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アリババのIPOがYahoo!の未来に与えるのは光なのか闇なのか?

By Eric Miraglia

アメリカのインターネット関連サービス会社Yahoo!が株式の24%を保有する中国最大のECサイト「阿里巴巴集団(アリババ)」が、2014年夏にIPOを実施しアメリカの証券取引所へ上場することが有力視されています。アリババの上場によって、Yahoo!は保有する株式の少なくとも半分を手放すことが定められていることから、Yahoo!の今後の行く末を占う上でも、このIPOは大きな注目を集めています。

How Can Yahoo Be Worth Less Than Zero? - Bloomberg View
http://www.bloombergview.com/articles/2014-04-17/how-can-yahoo-be-worth-less-than-zero

インターネット関連サービスの老舗であるYahoo!は、1995年にアメリカで創業しポータルサイトの運営を始めさまざまなサービスを提供し、世界中で事業を展開するコングロマリットです。いわゆるドットコムバブルの頃にはインターネットサービスの代名詞だったYahoo!でしたが、その後、お膝元のアメリカでの業績が伸び悩み、今では時価総額という点では資本関係にある日本最大のポータルサイトYahoo!JAPANと、中国最大のBtoB用のECサイト・アリババに及ばない状況になっています。


業績の悪化したYahoo!は、2012年7月に元「Googleの顔」であるマリッサ・メイヤー氏をCEOに据えて経営の再建を託し、メイヤーCEOは大改革を実施中。モバイル広告事業を強化するなどメイヤー氏の経営手腕は一定の評価を得ていますが、かつてのYahoo!の姿とはほど遠いのが現状です。しかし、2014年1月に発表されたYahoo!の2013年第4四半期決算は、前年同期比2%の減収ながら、保有するアリババ株の配当収益によって会社としては大幅な増益を果たしています。

アリババとYahoo!の資本関係は、2005年にYahoo!がアリババに合計10億ドル(約1200億円)を投資してアリババ株の40%を取得したことから始まりました。つまり、2005年当時のアリババの時価総額は、約3000億円という評価であり、アリババはYahoo!に比べれば小さな企業と言えました。しかし、その後、敏腕経営者ジャック・マーCEO率いるアリババグループは中国の経済成長も追い風となり、アリババの他にも消費者向けECサイトtao bao(タオバオ)やオンライン決済サービスAlipay(アリペイ)など事業を急拡大させ、低迷を続けるYahoo!の時価総額をあっという間に追い越す存在に成長します。

これはアリババ(青色)・Amazon(赤色)・eBay(緑色)の成長率を示すグラフ。アリババは常に前年比50%以上の驚異的な成長率を続けていることが分かります。


巨大な企業グループに成長したアリババですが、真っ先にマーCEOの手腕に注目したのはソフトバンクの孫正義CEOでした。2000年、マーCEOと会談を持った孫CEOは、わずか6分でアリババに2000万ドル(約22億円)を投資することを決定、その後もソフトバンクからYahoo!にタオバオ株を売却し、そのタオバオ株と交換にYahoo!がアリババ株を取得したという経緯から、孫CEOがYahoo!とアリババの提携に大きく寄与したと言えます。

急成長したアリババでしたが、株式の大半をソフトバンク・Yahoo!という日米の企業に握られていることはマーCEOにとって大きな悩みの種で、なんとかしてYahoo!が保有する株式を買い戻そうとしますが交渉は難航します。そこで2011年11月には、経営難に苦しむYahoo!に対してマーCEOは孫CEOとタッグを組んで買収を画策します。Yahoo!JAPAN・Yahoo!中国の生みの親であるYahoo!を、その子どもたちを抱えるソフトバンク・アリババグループが飲み込まんとする展開に世界中が注目しましたが、結局買収は実現しませんでした。

By World Economic Forum

Yahoo!にとってアリババは「金の卵を産む鶏」であり株式を手放したくないというのが本音ですが、経営難のためアリババ株を売却することで現金を手に入れたいという必要性が常につきまとっていたのも事実。しかし、上場していないアリババグループの価値をいくらに見積もるかという点で両者の見解の隔たりは大きく交渉は難航していましたが、ついに2012年5月にYahoo!は保有するアリババ株の40%を71億ドル(約5600億円)で売却することになりました。また、この際に、Yahoo!の手元に残った24%のアリババ株は、2015年末までにアリババがIPOを実施して上場する場合には、さらにその半分の12%分をアリババに売却するか市場を通じて手放すという取り決めがなされました。

そして、ついに2014年4月にいよいよマーCEOはニューヨーク証券取引所でアリババグループを株式公開する見込みで、これに伴いYahoo!はアリババ株をさらに手放すことになる予定というわけです。なお、アリババの取引高は2013年で25兆円に上るとみられており、IPOによる資金調達額はFacebookの160億ドル(約1兆6000億円)を超えて史上最高額の200億ドル(2兆円)規模に到達するとも予想されています。アリババの時価総額は1600億ドル(約16兆円)から2000億ドル(約20兆円)になると予想するアナリストさえいます。仮にアリババの市場価値が2000億ドル(20兆円)と評価されれば、Yahoo!はアリババ株の売却によって、Yahoo!の全資産の帳簿額160億ドル(約1兆6000億円)の半分以上の現金を手に入れる公算です。

By jkenning

Yahoo!にとってアリババ株の売却は、巨額の資金を手に入れる機会になることは間違いのないところです。しかし、アリババ株を手放すことは、その巨額の資金の対価として見合わないかもしれないという指摘があります。2013年1月におよそ20ドルだったYahoo!の株価は、2014年4月現在36ドルほどと大きく上昇しています。この株価の高騰は、メイヤーCEOの手腕に対する期待でもなければYahoo!の将来性への期待でもなく、Yahoo!が抱える「金の卵を産む鶏」に対する期待の表れに他ならないことは明らかです。非上場のアリババグループへの投資ができない投資家は、Yahoo!株を買うことで間接的な投資を行っていたところ、アリババ株を市場で取引できるようになればYahoo!株に用はなし、ということも十分考えられるところです。

マーCEOと孫CEOの関係は良好であるとされており、世界のEC市場に打って出たいアリババならびに世界の携帯市場に打って出たいソフトバンクの思惑は重なるところが多く、両社は今後も協業していく可能性があるのに対して、Yahoo!は蚊帳の外というのが大方の見方。アリババのIPOによって巨額の資金を手に入れたYahoo!が、その資金を活かして復活を遂げるられるのか、また、IPOによって資金調達を行ったアリババグループが今後も躍進を続けられるのか。栄枯盛衰の激しいITビジネスの世界において、将来は誰にも分かりません。しかし、アリババによるIPOは、IT業界の未来を語る上で外すことができない大きな出来事になるのは確実と言えそうです。

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