、女性は45.23%と、わずかに女性の方がせわしなく音楽を聞いているようです。プラットフォームごとのスキップ率はデスクトップが40.1%、モバイルが51.1%。やはり簡単な操作はスキップの回数につながっていることがわかります。

By Trey Ratcliff

以下は曲の再生ごとのスキップ率を年齢別に分類すると、10代の若者は飛び抜けてスキップ率が高く、30代になるにつれて下がっていきます。なぜか40代後半~50代にかけて再びスキップ率が上昇するのが興味深いところ。これは自由時間の多い若者ほど音楽を聞く時間を持つため、プレイリストを編集するなどして曲をスキップするためと考えられます。SpotifyのアナリストChris Tynan氏は、40代後半の上昇に関して、10代の息子・娘が親世代のアカウントを使い回しているため、データが崩れているのではないか、と推測。


イギリス居住者を対象に、1日の中でどの時間帯が最もスキップされるのか?ということを調べたところ、午前2時~4時の睡眠時間や8時~午後4時の仕事や学校の時間帯にスキップ率は低下。出社・登校が多くなる午前7時~8時前後にスキップ率は上昇を見せ、午後8時~10時にかけて、自宅に帰ったころや友人などの社交的な活動が多い時間帯には最もスキップ率が高くなります。


一見すると再生回数とスキップ回数は比例しているように見えますが、黄色い線が表している曲の再生率とスキップ回数が一致していないという興味深い結果も。


1日のスキップ率を1週間全体で線グラフにすると、週末に最もスキップ率が高くなっています。時間のある週末には、より良い音楽を求めて取捨選択が行われる結果と予想されています。


これらの結果をまとめると、外出時など制限のある忙しい時間帯ではスキップ率が高まりますが、仕事中やリラックスできる時間にはスキップ率が低くなるという特徴があります。また、自由時間が多くなることから若い年齢層のスキップ率が最も高くなります。人々は思っているより頻繁に曲をスキップしており、平均すると1曲おきに曲をスキップしているという結果に。Spotifyの無料アカウントでは1時間に6回までしかスキップが使えないように、いくつかのストリーミングサービスでは「スキップ無制限」は有料アカウント限定機能です。音楽の聞き方が変化したことで、「スキップ」は音楽リスナーにとって対価を支払うべき重要な機能の1つとなっています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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