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都市伝説が本当に、「ビデオゲームの墓場」で史上最低ゲーム「E.T.」が発見される


アメリカのニューメキシコ州アラモゴード市には「ビデオゲームの墓場」と呼ばれる埋め立て地が存在します。ビデオゲームの墓場は、1970年から80年代前半にかけて家庭用ゲーム機市場を独占していたものの、1982年にゲーム史上最大の商業的失敗作と呼ばれることとなるゲーム「E.T. The Extra-Terrestrial」の販売不振が原因で会社が分割されることになった「アタリ社」が、大量に売れ残ったロムカセットやゲーム機本体を廃棄処分して埋めた場所とされていました。

廃棄処分の規模があまりにも大きすぎることや、情報が交錯したこともあり、ビデオゲームの墓場を都市伝説と捉える人がいましたが、映像プロダクションのFuel EntertainmentXbox Entertainment Studiosが共同製作で「ビデオゲームの墓」都市伝説検証プロジェクトを立ち上げ、2014年4月26日に埋め立て地の発掘作業を開始し、埋められたことが伝説となっていたE.T. The Extra-Terrestrialを発見しています。

Landfill excavation unearths years of crushed Atari treasure [Updated] | Ars Technica
http://arstechnica.com/gaming/2014/04/landfill-excavation-unearths-years-of-crushed-atari-treasure/

アタリ社は1976年にワーナー・コミュニケーションズによって買収され、1977年に家庭用ゲーム機「Atari 2600」を発売。Atari 2600の発売当初の売上は好調とは言えませんでしたが、プログラム仕様を公開し、サードパーティーによるゲームソフトの開発・販売を可能にしたことや、優れたグラフィックとサウンド機能が好評を得て、一時はアメリカの世帯の約17%がAtari 2600を所有するという旋風を巻き起こしました。

By Association WDA

アタリ社は、1983年に映画「E.T.」をゲーム化した「E.T. The Extra-Terrestrial」を発売。世界的に人気のあった映画のゲーム化だったこともあり、同社は数百万本のカートリッジを製造しましたが、クリスマスシーズンに間に合わせるために開発期間が5週間しか与えられなかったため、開発されたゲームは完成度が非常に低く、予想していた売上を大幅に下回り大量の在庫が発生。後に、E.T. The Extra-TerrestrialはPCWorldによって「史上最悪のゲームタイトル10本」に選ばれています。

E.T. The Extra-Terrestrial」が大コケしたことだけでなく、当時アーケードゲームとして多大な人気のあった「パックマン」をAtari 2600に移植したゲームが不評であったこともあり、Atariは1700人の社員を解雇。その後、Atariはワーナー・コミュニケーションズから売却され会社を分割することになりました。

By Erik Abderhalden

1983年にニューヨーク・タイムズが「Atariが大量に抱えた在庫のE.T. The Extra-Terrestrialや他のゲームをアメリカのニューメキシコ州アラモゴード市の埋め立て地に廃棄処分している」と報じますが、E.T. The Extra-Terrestrialの開発者ハワード・スコット・ウォーショウが「数百万本もあるE.T. The Extra-Terrestrialの在庫が本当に破棄されたかどうかは疑わしい。アタリは経費節減のためカートリッジのパーツを再利用しただろう」と述べたことや、情報が交錯したこともあって、「Atariが在庫を埋め立て地に廃棄処分した」ことは都市伝説として考えられることもありました。

それから約30年経過した2014年4月、ビデオゲームの墓場が都市伝説かどうか検証し、その様子を撮影しドキュメンタリーを製作しようとFuel EntertainmentとXbox Entertainment Studiosが埋め立て地の発掘作業を開始。作業現場はただのゴミの山にしか見えないものでしたが、油圧ショベルで地面を掘り返し、その中にゲームがないかどうか作業員たちが確認するという作業を繰り返しました。


発掘作業に同行したArs Technicaによると、この作業の中でAtari 2600のコントローラーの部品や、当時の新聞が発掘されたものの、数時間かけても肝心の「E.T. The Extra-Terrestrial」は見つかりませんでした。しかしながら、午後12時半、ゴミの山の中にいた作業員が「E.T. The Extra-Terrestrialを見つけました。奥にはもっとたくさんゲームが埋まっています」と大きな声をあげ、E.T. The Extra-Terrestrial以外にも「Atari 2600のカタログ」やアーケードゲームの「Centipede」が一緒に見つかりました。

下記の画像に映っているのが史上最低のゲームとして名高い「E.T. The Extra-Terrestrial」で、作業員の左手にはパッケージも確認できます。


その後も作業は続けられ、多くのゲームカートリッジが発掘されました。作業を担当したアンドリュー・レインハード氏は「見つかったゲームの内いくつかは破損も少なく、正常に動作する可能性がある」と、一時は世界から姿を消してしまったゲームが約30年の時を経て現代によみがえるかもしれないことを示唆しています。


なお、「ビデオゲームの墓場」のドキュメンタリーの放送予定時期はまだ決まっていませんが、MicrosoftがXbox One向けに配信するテレビ番組配信サービスで放送される予定です。

◆2014年12月17日 16時54分 追記
発掘された「E.T. The Extra-Terrestrial」がアメリカのスミソニアン博物館の1つである国立アメリカ歴史博物館のコレクションに加えられました。

From landfill to Smithsonian collections: "E.T. the Extra-Terrestrial" Atari 2600 game | National Museum of American History
http://americanhistory.si.edu/blog/landfill-smithsonian-collections-et-extra-terrestrial-atari-2600-game

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in メモ,   ソフトウェア,   ハードウェア,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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