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記憶容量が現行メモリの10倍&消費電力は3分の2の次世代メモリ「MRAM」を日米20社の半導体企業が共同開発、いよいよ量産化が明確に

By Chris Sinjakli

現行のDRAMに代わる次世代メモリとして期待される「MRAM」を、マイクロン・東京エレクトロンなど日米半導体開発関連企業20社が、研究開発拠点となる東北大学「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」で共同開発することが決定しました。日米半導体連合は2018年のMRAM量産化を計画しており、いよいよ量産化に向けてMRAMの開発が加速する見込みですが、「そもそもMRAMは現行のメモリとどう違うのか?」ということで、現行メモリとMRAMの違いや、これまでの開発の流れをまとめました。

日米で次世代半導体 米マイクロンなど20社超参加  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD23018_T21C13A1MM8000/

日本、空洞化に危機感 日米で次世代半導体  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD23052_T21C13A1TJC000/

MRAM production gains momentum as Japanese and US companies team up - Neowin
http://www.neowin.net/news/mram-production-gains-momentum-as-japanese-and-us-companies-team-up

現状、スマートフォンやPCで使われる半導体メモリはほとんどがDRAMであり、構造上、電源供給がなくなると記憶情報が失われる性質(揮発性)がありました。これに対して、MRAMは、DRAMと異なり情報の記憶に磁化状態を利用しているため電源の供給が絶たれても記憶情報を失わない特性(不揮発性)を持ちます。このMRAMの不揮発性を活かすことで、例えばスマートフォンの使用時間を現在の最大数十時間から数百時間に延ばすことができると試算されています。また、MRAMは、DRAMに比べて記憶容量を10倍に増大させ、消費電力を3分の2に減少させることが可能であり、PCやスマートフォンなどのモバイル端末の高機能化・高性能化が実現できると期待されています。

By Osman Kalkavan

MRAMは、2002年に東芝とNECによって初めて技術思想が明らかにされ、IBMとInfineonが2005年までの市販化を約束していましたがこれは実現せず、結局、2006年にFreescaleが、4MBのMRAMチップを25ドル(約2500円)で販売したくらいで、価格性能比でDRAMに大きく見劣りするため、目立った成果は上がっていませんでした。しかし、DRAMの微細化が回路幅20nmに到達し、これ以上の高性能化が難しくなったことで、MRAM開発の必要性は従来以上に高まっていました。そのため、今回、マイクロンや東京エレクトロンをはじめとする日米半導体各社は、共同開発を通じて一早い量産技術の確立を目指すことになったというわけです。

By Steve Jurvetson

MRAMは、日米20社連合の他にもSKハイニックスと共同で開発を進める東芝や、サムスン電子も開発を進めていますが、日米20社連合は、今後、国内外の半導体関連メーカーにMRAM共同開発プロジェクトへの参加を広く呼びかけ、MRAMの基盤技術の確立を急ぐとのことです。

研究開発拠点となる東北大学「国際集積エレクトロニクス研究開発センター」は11月27日に開設され、センター長には遠藤哲郎東北大教授が就任する予定です。なお、東北大学は、2020年のMRAMの世界需要を7兆円規模と想定、さらにスマートフォンなどのデバイスやその製造装置などの関連産業を含めた経済効果は100兆円を超えると試算しています。2020年の東京オリンピックを迎える頃には、DRAMからMRAMへの移行が進み、より高性能なガジェットでオリンピックを楽しめるようになりそうです。

By DaveLawler

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in メモ,   モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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