取材

ルパン三世と名探偵コナンのコラボ映画実現までにどんな苦労があったのか諏訪プロデューサーが語る


2013年12月7日に映画「ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE」が公開されました。これは、2009年に金曜ロードSHOW!で初放送されたテレビスペシャル「ルパン三世VS名探偵コナン」を受けて作られた作品です。

「ルパン三世」も「名探偵コナン」も、いずれも1つのタイトルだけで映画を作れるだけのビッグタイトルですが、いったいこのコラボ企画はどうやって実現したのか、そもそも、なぜコラボすることが決まったのか、2月12日にデジタルハリウッド大学で開催されたアニメ・ビジネス・フォーラム+2014で讀賣テレビのスワッチこと諏訪道彦プロデューサーが秘密の一端を明かしてくれました。

映画『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
http://www.lupicona-movie.com/

ちょうど、このアニメ・ビジネス・フォーラム+2014が開催される前週、金曜ロードSHOW!で「名探偵コナン 14番目の標的」が放送されました。この作品は1998年4月に公開された劇場版第2作ですが、諏訪さんが配布した資料によると、視聴率は16%で同時間帯首位。世代別視聴率を見てみると、いわゆるチャイルド層(男女・4歳~12歳)とティーン層(男女・13歳~19歳)の支持を集めており、実に子どもたちのうち5人に1人はコナンを見ていたという計算になります。17年前の作品ですらこれだけの数字を残せるところから見ても、名探偵コナンという作品がどれだけ広く親しまれているのかを知ることができます。

コナンジャケットで現れた諏訪プロデューサー。


そのコナンとコラボした「ルパン三世」もまた、広く知られているアニメです。こちらはモンキー・パンチの漫画を原作として、1971年にテレビアニメのファーストシーズンが放送されました。ただし、大人向けを銘打ったことや裏番組が強かったなどの事情もあって23話で打ち切りに終わりましたが、のちに第2、第3のシリーズが作られました。現在は年1回、金曜ロードSHOW!で新作テレビスペシャルが放送されています。

この通り、コナンもルパンも、それぞれに単体でスペシャルや映画を作れるビッグタイトルで、諏訪さんいわく「どう考えても、一緒にやる必要はないんです」とのこと。もともと諏訪さんは2007年にルパンの新テレビシリーズ企画を提案していたそうですが、ちょうどドラえもんが世代交代した時期と重なり、「ルパンはないね」という判断で作品は作られなかったのですが、代わりに出てきたのがコラボの話だったそうです。テレビ局は「○周年記念」という企画を重んじていて、やるからには大きな花火を上げるという文化があり、2008年に讀賣テレビが50周年、日本テレビが55周年を迎えることから、話は進められていきました。


コラボ企画を進める中で重要なのは原作者。ルパンvsコナンを進めていく中で助かったのは、「名探偵コナン」原作者である青山剛昌さんが、「ルパン三世」の原作者であるモンキー・パンチさんのファンだったこと。おかげで、どういう話にするかさえモンキー・パンチさんのOKを取ればいいというところまで持っていくことができ、2009年に放送されたテレビスペシャルは無事完成を迎えました。

まさに夢の共演、「ルパン三世 vs 名探偵コナン」が放送決定


企画を立てる中で難しかった点として諏訪さんが挙げたのは「世界観の違い」です。例えば「人がビルから落ちた」という場面で、コナンの世界観であれば人は必ず死にます。一方、ルパンの世界観であれば、たとえどんな高さから落ちてもルパンが死ぬことはありません。この絶対に交わらない2つの作品を1つの絵の中に収めるために、「コナンをルパンの世界に連れていって活躍させる」や「ルパンがコナンの世界にやってきて茶々を入れる」というのをやるつもりは最初からなく、フィフティフィフティの作品を作るという前提で話は進められました。

