サイエンス

「食べたくなるほどかわいい」赤ちゃんの匂いに麻薬のような効果があることが判明


by Rev. Xanatos Satanicos...

赤ちゃんを「食べてしまいたくなるほどかわいい」と表現することがありますが、赤ちゃんの匂いは女性にとって麻薬のような働きをすることが新たな研究で明らかになりました。

Why do you want to 'eat' the baby? Strange urge could have biological underpinnings -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2013/09/130923092215.htm

研究を行ったのはモントリオール大学心理学科講師であり研究者のJohannes Frasnelliさん。Frasnelliさんら研究チームは15人の女性を直近3~6週間内に子どもを出産した女性と一度も出産を経験したことのない女性とで2つのグループに分け、赤ん坊の匂いを嗅いだ時の脳の反応を見ました。この時女性は全員非喫煙者で、赤ん坊の匂いは生後2日の新生児のパジャマから集められました。

そして両グループの女性が赤ん坊の匂いを同じ強さで認識したところ、母親である女性は脳内の尾状核におけるドーパミンシステムが活性化し、これまで出産したことがない女性に比べて大きな反応を見せました。

by peasap

尾状核は脳の中心付近、視床の両側に存在する器官であり、脳の報酬学習の重要な部分を占めていると考えられています。またドーパミンは報酬系において重要な神経伝達物質です。この報酬系のシステムは特定の行動が喜びと関連づけられている時に、ある方法で行動を起こすモチベーションを強化するものです。「この回路は我々に特定の食べ物を切望させ、タバコや麻薬などへの依存を引き起こさせます。全ての香りがこの反応を引き起こすわけではなく、食べ物や人の欲望を満たすことに関係したものだけがこの活性化を引き起こすのです」とFrasnelliさん。ドーパミンは性的快感や満足感にも関係しており、過去の研究では脳に電極を刺しドーパミンのレベルを自分で上げられるようにしたラットは、ひたすら自分の脳に刺激を与え続け、食べることもやめたと言われています。

Steve Koukoulas

「言葉や視覚的なものを抜きにしても、母子の間のコミュニケーション・シグナルは強烈です。我々の研究で、シグナルの1つである新生児の匂いが母親の報酬系を活性化することが初めてわかりました。この回路は空腹時に食事すると特に活動的になるものですが、同時に麻薬中毒者が薬物を受け取った時にも同じ反応が見られます。欲望を満足させるものなのです」とFrasnelliさんは語りました。

この研究で明らかになったのは、新生児の匂いは母子間の発育の動機および情動反応において一定の役割を持ち、赤ん坊に母乳をやったり、赤ん坊を庇護したりという母性保護機能を誘発するということ。母親の子どもに対する愛情と思われるような母子のつながりは、新生児が生きるために不可欠なものであり、自然淘汰から生まれた進化の産物と言えるのです。


しかし、本研究ではこのようなドーパミンの活性化が出産そのものに関連した自然な反応なのか、それとも経験から生み出された結果なのか、ということは明らかになっていません。「尾状核における報酬系の回路がホルモンによって変化する可能性はありますが、経験によって変化するということも同様に考えられます」とのこと。

なお、この反応が母親特有のものであるか、それとも父親にも見られるのか、ということも現段階では不明です。

by ben haley

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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