メモ

子どもを怒鳴りつけて叱ることは素行不良やうつ病を引き起こす原因になる

By Tambako The Jaguar

子どものしつけとして体罰が間違った方法であることは異論のないところですが、たとえ暴力をふるわないとしても「言葉による暴力」は子どもの成長に悪影響を与えるという研究結果が出されています。

Parents' Harsh Words Might Make Teen Behaviors Worse : Shots - Health News : NPR
http://www.npr.org/blogs/health/2013/09/04/218972701/parents-harsh-words-might-make-teen-behaviors-worse

Parents: Yelling and swearing at teens can backfire
http://www.usatoday.com/story/news/nation/2013/09/04/teen-behavior-parents-discipline/2724361/

ピッツバーグ大学教育・心理学部のワン・ミンテ准教授と研究チームは、976世帯の13歳、14歳の子どもを持つ両親のそろった家庭を2年間聞き取り調査することで、怒鳴りつけるしつけ法と子どもの問題行動との相関関係を調べました。なお経済力や民族性に結果が左右されないよう白人、黒人がほぼ同数含まれた一般的な中流階級の家庭が調査の対象に選ばれたということです。

調査の結果明らかになったことは、13歳の子どもが母親や父親から怒鳴りつけるしつけを継続的に1年間受けた場合、問題行動を起こす確率が増加し、また子どもがうつ病の症状を示す確率も増加していたという事実でした。驚くべきことに、母親と父親が深い愛情をそそいでいたかどうかは、子どもの問題行動と抑鬱症状との強い関連性に影響を与えなかったということです。

さらに研究では、問題行動の多い子どもたちは日常的によく怒鳴られる傾向にあることも明らかになりました。もっとも、怒鳴りつけるしつけは子どもとのコミュニケーションのごく一部であり、怒鳴りつけることの影響だけを切り離すことは極めて難しいため、親の金切り声が子どもの問題行動を引き起こすのか、それとも気むずかしい子どもを持つ親はよく金切り声を上げるのかをはっきり確定することはできませんでした。

ワン博士は「たとえどんなに親が叫ぼうとも子どもはまったく聞いていないものです。ですから叫んで叱ることには効果はなく、むしろ子どもがより攻撃的になり素行不良になる危険性を考えれば、怒鳴りつけるしつけは避けるべきです」と話します。

By Andrew Taylor

ワン博士は、研究結果をWiley Online Libraryで発表しましたが、この研究結果の意味を十代の子どもをもつ親はよく考えるべきであると、子どもと家族の関係を研究する多くの心理学者は口をそろえて言います。

ワシントンD.C.の心理学者のニール・バーンスタイン博士は、怒鳴りつけたり批判したりする方法のしつけを続けることは、子どもを気むずかしくし反抗的にするだけで、子どもをこき下ろす親は、子どもに関心がない怠慢な親と同様、効果的な教育ができないと話します。そして、「もちろん人間ですから誰でも感情的になり叫び声をあげることはあるもので、これは決して非難されるものではありません。例えば、子どもが飲酒運転や無謀な運転をして危険な状況に身をさらしているのを見れば、『死にたいの!』と大声を上げても構わないのです」と話した上で、親が子どもを長期間怒鳴りつけたり罵ったりすることには問題が多く避けるべきだとします。

バーンスタイン博士は子育てにおける三大要素は「良いコミュニケーション、愛情、規律」であるとし、この3つを実行することで子どもは幸福で健全に育つと言います。そして子どもが悪いことをした場合、例えば娘が門限を破ったとき、もう二度としないと心から反省するまで外出を許さないという罰を与えることで規律は保つことができるとします。最近のデジタル世代の子どもにはハイテクなおもちゃを取り上げるのは良い罰になるとしつつも、罰は短期間に終わらせるべきであり、子どもが良い行動をとればすぐにおもちゃを返すべきであると語ります。

By Nandakumar Subramaniam

また、エール大学で心理学・児童精神医学を教えるアラン・カズディン教授は、怒鳴りつける教育法は子どもの精神的・肉体的な健康を損ねる有害なものであるとし、親として大切なのは「(子どもを)受け入れること、愛すること、抱きしめること」だと言います。そして、「しつけのゴールは、どのように振る舞って欲しいかを子どもに伝えることです。怒鳴りつければその時は子どもは行動を止めるでしょうが、望む振る舞いを身につけることはできません。必要なのは、子どもの行動を正しく認識し、良い振る舞い見つけてはそれをきちんと褒めることです。これができれば、子どもは親に敬意を払い、悪い行動を減らすでしょう」とカズディン博士は語ります。

By Andy Peters

少なくとも心理学者の中では、怒鳴りつけるしつけ法が有害であるという一致した見解があり、子どもは親を見て育つことから、親自身が襟を正して良いお手本となるべきだと言えそうです。

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