テレビスペシャルの舞台になったのはルパンの世界観の中にある新しい国で、そこで事件が起きて、連れ去られた蘭を追ってコナンと小五郎が来るという形になりました。ここにたどり着くまでが一苦労で、コナンの難しい点の1つが「海外には行けない」というもの。その理由は、江戸川コナンという少年は高校生探偵・工藤新一が飲まされた薬物の副作用により体が小さくなった状態なので、パスポートを持っていないため。そこで、海外に行くためには不二子が持っている潜水艦で連れて行こう、というように物語が組み立てられていったそうです。作中では、コナンは離陸体勢に入った飛行機の車輪にしがみついて、そこから貨物室に潜り込んでいます。諏訪さんもこれについては「はっきり言って、無理です」と笑いましたが、それでも理屈をつけてシナリオを成立させました。


作画の面では、コラボ作品ということもあって、コナン側のキャラクターとルパン側のキャラクターが同時にいるようなシーンだと、例えば名探偵コナンの作画監督である須藤昌明さんがコナンを描き、そこへルパン側の作画監督である平山智さんがルパンを描いていく、というようなスタイルで作られました。どうしても作業は煩雑なものになりますが、この方法だと、先に描かれているコナンを見て、「これよりもかっこよくしてやろう」とルパン側スタッフが奮起し、逆のケースも発生して「描き合い」になったので、現場はいい緊張感を持って作れたとのこと。

この流れを受けて作られたのが、2013年に公開された映画「ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE」です。最初に公開されたポスターはいかにもコラボっぽいデザインで、「“決着(ケリ)”つけようぜ」というキャッチコピーがつけられています。


映画では、テレビスペシャルの時には乗り越えられた壁にぶつかることになりました。それは「音楽」です。名探偵コナンの音楽を担当しているのは大野克夫さん、ルパン三世の音楽を担当しているのは大野雄二さん。いずれも大御所で、コラボ作品だからといって「今回は半分だけで大丈夫です」とやってもらうわけにはいきません。諏訪さんによると、テレビスペシャルの時は過去の膨大なアーカイブを利用して、各作品の楽曲がだいたい同じぐらいの使用時間になるように使ったとのこと。しかし、映画だとそうはいかないため、音響監督の作った音楽ラインに合ったものを多少強引に割り振り、「こういった理由なのでこう作って下さい」と話をして納得してもらったのだそうです。

映画の予告編はこんな感じで、諏訪さんいわく「過去のコナン映画の予告編の中でも、特にいい出来」だとのこと。

映画『ルパン三世 VS 名探偵コナン THE MOVIE』予告編 - YouTube


トータルで数億円を費やして映画は製作され、近年のコナン映画が到達している興行収入30億円ラインを目指して公開されましたが、2月9日時点での興行収入は目標を上回る41億7000万円、総来場者数は353万人だとのことで、諏訪さんも大満足の結果になっているとのこと。


ちなみに、名探偵コナンの映画のラストにはいつもエンドロールの後にエピローグが入っていて、最後まで見なければいけない仕掛けになっています。いつもであれば、次の作品のキーになるイメージと「第○弾製作決定」というメッセージが出るのですが、ルパンvsコナンではせっかくの取り組みだということで、これまでにはない特別な仕掛けが行われています。それがどんなものなのかはぜひ劇場で確認して欲しいところですが、諏訪さんはこの最後の仕掛け部分と、冒頭でルパンがコナンを、コナンがルパンを紹介するシーンが作れて良かったと感じているとのこと。

「名探偵コナン」の映画シリーズ第18作目の「名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)」は4月19日に公開。ティザーポスターは毎作品、青山剛昌さんがイラストを担当しています。


そして、先日解禁となったのがこちらの本ポスター。スペシャルゲストとして「仮面ライダーフォーゼ」如月弦太朗役や「あまちゃん」などで人気の俳優・福士蒼汰さんと、お笑いコンビ「パックンマックン」のパトリック・ハーランさんの出演が決まっています。


今後、有名作品のコラボレーション企画を見かけたときには、2つ以上の作品を混ぜ合わせるためにどういった工夫が行われているのかというところに着目して見てみるのも面白そうです。

©2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会
©2014 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

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in 取材,   動画,   映画,   アニメ,   ピックアップ, Posted by logc_nt

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