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ウルティマの生みの親が最初に作成したゲームの開発秘話やソースコードが公開される

By Marco Vanoli

コンピュータRPGの元祖の1つとも言われる「ウルティマ」シリーズの作者であるリチャード・ギャリオット氏は、2013年3月にクラウドファンディングサイトKickstarterで新作ファンタジーRPG「Shroud of the Avatar: Forsaken Virtues」の出資金を募り、191万9275ドル(約1億8200万円)を集めることに成功しました。その後もShroud of the Avatar: Forsaken Virtuesの公式サイトで資金集めが続けられ、記事執筆現在約402万ドル(約3億8200万円)を集めています。

Shroud of the Avatarがどのような形で正式リリースを迎えるのか注目が集まる中、ギャリオット氏が高校生のころに開発したゲームが、世界で最初のRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のようなゲームだったことが判明し、Shroud of the Avatarの公式サイトで、その開発秘話やソースコードが公開されています。

Richard Garriott’s D&D #1 Contest! | Shroud of the Avatar
https://www.shroudoftheavatar.com/?p=39149

ギャリオット氏が開発した最初のゲームはウルティマの元となったアカラベースではなく、「D&D #1」という名前の、テーブルRPGのダンジョンズ&ドラゴンズに多大な影響を受けたものでした。

D&D #1が開発されたのはギャリオット氏がまだ高校生だった1977年。D&D #1の誕生は、ギャリオット氏と父親との間で交わされた1つの賭けがきっかけでした。ギャリオット氏は、当時メインフレームミニコンピュータのユーザインタフェース用端末として使われていたテレタイプでたくさんのプログラムやシンプルなゲームのコードを中学生のころから熱心に作成していたそうです。


ギャリオット氏が作成したプログラムの中には「電離層におけるラジオ周波の計算」といった高度なものがあり、国際的な科学発表会で賞を取ったこともあります。そんな息子の才能に目をつけた父親はギャリオット氏に「もし、本格的なRPGを作成することができたら、Apple IIを買ってあげてもいい」と賭けの提案を持ちかけます。

RPGを作成できなくても失うのは開発に費やした時間くらいで、賭けはギャリオット氏にとってかなり有利のものでした。父親の提案を受け入れたギャリオット氏は、その日から本格的なRPG作成を開始。作成に使用されたのは、ギャリオット氏の通う高校に設置されていた1つのテレタイプです。

ギャリオット氏が使用したテレタイプは音響モデムを介して16ビットミニコンピュータシリーズのPDP-11に接続されていました。ギャリオット氏は紙製のテープにプログラムをテレタイプで書き出し、学校外にあるコンピュータに接続されているターミナルに読み込ませて作成したプログラムを実行していました。


実行されたプログラムはダンジョンズ&ドラゴンズのようなRPGで、プレイヤーはモンスターと戦いながらダンジョンに隠された財宝を探すというもの。開発されたゲームは「D&D #1」と名付けられました。D&D #1のプレイ画面は下記の画像のようにASCII文字で構成されていて、「*」がダンジョンの壁で空間が通路になっています。画像内にある「U」「X」「R」などの文字もダンジョン内のオブジェクトを表わしているとのこと。


父親との賭けに勝利しApple IIをゲットしたギャリオット氏は、高校生の間に28作の「D&D」を開発。その最後の作品である「D&D #28」は、Apple IIを使って「D&D 28b」という名前で再開発され、これが後のウルティマの元となるアカラベースになるわけです。

Shroud of the Avatarの公式サイトでは、Shroud of the Avatarの1周年記念イベントを開催し、D&D #1のソースコード(PDF)を公開し、D&D #1の復刻版をユーザーに開発してもらうというコンテストを実施中。なお、Shroud of the AvatarはWindows・Mac・Linux向けに2014年10月のリリースが予定されています。

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in メモ,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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