サイエンス

なぜ赤ちゃんや幼い頃に体験した記憶を人は忘れてしまうのか?

By Stephen Poff

赤ちゃんだったころの出来事を覚えていないことを「幼児期健忘」と呼び、大人になっても定着する記憶はおよそ3歳以降のものと言われています。そんなゼロ歳から3歳頃の記憶は、一体いつの間に消えてしまうのかを実験した結果がまとめられています。

BPS Research Digest: Childhood amnesia kicks in around age 7
http://bps-research-digest.blogspot.jp/2014/01/childhood-amnesia-kicks-in-around-age-7.html


3歳以下の頃でも、両親に連れられてどこかへ家族旅行に行ったりといろいろな記憶に残る出来事を体験しているはずですが、3歳以下の段階で最も早くに形成される記憶である「自伝的記憶」を、ほとんどの人が大人になると覚えていないことは、「幼児期健忘」として証明されています。

しかし、3歳ごろの子どもに過去の出来事を尋ねると、彼らは出来事を思い出して話すことができるため、3歳以下の記憶は存在していないのではなく、忘れてしまうこともわかっています。この分野の研究では、主に大人と子どもの記憶について行われますが、エモリー大学パトリシア・バウアー博士およびマリーナ・ラーキーナ氏は、3~7歳の子どもたちに焦点を絞って研究を行いました。

By Arlo MagicMan

バウアー博士たちは、母親が3歳の子どもたちに動物園へ行った日や幼稚園入園の日など、過去の出来事を6つ質問する場面を記録。その後、子どもたちが成長した後に、同じ家族に面会し、5歳、6歳、7歳……と異なる未来のポイントで同じ質問を母親に行ってもらって記憶力を確認する、という実験を実施。

By Dave Hogg

その結果、5~7歳の子どもたちでは、彼らが3歳の頃に話した出来事の60%を記憶していましたが、これらの出来事の回想は、時間・場所や説明に意味の分かりづらいコメントが含まれていました。対照的に8歳および9歳の子どもは、3歳のころのことを40%ほどしか覚えていませんでしたが、彼らが思い出した記憶は大人のようなわかりやすい内容になっていたとのこと。

また、思わぬ発見として、母親が「もっと話して?」「何があったの?」という風に質問された3歳の子どもの方が、自伝記憶をより詳しく思い出すことができたということです。

By Sundaram Ramaswamy

このことからバウアー博士たちは、幼児期健忘は7歳ごろから始まることを示唆していて、5~7歳ごろの未熟な思い返しが、「検索が引き起こす忘却」として自伝的記憶の忘却を促進させ、大人の考え方を手に入れるにつれ、3歳以下の記憶がなくなっていくと推測しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log