世界初の「保険付き」Bitcoin保管サービスが登場

By Stéfan

これまで世界中に爆速で広がっていったビットコインには、専用ATMのRobocoinが登場したり、ビットコインで授業料の支払いが可能な大学やビットコインの使えるカジノホテルが現れたりと、さまざまな場所で使用可能になってきています。

しかし、ビットコインがオンラインウォレットから1億2000万円分盗まれる事件が起きたりと、オンライン上で使用・管理するデジタル通貨ゆえに管理の難しさが問題になっていたりもしました。そんなビットコインを安全に管理するための「保険付き」保管サービスを、2014年からイギリスのElliptic社がスタートさせました。

BBC News - Bitcoin vault offering insurance is 'world's first'
http://www.bbc.co.uk/news/technology-25680016

世界初の保険付きビットコイン保管サービスの名前は「Elliptic Vault」。これはビットコインを使用するために必要なセキュリティキーを暗号化し、安全性の高いオフラインサーバー上に保管してくれるサービスです。このサービスの設立者いわく、Elliptic Vaultは「世界初の」ビットコイン保険、とのこと。

By Jason Benjamin

オンラインウォレット上に保管されるビットコインは時としてハッキングの対象になったりと、その保管の難しさからユーザーを悩ませてきました。その一例として、ジェームズ・ハウェルズさんがハードドライブに保管したビットコインの存在を忘れてしまい、約7.6億円分のビットコインを紛失してしまったというものがあります。

ビットコインは従来の銀行に保管できる金銭とは異なり、これまで保険が付けられず、1度紛失したり盗難されてしまえばどこにいったか探す術がありませんでした。「ビットコイン所有者の抱える大きな悩みの1つが、これを安全に保管するのが難しいということでした」とEllipticの共同創立者であり、オックスフォード大学で物理学の博士号を取ったトム・ロビンソン氏は言います。

さらに「人々に保険付きのビットコイン保管サービスを提供できるのは素晴らしいステップです。しかし、保険会社に誕生したばかりのビットコインという通貨が信頼できるものだ、と説明するのは容易なことではありませんでした」とロビンソン氏。

By David

また、サービス立ち上げまでの苦労について「産業は非常に保守的で、ビットコインを理解してくれませんでした。さらに、ビットコインに対するネガティブな世評などからもマイナスの影響を受けました。しかし、それらマイナスイメージの中心にいた違法取引サイト・シルクロードが閉鎖して以来、そのイメージも改善されてきました」と語ります。

Ellipticはロンドンにある国際的な保険取引所ロイズが保険を引き受けており、デジタル通貨に関するニュースを配信するCoinDeskの編集長であるEmily Spaven氏は「ビットコインに対するより多くの信頼」を人々に与えることになるだろう、と発言しています。

By Antana

保険金は「請求が行われた際のビットコインと米ドルの交換レート」で支払われるとのこと。Elliptic社では「deep cold storage」と呼ばれる技術が使われており、ビットコインにアクセスするためのセキュリティキーは暗号化され、オフラインに保管されます。さらにセキュリティキーは複数のコピーが用意され、Elliptic社の管理人しかアクセスができず、暗号化レイヤーと物理的セキュリティレイヤーによって守られているそうです。