メモ

スティーブン・キング一家は妻も子どもも子どもの嫁も小説家


かつて作家スティーブン・キング氏が語る「小説家として成功するために知るべきすべてのこと」を記事にしたことがありますが、彼自身が「スタンド・バイ・ミー」や「キャリー」、「シャイニング」、「グリーンマイル」、「ショーシャンクの空に」などの大作映画の原作となった小説を書いた巨匠であるだけでなく、妻や自身の子どもたちまで小説家となっており気がつけば周りは小説家だらけ。そんなスティーブン・キング一家のインタビューがNew York Timesに掲載されており、小説家一家の秘密が見え隠れします。

Stephen King’s Family Business - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2013/08/04/magazine/stephen-kings-family-business.html?pagewanted=all

スティーブン氏が成人してからの時間のほとんどを過ごした、アメリカ合衆国メイン州での生活には田舎道を長々と運転するための車が必要になるそうです。スティーブン氏は自分が落ち着かないときには、その田舎道でテープに入った本の読み聞かせを聞きながら過ごすのがお気に入りとのこと。80年代には本の読み聞かせテープのないものも多かったハズですが、それらを探すのに苦労したことはないとスティーブン氏は言います。

By Doug Kerr

なぜ本のテープに困らなかったかというと、スティーブン氏にはナオミ、ジョー、オーウェンという3人の子どもがおり、子どもたちが小さい頃は「父親に本の音読を録音したテープを渡すために小さな町の図書館にかよっていた」と言うほどに熱心にさまざまな本のテープを作成してくれていたから。末っ子のオーウェン・キングさんは「僕は父にディーン・R・クーンツの幼児向けの本を読み聞かせたこともありますよ」と言います。長男のジョーさんが父に読み聞かせた本の中で記憶に残っているのはThe Carpetbaggersとのことで、とても当時のジョーさんが読むような本ではなかった、と母親のタビサ・キングさんは付け足します。また、「ジョーンズタウンで起きた集団自殺を基に書かれたRavenを音読して録音してほしい」と父から頼まれ、「とても恐ろしい印象が残っている」と長女のナオミさんは言います。

By sean dreilinger

幼い頃からさまざまなジャンルの本に触れて育ってきたキング家の子どもたちですが、彼らにとって本を読んで親を楽しませることは、自分たちの仕事の一部のようになっていたと言います。

スティーブン氏とタビサさんはそれぞれ作家として活動しており、彼らの子育て方法の影響か、ジョーとオーウェンの2人も作家として活動するようになりました。ジョーさんはNOS4A2という、ファンタジーホラー小説がベストセラーとなっており、オーウェンさんはまだ小説家としてデビューしたばかりですが、Double Featureという喜劇小説を2013年3月に出版しています。さらにオーウェンさんの妻であるケリー・ブラフェットさんも小説家で、著書にはSave Yourselfがあります。サーカスのパフォーマーなどで家族が全員同じ職業に就いているということはありますが、スティーブン・キング一家では、子どもたちが果敢に両親のあとを追い、見事に作家として成功している、という不思議な状況となっています。

By jeffrey james pacres

スティーブン・キング一家ではテープで本の読み聞かせを行う以外にも、夕食後には家族全員で交代交代にホビットの冒険ナルニア国物語などの本を読んでいたそうです。さらにスティーブン氏とタビサさんは各自の仕事部屋などを準備せず、子どもたちが遊んでいるのとは別の部屋で仕事をしていたとのこと。

ケリーさんは昔から小説家「スティーブン・キング」の大ファンで、自分でも執筆活動を行っていたそうです。始めは留守番電話のスティーブン氏の声を聞くだけで緊張してしまうほどでしたが、約2年間の月日のおかげでスティーブン氏の前でも話せるようになったとのこと。ケリーさんがたまたま家でスティーブン氏のとなりに座った際、あこがれのアイドルはiPadでJetpack Joyrideというゲームをしていたそうで、そういった飾らない部分がケリーさんが一家と打ち解ける機会になったのかもしれません。

By Sai89AJ

長男のジョーさんは11歳の頃から毎日執筆活動を続けていたそうです。平日休日関係なく毎日書き続け、高校生の頃には父親の名前が小説家になる上で障害になるのでは、と考えるほどに真面目に小説家を目指すようになります。その頃から「Jay Stevenson」というペンネームを使い始め、さらには法的に自分の名前を変えるにはどうしたら良いか両親に尋ねたこともあるそうです。その後、ヴァッサー大学の学生にとなり「Joe Hill」の名前で小説を書き始めますが、最初の小説と2本目の小説は全くヒットせず、当時の妻とも離婚してまいます。しかし、その後書いたHeart-Shaped Boxという小説でベストセラー作家へとステップアップ。

彼は読書会を開き、金で雇った俳優に自分を演じさせてまで父親とは全く関係の無い人物の書いた小説だとアピールしようとしますが、Heart-Shaped Boxが出版されてしばらくするとすぐに父親の正体がバレてしまいます。しかし、「作者が誰か」を読者は特に気にしておらず、本の成功は親が小説家「スティーブン・キング」だからでは全くなかったことが逆に証明されたとのこと。なお、ジョーさんの小説は父親のスティーブン氏の小説とはほとんど似ていないそうです。

By Terry

2003年にスティーブン氏がMedal for Distinguished Contribution to American Lettersを受賞し、全米図書賞にてスピーチを行いました。このスピーチの前半では、彼がまだ売れない小説家で妻と子ども2人とトレーラーハウスでなんとか生活していた頃に、ダンキンドーナツでパートの仕事をしながらスティーブン氏が小説を書くことに打ち込めるようずっと支え続けてくれた妻について話したそうです。このエピソードのようにスティーブン氏の妻であるタビサさんは、自分を犠牲に夫の夢を応援できる人物ですが、ただ従順なだけの人ではありません。

「NOS4A2を書いていたとき、結末をかなり暗いものにしていましたが完璧だと思っていました……母が読むまではね」と言うのはジョーさん。エンディングがダメだという母親の一言でジョーさんの中では完璧だった小説の芸術性は崩れ去ったとのことですが、当のタビサさんは「その変更のおかげであの本はベストセラーになったわ」と冗談を言います。


末っ子のオーウェンが最初に書いた小説は喜劇でした。彼は父親の書くホラーという分野にはあまり興味がなく、本を書くためにB級映画ばかり観てきたそうです。ジョーさんは両親に自分の原案について頻繁に意見を求めますが、オーウェンさんは偉大な両親にそれほど意見を求めず、「私はただ小説を書き続けられるくらいの本が売れればいい」と控えめに言います。


親族や息子の奥さんにまで小説家が集うスティーブン・キング一家ですが、その秘訣は小さな頃からさまざまなジャンルの本と慣れ親しんで育ってきた環境や、偉大な両親という目標、そしてそれらに縛られずに自分の夢を目指す子どもたちの頑張りにより成り立っているようです。

・関連記事
スティーブン・キング作品を原作とした映画のベスト5&ワースト5 - GIGAZINE

スティーブン・キング原作「キャリー」が37年ぶりに再映画化、日本語字幕付き予告編登場 - GIGAZINE

スティーヴン・キングが語る「小説家として成功するために知るべきすべてのこと」 - GIGAZINE

冒頭の一文の「書き出し」に何ヶ月もかける理由をスティーヴン・キングが語る - GIGAZINE

in メモ, Posted by logu_ii