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世界中の人と部屋を貸し借りするサービス「Airbnb」日本版開始までの内幕


世界中の人から部屋を借りたり、あるいは自分の部屋を貸し出したりできるルームレンタルサービス「Airbnb」の公式サイト日本版がオープンしましたが、全面的に日本語に対応したサイトの準備を始めてから公開するまでにかかった期間はわずか数日とのこと。そこには、世界各地の現地サイトを構築してきたAirbnb独自のノウハウがありました。

別荘・個室・自宅やアパートまるごと貸し出します - Airbnb
https://www.airbnb.jp/


Launching airbnb.jp in record time - Airbnb Engineering
http://nerds.airbnb.com/launching-airbnb-jp/

◆Airbnbとは?
Airbnbは、コミュニティのメンバーから部屋をレンタルできるサービスです。自宅の個室1つやマンション1部屋、別荘やアパート1棟などその種類はさまざま。中にはクルーザーまで貸し出されています。部屋を貸し出すメンバーは「ホスト」、部屋を借りる人は「クライアント」と呼ばれますが、ホストは世界192カ国3万4000の都市に散らばっており、クライアントは旅行の宿としてホストから部屋をレンタルすることができ、近年サービスを利用する日本人クライアントも増えています。

Airbnbは空いているスペースを貸し出したいホストと部屋を借りたいクライアントを仲介するサービスを提供、クライアントは、Airbnbのサイトやモバイルアプリでホストや部屋の内容を吟味することができ、実際に部屋についての質問や予約オファーをホストに伝えることができます。ホストの認証についてはAirbnbが保証してくれ、またホストはレンタルオファーを出すクライアントと事前にコンタクトをとることができ、気に入らない場合はオファーを断ることも可能。ホスト、クライアント双方が納得して部屋を貸し借りできるよう配慮がされています。


ホストと部屋の情報は、リスティングという検索サービスによって自分好みのものを選択でき、部屋の種類、レンタル料金、宿泊日時はもちろん、ベッドサイズやバスルームの数、ホストの母語などによって検索することが可能です。


世界中のホストから部屋をレンタルできるAirbnbは、熱烈なコミュニティメンバーの要望を受け、先日、公式サイト日本版airbnb.jpをオープンさせましたが、実際にサイトを構築、公開するまでにかかった時間はわずか数日とのこと。その内幕とはどのようなものだったのでしょうか。

Airbnbは各国各地のサイトを作る場合、基本的には本家サイトであるairbnb.comを翻訳します。しかし、Airbnbのウェブサイト・モバイルアプリにはおよそ40万語もの英単語が含まれているため、これを翻訳するには時間がかかってしまいます。そこで、Airbnbはさまざまな"仕掛け"を用意することでこの翻訳にかかる時間を大幅に短縮、短期間での現地サイト公開を実現しています。

◆t()メソッド
Airbnbは現地サイトを構築するために翻訳するスタッフを集めます。しかし、40万語の英単語すべてを一気に翻訳することは困難なため、直ちに翻訳するべき部分、後回しに指定すべき部分などの優先順位をつけています。

翻訳の優先順位を担当者が把握できるように、Airbnbのサーバーデータには、「t()メソッド」とよばれる翻訳のためのタグが採用されています。


t()メソッドでは、Airbnbサイトのサービスのうち直近4日間で呼び出されたフレーズを検出しその回数を数え上げることが可能であり、このデータによって世界各地の翻訳担当者はユーザーが実際に読んでいる文章がどれであるかを把握することができ、優先的に翻訳することができる仕組みとなっています。


◆翻訳ツール
またAirbnbでは独自の翻訳ツールを開発、前後関係を含めた意訳ができるようサポートしています。このツールではt()メソッド内で特定のフレーズを<phrase id=…>…</phrase>というタグで囲むことで自動的にJavaScriptに変換し、そのフレーズが関連づけられるというもの。例えば、カレンダー内で使われる「never」というフレーズは、「(ホストが入室情報を)一度も更新していない」という内容の意味を持つことを翻訳担当者が一目で理解できるようになっています。


◆タイムスタンプ
Airbnbでは世界各地の現地サイトの情報がすべてのサイトで共有できるようにタイムスタンプが採用されています。タイムスタンプのおかげで、データベースにない新しいフレーズが書き加えられた場合、新たなフレーズ階層が自動的に作成され、この情報は世界各地の現地サイトにも伝わります。また、翻訳担当者やサイトスタッフの要求があれば、現地の翻訳が最新かどうかのチェックがなされ、更新情報があれば自動的にアップデートされます。

◆アナログな手法
もちろんt()メソッドや翻訳ツールを用いたとしても、クライアントがコンテンツを利用する際に理解しにくい箇所が出てくることは避けられません。このため、サイトやモバイルアプリの翻訳ミスを発見次第、翻訳担当者は手動で修正作業をし続けているとのことです。

Airbnb.jpの立ち上げにあたって、Airbnb経営陣はまず東京在住のホストに協力を依頼。援助要請はすぐにAirbnbコミュニティに拡散し、日本語サイトの構築を歓迎する熱烈なメンバーたちの支援を受けることに成功、迅速な立ち上げが実現したということです。Airbnbがサイトの構築・公開を迅速に行える最大の要因は、ノウハウよりも熱烈な支持者の存在だと言えそうです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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