取材

世界一の高所にある首都ラパスのすり鉢が美しすぎる


標高約4000mのほぼ平坦な高原を走ってきて、いきなり眼下に街が沈んでいたら目を疑います。視線を上げると悠々とそびえ立つ6000m級のワイナ・ポトシとイリマニ山。これ程までに見惚れてしまう景色はなかなかありません。南米ボリビアの首都ラパスは、アンデス山脈のすり鉢状の盆地に位置していました。

こんにちは、ボリビアに入って「ウユニ塩湖」や「宝石の道」を控えている自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。入国してすぐ首都のラパスに到着したのですが、信じられない光景が広がっていて、改めて世界の広さを実感しました。きらびやかに輝く夜景も見逃せません。

ボリビアの首都ラパスの位置はここ

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◆すり鉢の底のラパス市街

入国してからラパス手前までは起伏の少ない道で、標高4061mの国際空港が位置するエル・アルトを抜けると、一気に視界が開けて盆地に広がるラパスの市街が一望できました。中心街まで直線距離で4kmでも、標高差があるので約11kmを一気に下ります。

入国してからは、平坦で寂しい景色が続きました。


ラパスの衛星都市となっているエル・アルトには起伏がないというのに……


エル・アルトから少し進むと、すり鉢の底に広がるラパス市街がありました。


高層ビルが密集する中心街


人口約90万人が住む大都市です


ラパスの南東には標高6439mのイリマニ山がそびえ立っています。市街のどこからでもその姿は確認でき、ラパスのシンボル的な存在でした。


イリマニ山を別角度から


そして、ラパスの北に見えるのは標高6088mのワイナ・ポトシで、こちらは旅行者の間では登山でも有名。ラパス市街からは斜面となっているので確認できません。


「ラパスを観光するならここしかない」と中心街からミニバスに乗って、到着した時に圧倒されたラパス市街をもう一度眺めてきました。お昼前だと陽の光がちらつくのか、夕暮れの到着時ほどに綺麗な色とはなりません。イリマニ山もワイナ・ポトシも、雲が隠れて邪魔をします。すり鉢の縁から十分に眺めたら、せっかくなので底まで歩いてみることにしました。人通りには気をつけないと行けませんが、ちゃんと中心街まで降りることができます。

すごい景色には変わりありませんが、お日様のせいで街が賑やかに見えました。


4000mの高原の、より高いところには山なみ、低いところにはラパス市街。


中心街


雲がかかったワイナ・ポトシ。


すり鉢の縁から底に向けて、幾つもの階段が作られていました。


すり鉢の縁の住居と、底の高層ビル群。


建物の合間から見えるラパス市街


どんどんと底に近づいていきます


わずかなスペースに作られたサッカーコート


見ている方がヒヤヒヤしてしまう駐車


振り返ると壁のようなすり鉢の縁


こんな所でも、遊んでいた子どもたち。


ちなみにラパスとすり鉢の外になるエル・アルトとは、片側2車線の勾配の緩やかな道路で結ばれています。


すり鉢の縁に建てられた住宅群


◆すり鉢の中のラパス市街

旅人のブログで「富士山より高い場所に位置するラパス」という表現もありますが、厳密に言うと正しくありません。郊外のエル・アルトは標高4000mを越えているのですが、すり鉢状になるラパスは縁と底では標高差があり、聖フランシスコ教会がある市中心部は約3600m。官庁や各国大使館のあるオフィス街は、更に低い場所にあります。ちなみに富士山頂は3776mです。高級住宅街もすり鉢の底の低地に、所得の少ない人達はすり鉢の縁の方にと、所得格差が標高に現れるのもラパスの特徴。すり鉢の中にあたるラパス市内は飽和しつつあり、外にあたるエル・アルトを中心に市街は拡大しています。

高層ビルの立ち並ぶ様は、南米でも貧しい国というボリビアのイメージを吹き飛ばしてくれます。


オシャレな繁華街となっているプラド通り


ビルの谷間から覗く青い青い空


聖フランシスコ教会がある一帯は人通りが途絶えません


ラパス市街は急な坂がいっぱいで、標高も高いので少し上るだけで息が切れます。


遠くを見ると斜面に住宅が広がっているので、常に盆地の底にいると感じていました。


下り坂の細い道の反対側も、斜面というラパスらしい光景。


大統領府と大聖堂があるムリリョ広場(Plaza Murillo)が市の中心。


ここにはたくさんの鳩が集まります。


総合競技場としては世界一高い海抜3577mに位置するエルナンド・シレス競技場。その標高からFIFAが公式スタジアムとして認定しないと一騒動ありましたが、ボリビア大統領も加わった抗議の結果によって、ひとまず2014年のW杯の予選はここで行われています。


エルナンド・シレス競技場の近くにあり、ラパス市民の憩いの場となっているライカコタ公園。


遊具で遊ぶ子どもたち。


滑り台。


ここは展望台ともなっているので、ラパス中心のオフィス街を一望できます。


おみやげ屋や旅行代理店が立ち並ぶサガルナガ通り。


おみやげ屋に並べられた商品は、インディヘナのおばちゃんの色をしています。


ラパス市民の食卓を支える路上市場


大衆的な屋台街を発見


調理される食材が並べられています


ペルーでも食べた「トゥルーチャ・フリータ(Trucha Frita)」というマスのフライが出てきました


こちらも美味しかった小魚のフライ。トゥルーチャと同様にチチカカ湖で採れると言ってました。ボリビアは内陸国で海に面していません。


◆ラパスの夜景

これほどまでに見事な景色ですから、夜景も気になるところで、チョコチョコと写真を撮ってみました。

聖フランシスコ教会の一帯は夜でも、たくさんの人で賑わっています。


中心街の幹線道路


夜に飲み込まれていくイリマニ山


オフィス街とすり鉢の斜面に建つ住宅のあかり


エル・アルトで繰り広げられている「おばちゃんプロレス」を観戦しにすり鉢の外へ。終わってすり鉢の縁から見たラパスの夜景には言葉を失いました。斜面を流れていくように暖かな光がキラキラと輝いていました。


同じくアンデス山脈にあるコロンビアのメデジンは谷でしたし、インカ帝国の首都だったペルーのクスコも盆地でしたが、どちらともラパスのスケールの大きさには敵いません。たくさんの景色を見てきましたが、すり鉢状に広がったラパス市街はかなりの衝撃でした。地球は大きく世界は広く、こうした場所で生活を送っている人たちがいます。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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