メモ

貧困下にあると貧しい現状で頭がいっぱいになり貧困から抜け出せなくなる

By medically_irrelevant

重大な出来事で頭がいっぱいの時に他のことにはまったく気が回らない、という経験は誰にでもあるものですが、これは脳のキャパシティ(帯域)に限界があることが原因です。そんな脳の帯域に関して、貧しい人はキャパシティに余裕がない状態にあることが研究結果から明らかになりました。

Poverty Impedes Cognitive Function
http://www.sciencemag.org/content/341/6149/976.abstract

How Poverty Taxes the Brain - Emily Badger - The Atlantic Cities
http://www.theatlanticcities.com/jobs-and-economy/2013/08/how-poverty-taxes-brain/6716/

◆認識の帯域
ある問題を解決しようと集中したときに他のことが頭から消え去ってしまっているのは「脳のキャパシティ(認識の帯域)」に限界があるから。認識の帯域は貴重な「資源」なので、うまく分け合う必要があります。

この「認識の帯域」に関して、貧困状態にある人は、「貧しい」という事実を常に認識させられるため、認識の帯域が不足し、貧困から脱するためにすべきことに対して注意を向けることができないという研究結果が発表されています。つまり貧しい人の認識の帯域は「貧困」という事実で埋め尽くされてしまうので、その状況から抜け出すことができなくなるということです。この論文は8月30日発行のScience誌に掲載されます。

By TZA

◆貧困と認識
プリンストン大学、ハーバード大学、ウォリック大学の研究チームによって実施された一連の実験は、この「貧困者の帯域不足」を裏付けています。この研究では、ニュージャージー州のショッピングモールで約400人を無作為に抽出、年収によって「貧困層」と「富裕層」に分けた後で認知機能についてテストを行いました。まず、被験者は「自分の自動車の修理に150ドル(約1万5000円)かかるケース」「1500ドル(約15万円)かかるケース」の2つの想定を与えられます。次に被験者は自動車の修理について考えた状態で、認知機能のテストを受けさせられました。実験結果は、修理金額が150ドルの場合は貧困層、富裕層ともに大差がありませんでしたが、1500ドルの場合、貧困層のテスト結果は悪化していました。富裕層だと、結果に違いは見られなかったということです。

この試験結果は、貧しい人が15万円という経済的問題を抱えることは、認識の帯域に大きな負担を強いるものであることを示しています。

By peasap

研究者は、インドのある農民についても認識の帯域を調査したところ、彼らは年収の60%にあたる報酬を受け取る収穫期の直前(つまり貧困状態)においては、ニュージャージーでの実験の被験者と同じように、認識の帯域が不足した状態にあることが分かりました。

さらに、別の研究からは「貧困であることで課される精神的負担の大きさは、IQを13ポイント失うのと同等であり、また慢性のアルコール中毒患者と健常者との差に匹敵する」ことが明らかになっています。

実験を行ったプリンストン大学のEldar Shafir教授は「認識の帯域が埋められた状態(貧困のケース)では、物事を正しく認識できなくなり、抵抗すべきことに抵抗できなくなり、物事を忘れやすくなり、忍耐力がなくなる」と言います。これは、社会が不景気になって貧困を感じる人が多い状態になると、社会全体から大量の認識能力が失われることを意味しています。

By Fady Aziz

◆貧困問題
このように「認識」と「貧困」との間には密接な関連性があることが明らかになりましたが、このことを理解することは大きな意味があると研究者は指摘します。「貧しい人を経済的に安定させることは、彼らに認識の余地を与えることになり、その結果さまざまな活動が生まれ得るという大きな利点があります」と、貧困者支援プログラムが有意義であることをShafir博士は主張しています。

なお、「貧困であることがIQを13ポイント押し下げるということは、よりIQの低い人が貧困に陥るということを意味しないか?」という疑問に対して、Shafir博士は「我々もそれを懸念していましたが、科学データはこれを否定しています。IQが低いから貧しいのではなく貧しいからIQが下がる、人に問題があるのではなくその人がいる環境に問題があるのだということをデータは示しています」と語っています。

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in メモ,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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